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絡みつく闇と共に歩く  作者: バージ
5/6

2章 首無し騎士と悪魔の子3

新堀紀秋しんぼりのりあき

高校2年生 年齢:16 一般人

筋力:14 体力:13 速力:11 知性:10 精神:9

心:70 回避:22 ダメージボーナス:1D4 幸 運:70

HP:14 MP:9 非現実:0  Lv:0

――――――――――――――――――――――――――

[技能]

信用70 心理学70

etc


――――――――――――――――――――――――――――――――――――


動いて、動いて、動き回ってから休む、東陽会長。

強引だが、俺はそれに感謝している。

柔軟で冷静で、確固たる自意識を持った親友、愛原。

自然体と心地良さの権化だ。

柔らかさと優しさで溢れた女性、柊。

愛原と似たもの同士お似合いだ。

そして、この三人を上回る変人達。

俺は死んでも、彼らを信じることを止めないだろう。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――




愛原は騎乗した騎士の剣を避けようとして、片足を下げる。

戦闘が始まって以後、愛原は一瞬たりとも騎士達から目を離したことは無かった。

極限状態による集中力のおかげか、戦闘のさなか敵の技量を見抜いていく愛原。

それ故に忘れてしまっていたのか。

歩くことに大した不自由も無いとはいえ、この場所は森の中だと言うことを。

下げた足は運悪く、大木が周囲に伸ばす根っこの一つにぶつかり、愛原は体勢を崩す。

それは脆弱な肉体しか持たない人間である愛原にとって、致命的なミスだった。

自身が侵したミスに愕然とする愛原の目に、自らの首に向かって振り下ろされる剣が映る。

首無し騎士の人間離れした力の前では、自身の首など、草花を手折るかのように、容易に切り落とすだろう。

自身の死を確信して、しかし愛原の胸中を満たしたのは、恐怖でも絶望でもない。

それは間違いなくかつて無い大きさで、耐えがたいほどの悔しさと、そして自身に対する怒りだった。

ゆっくりとした時間が流れる中、自身の内より感情を爆発させた愛原は、鬼のような形相を浮かべ、殺害を確信した騎士を睨み付ける。



愛原 非現実28 Lv2

習得:憤怒悔恨

効果:一週間に一度だけ、自身が殺害されるとき、そのダメージを無効化し、即座に成功率+20してカウンターを行う。


ダメージ0

愛原 武道・蹴り 99・99 ⇒78  成功

首無し騎士2 受け流し ??? - 20 ⇒ 37  失敗

ダメージ6

首無し騎士2 HP:??? - 6



自身の死を確信していた愛原は、いつの間にか敵に蹴りを入れていたことに驚愕した。

体が勝手に、信じられないような動きをして剣を避けたばかりか、そのまま反撃までしていたのだ。

しかし、呆けていられる時間は一瞬だった。



首無し騎士2 蹴り ???⇒81  失敗


首無し騎士1 ロングソード ???⇒41  成功

愛原 回避 69⇒99  失敗・ファンブル

ファンブル効果:現攻撃者の次の手番の終わりまで自身の全防御行動半減かつ装甲半減

ダメージ7

愛原 HP:11 - 7 = 4

愛原 気絶判定(精神) 85⇒60  成功



黒い馬の蹴りと共に放たれたもう一人の騎士の剣が、愛原の胸を肩口からばっさりと切り裂く。


「優真君!?」


瑠樹奈が悲鳴に近い声を上げる。

愛原の途切れ掛けた意識は、その声によってつなぎ止められた。


「大丈夫、まだやれる!」


両者はもう一度対峙する。

方や体を真っ二つにされかけ、方や本気を出して闇の馬に跨がっている。

そして一瞬の静寂を享受しただけで、また両者は動き出す。


先に掛けだした柊と騎乗した騎士は、その場でとどまったまま連続して動く。

足運び、そして体の動きによるフェイントの交差。



柊/首無し騎士2 俊敏対抗 50⇒73  失敗



両者はまるでダンスを踊るかのようにステップを踏み、そして騎士が先にその足を出した。



首無し騎士2 ロングソード ???⇒06  成功

愛原 受け流し (79 - 20) / 2 = 30⇒07  成功

首無し騎士2 蹴り ???⇒77  失敗


柊 武道・蹴り 76・70⇒63  成功

首無し騎士2 回避 ???⇒98  失敗・ファンブル

ファンブル効果:現攻撃者の次の手番の終わりまで自身の全防御行動半減かつ装甲半減

ダメージ9

首無し騎士2 HP:??? - 9



柊の蹴りによって、馬の首が正常とは言いがたい角度までひん曲がる。

すると馬に跨がっていた騎士が震えだし、そして馬をかたどっていた闇は霧散した。

怨嗟の声を上げながら、溶けるように闇に消えていく騎士。



愛原 非現実:28 + 2 + 2 = 32

柊 非現実:7 + 3 + 3 = 13



「やった!」


その喜びからか、つい声を上げる柊。

柊はもちろん、愛原も今度こそそう確信する。

あと一人、二人ともそのときだけははそう思った。


首無し騎士1 ロングソード ???⇒04  成功・クリティカル

クリティカル効果:このターン自分の攻撃時、相手の全防御行動半減かつ装甲半減

柊 かばう 俊敏対抗 60⇒92  失敗

愛原 回避 69 / 2 / 2 = 22⇒85  失敗

ダメージ10

愛原 HP:4 - 10 = -6

愛原 死亡



喜びの為だったのか。

戦闘中、そして非日常的な現象内での一時的な興奮状態。

それによって忘れていた、自身の胸に深々と付けられていた傷の痛みが、そのときになって愛原を襲った。

奇蹟は二度は起こらなかった。

もう一人、残った騎士による、間違いなく今までで最高の攻撃。

それは痛みによって一瞬だけ動きを止めた愛原の肉を切り裂き、骨をたたき折り、その肉体を真っ二つにした。

圧倒的な暴威の剣。

それによって愛原は、痛みも感じることも無く、意識を手放した。

そして、柊は目撃した。

人一人の体がちぎれ飛ぶ様を。

そして、柊は理解した。

自身の愛する存在を破壊され、失うと言うことを。



柊 心 1D6/2D6 79⇒06  成功

減少値:2

柊 心:79 - 2 = 77

柊 非現実:13 + 8 = 21


柊 非現実:21 Lv2

習得:純正なる殺意

効果:自身の攻撃によるダメージ判定時、MPを任意の点数払い、ダメージを+消費MP/3する。(最大+10)


柊は自身の受けたストレスに、胸を抑えて膝を突く。

しかし、すぐに騎士を睨み、立ち上がり構えを取る。

夢の中での死が、現実での死と直結しない可能性。

それに一縷の希望を乗せて、柊は飛びかかる。


「死ねぇぇぇぇぇぇえええええええええ!!!!!!!!」











朝。

目が覚めたら、近距離から目を見開いてこちらを見つめる瑠樹奈がいた。


「るき」

「良かった!!!!」


思いっきり抱きつかれた。


「ど、どうした?」

「うう…死んじゃったかと思ったよぉ!」


俺が瑠樹奈に面食らい、口をパクパクさせている様子を、後ろから会長がニヤニヤしながら眺めている。


「ま、まあ瑠樹奈、大丈夫だから」


泣きつく瑠樹奈をなだめるのにしばらく時間がかかった。


「それで、あの後は?」

「おそらく時間で夢から覚めたんだろうな。一人でいるとき、夢が終わったときと同じ感覚だった」

「優真君がやられてすぐのことだったから、もう一体は倒せなかったの」


飄々とした、というかいつも笑顔でいる瑠樹奈がしおらしい。


「会長も無事みたいだし、次で倒せば良いだろ」


そう言って励ましの言葉を掛ける。

ただ、俺は忘れていない。

夢の中、確かに自分が死を経験したことを。



愛原 心 0/1D4 86⇒00  失敗

減少値:1

愛原 心 86 - 1 = 85


愛原 非現実:32 + 8 = 40

夢の中での総ダメージ:17

愛原 最大MP:37 - 17 * 2 = 3










学校は今日もいつも通りに行われ、人々が続々と集まってくる。

自分たちがどれだけ非日常的な目に遭っていようと、周りの世界は変わらない。


「いやぁ、良いものを見せてもらった」


会長が笑いながら言う。

そして瑠樹奈は俺の近くから離れようとしない。


「忘れて下さい。それより新堀は?」


朝の時間に待っていても新堀は現れず、ホームルームが始まっても現れない。

心配になって電話してみても、一向にでる様子もない。


「まあ状況的に考えて、廃屋の奴らにやられたんだろうけど」

「だろうな。何もしなかったなら見つかるとも思えなかったが」


会長が冷静に言う。


「魔法とか使ったのかも」


瑠樹奈が言う通り、魔法を使ったか、あるいはまともな人間では無いかだろう。

新堀は勉強は苦手だが頭は良く、それに割と慎重だ。

わざわざ見つかるようなマネをするとは思えないし、それなら相手が特別に見つけたことになる。


「何にせよ、廃屋は危険だな」


会長は新堀がいなくなったというのに冷静だ。

ちょっと安心した。


「でも、結局とれる選択肢は廃屋に突っ込むか夢に突っ込むか」

「一人倒したから今度は二対一にできないかな?」


確かに一人倒したからもしかしたら一人しかいないかも知れない。

ただ。


「俺がもう一回夢の中に入れるかも分からないんだよな…」


あそこで殺された俺が、けだるさはあるものの、現実では無傷。

不安だ。

三人でしばらく悩む。


「まあ…比較的リスクの少ないと思われる夢の方に行く、か?」


考え込んでいても仕方ない。

そういうことで、今夜も夢に挑むことにした。







夜、愛原にとっては三度目の夢を見る。

やはり暗い森の中だが、今回はいつもと違い、会長と騎士が対峙している。

騎士はしかし今までと違い、最初から騎乗している状態だ。

そして前回最初から会長と共にいた柊が、今回は愛原と同じ所から始まった。



柊瑠樹奈 精神×試行回数+非現実 16 * 2 + 21 = 53 ⇒ 09  成功

愛原優真 精神×試行回数+非現実 17 * 3 + 40 = 91 ⇒ 51  成功

東陽楓 精神×試行回数+非現実 14 * 7 + 12 = 110 ⇒ 38  成功



愛原と柊は戒めを強引に解き、東陽の前に立つ。

しかし、やはり今回は今までと違う。

騎士はこちらが東陽を逃がすまもなく走り出したのだ。

かなりの素早さを持つ柊を追い越して動き、そしてまるでひき殺すのが目的かのように加速する。



首無し騎士 突撃 ???⇒07  成功



まずい!

愛原と柊、両者が共に戦慄する。

全力疾走する馬を素手で止められるはずもなく、って入ろうものなら轢かれるか突き飛ばされて終わる。

闇で形作られた馬は怯えも戸惑いも無く、こちらを轢き殺そうと疾走する。



柊・愛原/東陽 筋力・体格対抗 95⇒49  成功

愛原 回避 69⇒09  成功

柊 回避 84⇒39  成功



二人は一瞬だけ目を合わせ、それだけで両者の意図を理解し、東陽を突き飛ばす。

東陽自身が回避しようと動いていたこともあり、隙も無く東陽を退避させることができた。

そのまま二人は飛び退り、騎士の突撃を回避する。


「クッ」


飛び退って避けることしかできなかった二人はすぐには反撃できず、白兵戦が始まる。



柊/首無し騎士 俊敏対抗 50⇒43  成功


柊 武道・蹴り 76・70⇒13  成功

首無し騎士 回避 ???⇒43  成功


首無し騎士 ロングソード ???⇒24  成功



そして、またしても狙いは東陽。

前回と違い、今回は東陽が離脱する余裕が無かった。

愛原、そして柊両者が間に割って入ろうとする。

愛原の場合は一度殺されても大丈夫だったが、本来狙われているのは東陽だ。

この中で最もやられては為らない対象、二人はそれが東陽であると理解していた。



柊/首無し騎士 かばう 俊敏対抗 50⇒30  成功

柊 受け流し (76 - 20) = 56⇒51  成功


首無し騎士 蹴り ???⇒27  成功

柊 回避 84⇒51  成功



ギリギリでルティナが割って入り、その剣と蹴り、両方を捌いていく。

見事な動きであった。


「会長は回避に集中!」


叫び、愛原が騎士に蹴りかかる。



愛原 武道・蹴り 79・88 ⇒50  成功

首無し騎士 回避 ??? / 2⇒65  失敗

ダメージ5

首無し騎士の馬 HP:??? - 5



柊/首無し騎士 俊敏対抗 50⇒18  成功


柊 武道・蹴り 76・70⇒59  成功

首無し騎士 回避 ???⇒11  成功


首無し騎士 ロングソード ???⇒00  失敗・ファンブル

ファンブル効果:次の自分の手番終了時まで、全防御行動半減

首無し騎士 蹴り ???⇒85  失敗



愛原 武道・蹴り 79・88 ⇒09  成功

首無し騎士 回避 ??? / 2 / 2⇒53  失敗

ダメージ5

首無し騎士の馬 HP:??? - 5



騎士は、執拗なまでに東陽を狙う。

更に愛原は、その観察眼故に理解する。

騎士の能力が、前日までより上がっているということを。



柊/首無し騎士 俊敏対抗 50⇒75  失敗


首無し騎士 ロングソード ???⇒85  成功

柊/首無し騎士 かばう 俊敏対抗 50⇒93  失敗

愛原/首無し騎士 かばう 俊敏対抗 35⇒51  失敗



「クソッ、会長、そっち行く!」



東陽 回避 50⇒99  失敗・ファンブル

ファンブル効果:次の自分の手番終了時まで、攻撃不能

ダメージ16

東陽 HP:10 - 16 = -6

東陽 死亡


強烈な危機感に叫ぶ愛原。

しかし、その声は虚空へと消えていく。

突きだした騎士の剣が、東陽の胸へと消えていく。

そして力任せに振り抜き、東陽の肉体を引きちぎりながら放り投げる。

宙を舞った東陽は、まるで生き物では無いかのように、血と肉片をまき散らしながら地面を転がる。

東陽はうち捨てられた状態のまま、一度だけ騎士を睨み付ける。

そうして東陽は動かなくなり、周りの景色が急速に歪んでいく。

世界が無くなっていく中、騎士が柊にその剣の切っ先を向けた。

まるで、次はお前だとでも言うかのように。



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