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96-8 激突、トーヤ対カミラ

 続けてレオンとルイの対決は、レオンがルイを、ルイがレオンのペットダムを作っていた。

 どちらも中々可愛かったのでペットダム同士で決着が着かず、投票の結果は見事に引き分け判定となった。


「わあい、今日からルイと一緒に寝られるぞ」


 うーん、これが日本で「大きい御友達」とかが言ったのなら危ない発言だな。

 まあ、この子はおチビさんなので問題ない。


 だが次の試合が問題だった。

 そいつらはウヨウヨと登場して御披露目された。

 まあ、数量に関する規定はなかったからな。


「ぎゃああ、怖い~」

「ひいーー!」


 そいつらを見て、子供達が悲鳴を上げまくった。


「やっぱり、こうなったか……」


 止めておくべきだったかな。

 いや、実を言うと正直な話、俺もちょっとだけ見てみたかったんだよな。


 トーヤとエディは、それぞれ例の引き取った呪いの御雛様を改造して出してきたのだが、よりによってそのトーヤとエディの組み合わせになったのだ。


 こんな事になって無念の血の涙を隠し切れない、元雛人形達。

 それらはかつて、この俺が目一杯の気合を込めて作った十五段飾りの主達なのだ。

 魂は籠もって当然だったのか。


 後でバルドスの御山で御祓いしといた方がいいかね。

 だが、それに大激怒したのはカミラ達女の子軍団だった。


「あんたらねえ!

 いいかげんにしておきなさいよ~。

 これはひなまつりなんだからね!

 おだいだって『かわいいもの』っていうことに、きまっているのに~」


 カミラよ……それを言ったら、そいつらこそまさに本物の御雛様なんだがなあ。


「へっへーん。

 だったら、どうするというんだ?」


「しょうぶだ、トーヤ~。

 ここに血闘をもうしこむわあ」


 いいけどカミラ、無理に難しい字を使おうとして間違っているぞ。


「ようし、受けて立った~」


「いいどきょうだ~。

 そんなもので、かわいいわけがないでしょうが~」


 だが、結論から言ってカミラは敗北した。

 なんというのか、子供達みんなに馬鹿受けだったので。

 最初はビビっていたのだが、すぐに見慣れたものらしい。

 トーヤ達御稲荷軍団に軍杯は上がったのだ。

 総勢十五人のゾンビ御雛様軍団は、もうリアクションが最高だったので。


 素材と題材の選び方はよかったな。

 一応これもキモカワの部類に入るのだろうか。


 カミラの御人形は、可愛いぷるぷるスライムちゃんだったのだが、世の中は受けたら勝ちだったのだ。

 カミラが豪く悔しそうだったので敢闘賞をくれてやっておいた。


 材料持込みありルールなので、光沢感のある布地を使ってうまくスライムを表現できているのがポイントだ。

 カミラもこの手の科目は凄く優秀な子なのだった。

 よっぽど悔しかったのか、カミラはマリー達のいる雛祭り会場に引き篭もってしまった。



 エミリオは可愛いカーバンクルの子供を作り、家来に任命していた。

 対戦したテキーラ姫がその可愛らしさにメロメロだったので、エミリオが勝利を収めた。


 テキーラ姫のペットダムは凄く可愛いウサギさんだったので、二人はユニフォームならぬペットダムの交換をしていた。

 将来の義妹と親交が深まったようだ。

 はたしてエミリオは妹物の主人公に納まる事が出来るのか?


 今日はポールも来ていて、なんと戦車を出していた。

 どうも彼はこういう物が可愛く見えるらしい。

 この子には急激に色々と見せすぎた気がしないでもない。

 彼はうっとりと自分の作品を眺めながら、あっさりと敗北を受け入れた。


「いいんだ。

 他の人がなんと言おうと、僕にとっての価値は変わらないもの」


 この気質が将来、吉と出るか凶と出るか。

 それは終わってみない事には誰にもわからないだろう。


 プリティドッグ達は中々の大健闘だ。

 ミニョン達は、彼らが今までに見かけた可愛い魔物達を作ったり、弟達は各々プリティドッグの赤ちゃん人形を作ったりとか。


 その情報は侍女さん達の手によって急遽王宮へと齎され、王妃様が颯爽とジャージ姿で、血相を変えて駆けつけてきた。


「もう、アルったら!

 こんな楽しい催しだと知っていたら、政務なんて放ってでも来たものを!

 義理とはいえ母親をないがしろにするなんて」


 あのう?

 これは子供達のための雛祭りなんですが。

 基本的に幼稚園と小学校の合同行事なんですがね。

 小さい子の場合は母親が甲斐甲斐しく御世話をするのかもしれないが、おたくの娘さんはうちの嫁になった女以外ここにいませんよ。

 年相応の小学生相当である王女様の方は、あんた本人が来させないようにしていましたよね。


 だが俺の背後には、俺の肩に手をかけて首を振って笑っているシルがいた。


「プリティドッグの絡んだ話で、御母さまには何を言っても無駄よ」


 そして王宮にスパイを放っていたと思われる犬公爵も、呼び出したミハエルをタクシー代わりにして現れて、もう子犬達の作品に夢中だ。


「プリティドッグ、プリティドッグ子犬の手作り高性能プリティドッグ人形だと!? 

 アルよ、何故、何故儂を催しに呼んでくれんのだ~」


 えーと、あなたのようないい歳をした叔父様を、わざわざ子供達の雛祭りの御祝いに呼ぶんですかい?

 あんたんとこは、確か娘さんはいませんでしたよね。


 そして彼はなんとかして、その素晴らしき逸品を手に入れようと躍起になっていた。


「どうか、どうか、御願いだから、それを売ってくだされ~。

 ジョニーどの、いや偉大なるジョニー閣下」


「どうしようかなあ」


「ええっ、私とあなたの仲じゃないの~」


 例によってジョニーが楽しそうだったが、結局犬公爵は王妃様と二人でジョニーを拝み倒して雄雌のセットを一つずつ譲ってもらっていた。


 残りの一組は、もちろんサイラスの犬公爵への御土産だ。


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