第五章 7話 敵情視察
――オーク達は、少し……しょんぼりしていた。
「姉さん……かなり、本気で俺達の事を忘れてますよね?」
「えっ……い、いや、覚えてるわよ! うん!」
「確か……イノシシ男から、ランクダウンしてしまった……」
「豚おとこ?!」
「いやっ……普通に酷すぎる!」
「セレグは、覚えてる?」
『まあ……それなりにはな』
『最後に、バルサに叩き飛ばされてたヤツだろ?』
「えっ……まあ、それは確かにそうですが……」
「なんで、みんなしてそこだけ覚えてるんですかねぇ……」
オーク兄弟は、揃って肩を落とした。
「それよりもさ、あなた達……ちょっと名前が大げさすぎない?」
「なんか、無駄に長いし……金さん・銀さんの方が良くない?」
「ええ〜〜っ……!」
「俺達の名前って、もう、かなり有名なんですけど?!」
「えっ……そうなの?」
「夜の公園周辺じゃ、結構知られてるんですが……」
「へぇ〜……」
あまり興味なさそうなエリカ。
「………………」
再び、落ち込む二人。
『あんた達って、ここらへんの魔物をシメてる兄弟でしょ?』
パルミアが、会話に加わった。
「へいっ……そうで、やす!」
その瞬間――オーク達の表情が、一気に明るくなる。
『じゃあ、この辺りの情報とか持ってるんじゃない?』
「あっ……そう、それなんです!」
「実は……その話を姉さん達に、伝えに来たんですよ!」
オーク兄が、少し真面目な顔になる。
「この先の丘にある……ゴージャスな屋敷」
「あそこに、最近……魔族が、かなり集まってるんです!」
「しかも、普通の数じゃありやせん……」
「夜になる度に、どんどん増えてる感じで……」
「だから、あっしらも……かなり警戒してるんです」
エリカの表情が、少し変わった。
「セレグ……それって……」
「多分……篠山グループの第一別荘だわ」
「私も、小さい頃に……何回か行った事があるの……」
『なるほどな……』
セレグが、静かに周囲を見回す。
『そこが、例の目的地って事か』
「うん……ちょっと、見に行ってみない?」
「転移って、できる?」
『まあ、近距離なら問題ない』
『俺の肩にでも触れていてくれ』
「あの……あっしら達も、ご一緒していいですかい?」
『そんな大人数は、無理だぞ?』
「大丈夫です!」
「あっしらは、自前で行けますんで!」
「ええっ……なんか、自慢してない?」
『わたしも、自分で行けるよ!』
パルミアが、得意げに胸を張る。
「………………?!」
(なんか……ひとりでいけないのは……私だけ?)
と、ちょっと落ち込むエリカ……
「じゃあ、現地集合という事で!」
「一旦、解散!!」
夜の公園に、妙に元気な声が響いた――。




