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第五章 6話 夜の模擬戦


――深夜。


病院を抜け出したエリカ達は、夜の公園へ来ていた……


昼間とは違う。


静まり返った空気。


冷たい風。


そして、夜特有の〝気配〝が、公園全体を覆っている……


「うわぁ……やっぱり、夜の公園って不気味……」


エリカは、ガーディアン・プラムの装甲をまとったまま、辺りを見回した。


蒼を基調とした装甲……


肩や腕には、植物のようなラインが浮かび上がっている。


そして、背後では、無数の蒼いつるが、ゆらゆらと揺れていた……


『だが、その状態なら問題ない』


少し離れた場所で、セレグが漆黒の剣を肩に担いでいる。


黒き鎧。


フルフェイスの兜。


セレグは、物質化した鎧のなかに精神体として、存在していた。


その全身から、圧倒的なマナが滲み出ていた……


「ねぇ……本当にやるの?」


『模擬戦だ……まず、それの実力を確かめる!』


「でもさぁ……セレグ、本気で斬ってこない?」


『安心しろ』


『死なない程度には、加減する』


「それ……ぜんぜん、安心できないんだけど!?」


パルミアが、ケラケラ笑いながら飛び回る。


いつのまにか、その場に紛れ込んでいた……


『だいじょーぶよ!』


『たぶん死なないから!』


「たぶんって何ぃぃっ!!」


その瞬間――


ドンッ!!


地面が砕けた。


「えっ――!?」


セレグが、一瞬で目の前まで踏み込んできていた。


漆黒の剣が、横薙ぎに走る。


「はやっ!!」


エリカは、とっさにつるを地面へ打ち込む。


バシュッ!!


反動で身体が後方へ引っ張られた。


剣閃が、鼻先を掠める。


ゴォォォッ!!


「うわぁぁっ!!」


『避けたか』


「いやいやいやっ!! 今の絶対当たってたでしょ!!」


『だから、少し逸らした』


「怖すぎるよっ!!」


だが次の瞬間。


エリカの背後から、蒼いつるが自動的に飛び出した。


シュルルルルッ!!


「えっ!?」


つるが、セレグの腕へ絡みつく。


『ほう……』


セレグは、少し感心したように呟いた。


『半自動防御か』


「えっ……わたし、今、何もしてない!」


『精神体側が反応しているんだろう』


『面白いな……』


その瞬間。


ブワッ!!


今度は、複数のつるが一斉に広がった。


蒼い軌跡が、夜の公園を駆け抜ける。


「わわっ!? ちょっ、勝手に動いてるぅっ!!」


『落ち着け』


『マナの流れを意識しろ』


「そんなの分かんないよぉ!!」


セレグが剣を振る。


ズバァンッ!!


つるが数本、斬り裂かれた。


しかし――


シュルルルル……


切断されたつるが、再生してゆく……


『再生能力まであるのか』


「えっ……なんか強くない!?」


『ああ……普通に厄介だな』


「敵みたいに言わないでよ!」


エリカは、少しムッとした。


その瞬間――


ビュンッ!!


一本のつるが、セレグの足へ伸びる。


『むっ』


つるが地面へ巻き付き、セレグの動きを止めた。


「えっ……?」


『今のは、自分でやったのか?』


「う、ううん……」


『なるほど……』


『この精神体、かなり戦闘向きだな』


すると突然――


『おおおっ!!』


『姐さん!! すげぇぇぇっ!!』


公園の奥から、大きな声が響いた。


「えっ?」


振り向くと、そこには巨大な二体の影。


それは……以前より遥かに巨大化した、オーク兄弟だった……


金色の装甲をまとった片方が、胸を張る。


『お久しぶりです、姉さん!……我が名は――ゴールディア・ウォーク!!』


銀色の装甲をまとったもう一体も続く。


『そして、私は!!シルバニア・ウォーク!!』


「………………」


エリカは、真顔になった。


「アンタ達……だれ、だっけ?」


『忘れるなぁぁぁぁっ!!』


夜の公園に、オーク兄弟の絶叫が響き渡った……





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