↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

503/1334

82-17 時は来たれり

「しかし、何にもねえな」


 壁を乗り越えて首都へと進入を果たしたジョニーは周囲を見回しながら用心深く進んでいった。

 犬体形の頭にはヘッドランプのようにカメラが取り付けてある。


 ここは首都の筈なのだが、一見すると何もない感じだ。

 あたり一面、平らで遮る物が一つもない。

 遠くには高い壁が見える。


「確かにアルバに比べたら直径が二倍はある広大な面積を誇るとはいえ、こんなに何にもないのはなあ。

 人っ子一人いないし。

 もしかして、ここは本当の首都ではなくてダミー都市だったりするのかな?」


 そんな事を呟きながら歩いていると、平坦な風景の中、何か地面からポツンと突き出した装置のような物があるのが見えた。

 先程までは何もなかったはずなのに。

 よく見ようと思って近づこうとすると、これ以上ないくらい嫌な感覚がする。


 それは紛れもない『死の匂い』だった。

 次の瞬間にジョニーはクルっと回れ右をして、脇目も振らずに遁走に転じた。


 それが幸いしたようだ。

 次の瞬間に先ほどまでジョニーがいた場所は綺麗に吹き飛んで、ぼこぼこの土山みたいになっていた。

 どうやら何かの防衛装置が働いたようだ。


「あー、ヤバかった。あぶねえ、あぶねえ」


 何しろ、ジョニーは人間ではない。

 こういう時は野生の本能に絶対逆らったりしない。

 それがジョニーの命を救ったようだ。


 これが人間ならば、任務を果たすため更に調べようと前に進んでしまって、間違いなくやられていただろう。


 用心しながら逃走しているうちに、また地下から何かが出てきた。

 今度は幾つも出てきて動き出した。

 そしてそいつは、明らかにジョニーを追ってくる。


「ありゃあ。

 あれはあの魔王が使うようなヤバイ魔道具か何かだな。

 くそ、足が速い。

 追いつかれそうだな。

 こいつはマズイ!」


 人化してゴーレム馬へ乗りかえたら撃たれてしまいそうだ。

 頭に装備していたカメラを外してアイテムボックスに仕舞うと、一瞬にしてジョニーは蹲り、全ての気配を消す事に専念した。


 追ってきていたものは、全て彼を通り越していった。

 そいつに踏まれなくて幸いだった。

 ジョニーは気配を消したまま、それを追っていく。

 いつものパターンだ。


 やがて、そいつは前方でピタリっと止まると、また引き返してくる。

 どうやら活動する指定範囲がある警備装置のようだった。

 ジョニーはまた、風景に溶け込むようにして己を消し去った。

 殆ど忍犬である。


        ◆◇◆◇◆


「お帰り。今度は早かったな。

 どうだったー」


「いやあ、ヤバかった。

 何か変な感じでよー」


「変な感じ?」


 プリティドッグの敏感なアンテナに引っかかる感じなのか。


「ああ、いきなり何か変な物が隠れている地面の中からせり出てきて、そいつからの強力な遠距離攻撃を食らったし。

 ヤバイと感じて遁走したからいいようなものの、これが間抜けな人間だったら確実にやられていたぜ。


 あと何か知らないが、多数追撃してきた物もあった。

 魔導具か何かだと思うのだが、これがまた滅法足が速くてな。

 俺が誤魔化せたから、あれは何かの機械みたいなもんじゃないかな。

 あれは型通りの反応しかしないし、一定の範囲を捜索すると勝手に戻っていくみたいだ。


 この先は何かの仕掛けがいっぱいありそうだな。

 でも地面には建物とかは一切無いんだよ。

 もう一つの壁が向こうにあって、その先は見えないんだが、さすがにヤバイんで早々に引返してきた」


「写真を見せてくれ」


 アイテムボックスからカメラを取り出して、俺に渡すジョニー。

 データとして取り込んだ画像は、一目見て「アンテナ」と思わせるようなものだった。


 なるほど、辺りに何も無いのは地下要塞みたいになっていて、フィールドを展開するための格納式システムが地上に顔を出しているわけか。


 地上用の追跡ポッドみたいな物もあるわけだな。

 攻撃は何をしてきたのか気になるが。

 相手方だけ魔法を使えるようになっていたらマズイな。


 それもやろうと思えばやれない事もないだろう。

 俺だったら、そんな真似も多分やれるはずだ。

 こいつは色々と面倒だな。


 なんか特撮にでも出てくるような悪の組織の地下要塞でも攻めているような気分だぜ。

 いや、そういうのは嫌いじゃないがな。


「空爆出来れば一発なんだが」

「空爆?」


「ああ、空からドカンと攻撃するのさ」


 そう言ったって、この世界の者にはわからないのだろうなあ。


「へえ。

 じゃあ、援軍でも呼んだらどうだい?」


「どうやって呼ぶんだ?

 通信規制や魔法規制があるんだから、完全に御手上げだ」


 うちの子で魔法以外を使って空を飛ぶやつといえば、ゴン太やメルくらいか。

 いや、あいつらも確か魔法で飛んでるんじゃないかなあ。

 羽は体に比べて凄く小さいし。


 あの子達は、ファンタジー映画に登場するドラゴンのように優美な翅の長いスタイルではない。

 なんというか、翅は飛行魔法を駆動するための飛行装置のように背中に取り付けられてあるが、日頃は飛ばずに地上でゴロマキ一本みたいな感じで。


「なんか、そういう道具はないのか?

 いつもみたいによ」


「うーむ、そう言われてもな。

 飛行機械あたりは封じられているし。

 今こそあれらが役に立つ時なのだが」


 手持ちのスペシャルな道具といえば、このダンジョンレーダーと、もう一つミハエルが渡してくれた「これ」しかないが。


 俺がそのアイテムを取り出した時、ダンジョンレーダーは突然輝きだし大声で叫び出した。

 初代国王船橋武のハイテンションな声で。


「時は来たれり!

 起動、覇軍の指輪!」


「うおっ、びっくりした~。

 いきなり大声で喋るなよ!

 敵の目の前でこそこそしている時なんかだとヤバイだろうが」


 そう、ミハエルが手渡してくれたものとは、真理が千年もの永きに渡って保管していた、あの曰く付きの指輪だったのだ。


「さて、この指輪の機能について説明しよう。

 これは自分の軍勢にただ力を与えるだけでなく、いかなる状況下においても必要な援軍を呼び寄せることが可能だ。

 だが、それは誰でもいいわけではない。

 対象は使用者がよく見知ったものでなくてはならない。

 その中から必要な者を呼び寄せるのだ」


 この指輪にそんな機能があったとは!

 作った本人(?)の解説が無かったらわからなかったぜ。


「さて、どんな援軍を呼ぶのだ?

 この指輪が君の思考を読んで、必要な存在を呼んでくれるはずだ」


 援軍、援軍ねえ。

 やっぱりうちのドラゴンあたりか?

 あとバルドスの爺なんかも悪くないよな。


 陸上だからクラーケンはちょっと。

 いや、蛸って少しの間なら陸上でも活動が出来たはずだ。

 よく釣り動画なんかだと船の上でうにょうにょしていたりするよな。

 だから蛸が畑で大根を盗むなんていう与太話も湧いたくらいで。

 そんなもん盗むのは人間の盗人くらいなのだが。

 まあ、あいつらってウエットな防護シールドで護れば陸上でも長時間活動出来るのだが、今回はああいう物すら無効化されかねないからヤバイんだよな。

 うーん、迷う。


 そんな事を考えているうちに、指輪が猛烈な光を放ちだした。


「うおっ!

 ちょ、ちょっと待て。

 まだ決めていないぞ」


「問題ない。

 指輪が君の思考と記憶を読み、適切な援軍を選択して呼んでくれるから」 


「オートモードかよ!」


 しかし、一体何者が来るんだ!?


 そして、突然目の前に光の奔流が現れた。

 そこに沸いた連中は!


 一人は「ファル」。

 そして、もう一つの援軍とは。


「お、お前達は~」


2巻はPOSで100位後半だったようです。1巻は200位後半でしたので、瞬間風速は2巻の方が大きかったと思われます。


専用サイトで重版報告されていると、重版履歴として見られるので嬉しいですね。

http://books.tugikuru.jp/detail_ossan.html

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。