14.
「リカバリー! リカバリー! リカバリー!」
瀬戸田が必死に叫ぶが、視界は晴れない。その中で出口を見失って手を繋いでいた二人を見つけ、僕は田上さんの空いていた手を掴む。バリバリバリと、爆発が連鎖しているような音も聞こえるが、どこから聞こえるのかは分からない。
「くっそ、どうしてこうなるんだ……」
その中でも、瀬戸田だけは方向感覚を失っていなかったらしい、僕たちを出口まで導くと、一人で再びシートの向こうへ。
「大丈夫ですか!?」
「何があったんですか?」
警戒していた警官や、報道陣、通りがかりの人に声を掛けられるが、僕は戻っていった瀬戸田のことが気がかりでならなかった。しかし、今、この非常事態、危険へと立ち向かう彼に付いていって、僕に何ができるだろうか? 自分はこんな組織に属しているとはいえ、あまりに無力であることに気付き、罪悪感に苛まれる。
「いきなり爆発が起きまして……」
「爆発!? え、またですか? 昨日もありましたよね」
「そのようなんです……何があったのか、私たちにもよく分からないのですが」
二人は駆けつけた人々と言葉を交わす。どうやら彼らも無事らしいが、僕はそのことよりも、親友の無事を祈らずにはいられなかった。
「一体何が起きたんですか? 二日続けて……あれ、あなた、昨日現場にいらしては……」
僕にもマイクが向けられるが、受け答えしている二人とは逆に、僕は立場上、沈黙を貫くことにした。この件について、「そう『かもしれない』」ことはたくさん知っているが、「そう『である』」ということについては、何一つ手の中に無かったからである。
シートの向こう、空の上まで、煙が舞い上がっている。どこかに通報する人も現れた。
そして、その質問を無視して、シートの方を向いた瞬間、その向こうから声が聞こえた。瀬戸田だ。
「あんまりこれは使いたくないんだけど……Emptiness!!」
奥義、「エンプティネス」。直訳すると「空虚」。彼が使えるという「魔術」の中で、最高に難しく、最高にエネルギーを消耗するが、決まった時の威力は計り知れないと、彼自身から聞いたことがある。その魔術には特殊な魔法陣が必要で、常にそれを書いた紙を携行しているが、実際に行使したことは一度しかないという。
すると、上空を覆っていた煙は消え、轟音も次第に収まった。騒いでいた人々も沈黙し、一瞬、時間が止まったのではないか、という錯覚さえ覚えた。
――もう、大丈夫だろう。
僕は彼の無事と、シートの向こうの安全を確認するため、誰にも断らずにそれをくぐった。
そこには、もうあの欠片の山はなく、地面一面に白い小さな欠片が広がっているだけだった。大きなエネルギーを使うと聞いていたので、さぞかし疲れているのだろうと思っていたが、入り口付近にいた瀬戸田は、けろっとした顔で、十ミリリットルぐらいが入るか否かぐらいの小瓶から何か飲んでいた。
「……何飲んでるの」
「エリクサーだよ。あ、この袋に、集められるだけ、落ちてる欠片入れといて」
「あ、うん……」




