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孤独な魔王様と 神々の愛し子  作者: にくきぅ


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4/22

04__49歳の幼児と 0歳の幼児

タイトル、これで良かったんだろうか…。

今なら まだ間に合う、と云う思いがあるも 具体的に何にすれば良いかと云う案はなく……結局 これで押し切ってみようかと。

でも、酷いな、何か……。



___視点:東の魔王 - ロキ___


ソファの裏側に凭れながら、ロキは 床にへたり込んだ。

ソファの上に竚(た)っている幼女の睛(め)からも、ロキの小さな軀(からだ)が 完全に ソファの陰に隠れる。

その状態で、ロキは、はぁ と大きく息を吐いた。


《 驚いたぁ。》


再び息を咐(つ)いているが、動悸は治まっていない。

今も、ロキの耳の奥には 自身の心臓の音が聴こえていた。

彼は 何に驚いていたのか、自分で 判っていた。

勿論、幼児の裸に ではない。

急激に大きくなった事にも驚いていたが、此処までの動悸は それが原因ではない。

もっと 信じられない、有り得ない事が起きたのだ。


《 迂闊だった……。》


後悔に似た感情が、胸の奥に じわりと拡がった。

それに伴って、ロキの表情も 苦いモノに変わる。

この様子を、無表情な黒髪の幼児が じっと瞰(みおろ)していた。




   ▽   ▽   ▽   ▽   ▽




___視点:東の魔王 - ロキ___


《 莫迦だ、俺は。》


心底、そう惟(おも)ったのは 事実だ。

だって、やっちゃったんだ、ドジを。

眼の前にいるのが 誰なのか、その子が どんな存在なのか、判ってた筈なのに 理解が足りなかった。

そうだ、理解し切れてなかったんだ。


《 この子は〔愛し子〕なんだ。》


確かに 人間の子供だけど、この子は 普通の子供じゃないんだ。

俺は、背と首を伸ばす様に ソファの上に竚(た)つ 小さな女の子を見上げた。

赤ん坊の時から そうだけど、相変わらず 感情の見えない顔だ。

作りは 可愛いのに、何か勿体無いな。

紅藤色の睛(め)も 綺麗なのに、これじゃ 置物の人形みたいだ。

勿体無いなぁ、笑ったら 可愛いんだろうに。

そう惟(おも)いながら、へたり込んだまま 彼女を見詰める。

紅藤色の円(つぶ)らな瞳とは、ずっと 睛(め)が合ったままだ。

無表情も珍しいけど、黒々とした髪が 何より珍しい。

この子がいた国でだって、こんな色の髪は 珍しいんじゃないかな。

たぶん、両方共 親とは似ても似つかないんだろうな。


《 あの光りと 一緒で、神々からの『贈り物』なんだ。》


俺の睛(め)には、この子(取り敢えず、愛称は『シシィ』で)が放ってる 眩しいくらいの光りが視える。

これは、神々からの やたらな加護を受けた証しで、この子にとっては 厄災の元になるモノだ。

何せ、この光りに惹かれるのは 人間だけじゃない。

人間-以外のほうが、この光りを認識し易いんだ。

身近な家畜や 野鳥だって、周辺の野生動物だって、勿論 魔物だって、この光りが視えれば 惹き寄せられちゃうんだ。

慕って 集(つど)おうとするモノもいるし、その『光り』欲しさに この子を襲うモノだっている。

人間は 簡単に傷付くんだ、って理解しない 獰猛な野生動物とか、知能の低い(或るいは、ない)魔物が その類(たぐ)いだけど。

本当は、彼等だって〔愛し子〕を傷付ける気は ないんだと惟(おも)う。

ただ、自分達の力が勍(つよ)すぎる って事を理解する前に 相手を殺しちゃうだけだ。

歴代の〔愛し子〕は、そうして 死んだんだと惟(おも)う。

人間じゃ、護り切れる筈ないし。


《 この子も、それが原因で、此処に来る事になったんだろうな。》


この呪布は、移動途中で 他の生物に〔愛し子〕と悟らせない為。

ひょっとすると、日常的に これに…………。

違う……『絶対に』そうだ。

人間に護り切れる訳ないんだ、何度も押し寄せてくる いろんなモノから、この子を。

だから、隠す為に 呪布を用意した。

だけど、その状態が何年も って考えた時、無理だって事に気が付いちゃったんだ。

もしかしたら、他の人間達から 厄災の種みたいな扱いになってきてたのかも……。

それで、あの祭壇に…………。

そう惟(おも)うと ちょっと複雑な気分だけど、その お陰で、会えたんだ。

でも、これは、喜んじゃ いけない、のかな……?


《 …………ちょっと、複雑。》


可哀相だ って惟(おも)うのに、どうしても 嬉しい気持ちが勝(まさ)っちゃってるのが。

どうしても、自分の事が優先になっちゃう。

俺って 魔族なんだし、仕方ないけどね。

だけど、それと この子が成長しちゃったのとは、譚(はなし)が別だ。

「 ––––––––––––ごめんね」

急に詫びられても、この子には 伝わらないかもしれないけど……それでも、言わずにはいられなかった。

軀(からだ)が大きくなったのは、きっと 俺のせいだから。


《 俺が、願っちゃったから……。》


あの時、名前を付ける時、俺は 願ってた。

俺の傍(そば)にいられる この特殊な存在に、ずっと 傍(そば)にいてほしい……って。

心の何処かで、そうあれば って、惟(おも)ってた。

人間には無理だ って判ってたけど、それでも この状態の俺の傍(そば)にいられる 唯一の存在だったから。

シシィがいてくれれば、俺は 孤独なんかじゃない、って。


《 こんな事になるなんて、惟(おも)ってなかった。》


これは、本当だ。

叶わない願いだと惟(おも)ってたし、短い間でも いてくれるだけで充分だ とも惟(おも)ってた。

でも、確かに この願いは、俺の中にあった。


《 まさか、そのせいで 成長させちゃうなんて………。》


名前を付けたのも、ひょっとしたら いけなかったのかも。

俺は、魔王だ………実感ないけど。

強い仂(ちから)を持つ者の影響は、いろんな形で出る。

俺が 名前を付けた事で、この子を 根本から変えちゃったのかも。

それこそ、自然界の、人間としての在り方-そのものを、根本から。


《 有り得るよね、元々 普通の人間じゃなかったんだし。》


神々の加護と云う称(な)の 詛(のろ)い。

俺が 眞名(まな)を付けたせいで、それが反応した可能性が大きい。

軀(からだ)が成長したと同時に、寿命とかも 変わっちゃったかも……。

「 ––––––––––––……… 」

俺は、無言で瞰(みおろ)してくる紅藤色の瞳を じっと見詰めた。

綺麗な睛(め)に映る自分を、見た。

幼い少年の顔は、嬉しそうに笑ってる。


《 嬉しい!》


詭(いつわ)らざる心が、シシィの睛(め)に 映ってた。

何だかんだ云っても、俺は 魔族。

最終的には、自分が中心だ。

自分が良ければ、それでいいんだ。

この先の人生に シシィがいてくれれば、俺は 独りじゃない。


《 本当に、いい事あったなぁ。》


俺の魔力に曝されて 平然としてるシシィを見上げて、心から 嬉しいと惟(おも)った。

誤魔化せないくらい、俺は 上機嫌になってた。




   ▽   ▽   ▽   ▽   ▽




___視点:魔王の側近 - リク___


「!––––––––––––––– 」

私は、魔王城の 北の翼棟の一室で、息を飲んだ。

大丈夫だと惟(おも)ったからこそ ロキ様の許(もと)に〔愛し子〕を残して来たのだが、心配で 自室に戻れなかった。

そんな訳で、北の塔が見える 高い階層にいるのだ。

窓から見える景色の一郭に、谿(たに)と その向うに建つ北の塔が見える。

その方向から、強烈な気配が溢れたのだ。


《 これが〔愛し子〕の……。》


ロキ様の魔力は、ご本人の心や性格とは裏腹に 暴力の様だ。

夥(おびただ)しい刃を その中に孕み 、近付こうとすれば 気軽に切り刻んでくる。

しかし、今し方の気配は 違っていた。

魔族の気配とは違う、波動を感じるだけで心躍る感覚が 軀(からだ)を貫いた。

私が 生贄の祭壇へ着いた時、赤児は 呪布に葆(くる)まれていた。

〔愛し子〕-特有の光りも 気配も、実際には 睛(め)にしていない。

それでも、この気配の主が あの赤児である事は 確信していた。


《 無事だった。》


今更ながら、そんな考えが頭を過(よ)ぎった。

私でさえ 2メートル以内には近付けないと云うのに……。

生まれたばかりの人間の赤児が、ロキ様の傍(そば)にいられるのだ。

而(しか)も、人間である あの〔愛し子〕は、ロキ様に 直接 觝(ふ)れられても平気らしい。


《 呪布を取り払ったのですね。》


お優しいロキ様の事だ。

呪布などに包まれているのは可哀相、とでも惟(おも)ったのだろう。

それで、躬(みずか)ら あの呪布を解(ほど)いたのだろう。

だからこそ、急に 気配が溢れ出たのだろう。

傍(そば)にいられるだけでも驚きなのに、直接 觝(ふ)れられても異常をきたさないのだ。

神々の加護を 一身に受けた人間、それが〔愛し子〕である。

叡智・能力(スキル)・魔力・美貌、それ等を 神から与えられた人間である。

その穏やかで 密度の濃い魔力は、ロキ様の魔力の波動にも屈しなかったのだ。


《 人間でしたよねぇ……? 》


惟(おも)わず そんな疑問を呟きたくなったくらいには驚いていた。

そのくらい 信じられない事態なのだ。

神々の加護とは、こんな事にも作用するのだろうか……?


《 あの睛(め)も、叡智-故でしょうか。》


出会った瞬間から 見定める様な睛(め)を向けられていた事を思い出し、首を捻る。

赤児の間から そんな叡智があるモノか、と問われれば、私には答えようがない。

その可能性がある、と云う事でしかないのだ。


《 もし、そんな事があるのなら……。》


その叡智で 叶えてほしい事があった。

私だけではない、この国の多くの者達の 切なる願いだ。

勿論、産まれたばかりの赤児に希(のぞ)む事ではない。

自分達であっても叶えられない願いを、あの〔愛し子〕に託すのは 身勝手とも云える。

だが、可能性があるとすれば〔愛し子〕だけなのも 事実なのだ。


《 もし、出来るのなら……。》


今、の譚(はなし)ではない。

彼女が大きくなってからで 構わない。

人間の成長時間は、吾々(われわれ)に較べれば 極端に早い。

20年足らずで『せいじん』とやらに達する生き物だ。

そのくらい 待てる。余裕で待てる。

ロキ様の これからの人生を考えれば、ほんの午睡(ひるね)-程度の時間だ。


《 だから、どうか……。》


其処まで考えて 頼ってはいけない、と 理性の様なモノが働いた。

彼女は、人間だ。

〔愛し子〕として産まれてはいても、この世界で 最も非力な人型の生物だ。

魔力が強いと云っても、ロキ様の仂(ちから)を制(おさ)え込める程ではないだろう。

飽く迄も、自分の身を護れる と云うだけだろう。


《 だが、もしかしたら……。》


諦めなければ、そう 惟(おも)っているのだが、心は やはり願わずにはおれなかった。

暫(しばら)く この場から動く事も出来ず、この他力本願な願いを払拭する事も出来ずにいた。

そう、ほんの10時間-少々を、そうして 北の翼棟の一室で過(す)ごしていた。

ロキの願いが ほんのちょっとだけ叶いました。

リクの願いは、その内 叶うかな…。叶う、かな……たぶん。

それにしても、小さな子を描くのは難しいな…ロキの場合は、中身が大人設定だから いいとしても、もう1人は どうしよう。

子供産んだ事もなけりゃ 子育て経験もない私には 難易度が高いです。

何で こんな設定にしちゃったんだか…。

育児放棄にならない様に 頑張って進みます。

最早、作中のロキやリクの苦労など そっち除けだ。

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