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転生鍛冶師の武器無双~自作の武器でSランクの魔物を相手に試し斬りしていたら、何故か最前線で送られることになったんだが~  作者: WING
第4部

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第21話:手あたり次第ブチ込む

 結論から言おう。

 戦いは、あっけなく終わった。


 いやまあ、あっけなくって言い方は現場で血反吐吐いてた連中にぶん殴られそうだから訂正しておくが、少なくとも流れとしては、あまりにも綺麗に決まりすぎたと言っていい。


 魔物の統制は崩壊し、帝国側の攪乱は完全に失敗、その上で術者は捕縛済み――つまり、向こうの手札は一気に二枚くらい消し飛んだわけで、そこに王国軍の総攻撃が叩き込まれればどうなるかなんて、考えるまでもない。


 結果、帝国軍は撤退した。


「いやぁ、逃げ足だけは一流だな」


 戦場の端、撤退していく背中をぼんやり眺めながら、そんな感想が口から漏れる。

 追撃戦もあったにはあったが、深追いはしていない。

 あの手の連中は、追い詰めると逆に厄介だからな。

 勝ちを確定させた時点で止めるのは、軍としては正しい判断だろう。


「クロム殿」


 後ろから声。

 振り返れば、シルフィアが立っていた。


「此度の戦功、王国として正式に評価されることになる」

「へぇ、評価ねぇ」


 肩を竦める。


「飯がうまくなるなら歓迎だな」

「……その発想は理解しがたいが、否定はしない」


 いつも通りで何よりだ。

 その後、戦後処理やら何やらがあり、一部の部隊を残して、俺たちは王都へと帰還することになった。


 すぐに準備を済ませて出立してから数日後、俺たちは王都へと帰ってきた。


 いやまぁ、改めて見るとデカいなここ。

 石造りの街並み、整備された街道、人の流れ――どれを取っても、辺境とは比べ物にならない。

 まあ、俺の興味はそこじゃないんだけど。


「……鍛冶してぇ」


 ぼそっと呟く。

 正直、帰還して一番に思ったのはこれだ。

 戦いの余韻? 達成感? そんなもんは二の次で、とっとと新しい武器を打ちたくて仕方がない。

 だが現実は非情である。


「クロム様、こちらのお部屋になります」


 案内されたのは、やたらと豪華な一室だった。

 無駄に広い。

 ベッドもでかいし、家具も高そうだ。

 辺境にある俺の家とは大違いである。


「……落ち着かねぇ」


 いやまあ、休む場所としては十分すぎるんだけどさ。


「本日はお休みください。明日、お呼びいたします」

「はいはい」


 適当に手を振って、ベッドに倒れ込む。

 柔らかい。

 良い素材を使っているのだろう。


「……悪くはないが」


 天井を見上げる。


「やっぱ炉の前の方が落ち着くな」


 そんなことを考えているうちに、意識はあっさりと落ちた。

 翌日になり、戦場とは違ってぐっすり寝れたことで気分が良い。


「クロム殿、お時間です」


 呼び出され、案内されるままに歩く。

 通されたのは、前も来た大広間――謁見の間ってやつだった。

 中にはすでに何人かが揃っている。

 グラント、シルフィア、それからシルフィアもいた。


 そして、正面。

 玉座に座るのはエドリック国王。


「よく来てくれた、クロム殿」


 低く、よく通る声。


「此度の帝国との戦、活躍は聞いている。見事であった。王国を代表して礼を言う」


 ……うん、こういうの苦手なんだよな。

 周囲の貴族からは視線が向けられており、政治とかに利用できないか考えているのだろう。

 本当に呆れる。


「それと、願いを聞き入れてくれたことにも、改めて感謝を――」

「別にいいって。工房を作ってくれる約束だからな」


 途中で遮る。

 周囲の空気が一瞬固まるが、気にしない。


「でも堅苦しいのはいいから、早く素材見せてくれない?」


 数秒の沈黙の後、国王が軽く咳払いをした。

 エリシアは俺の態度に飽きれている様子だ。

 仕方がないだろ。こういうの、興味がないし。


「……クロム殿らしいな」

「そりゃどうも」


 国王も、わずかに目を細めた後、短く頷いた。


「よかろう。では、此度の謁見は終わりにし、案内しよう」


 話が早くて助かる。

 解散となり、案内役として付いてきたのは、エリシアと――なぜか国王であるエドリック本人だった。


「いや、なんで王様も来てるんだ?」

「興味があるのでな」


 まあいいか。

 通されたのは、王城の奥。

 厳重に管理された、大型の倉庫の前。


「ここだ」


 重厚な扉が、ゆっくりと開かれ――思考が一瞬だけ止まった。


「……は?」


 中に広がっていたのは――宝の山。

 いや、そんな安っぽい表現じゃ足りない。

 魔境ですら滅多にお目にかかれない希少素材が、まるで在庫処分セールみたいなノリで積み上げられている。

 見たこともない金属。

 異様な魔力を放つ結晶。

 明らかに何かの核だったであろう塊。


「……おいおい」


 口元が、勝手に緩む。


「なんだこれ、天国か?」


 頭の中で、一気に設計図が走り出す。

 あれとこれを組み合わせれば――いや、こっちを芯にして――強度を底上げして――魔力回路を――……


「……やばいな」


 気づけば、手が動いていた。

 目についた素材を、片っ端から『収納の腕輪』へ突っ込んでいく。


「これも使える、あ、これヤバいな絶対いいやつだろ、これも――」

「……クロム殿?」


 エリシアの声。

 だが止まらない。


「ちょっと待てこれ加工したら絶対化けるって――」

「クロム殿」


 今度は低い声は国王だ。

 だが――


「いや今いいとこだからちょっと――」

「クロム殿!」


 ぴたり、と手が止まる。

 ゆっくり振り返る。


「……権利はクロム殿にあるが、少しは加減してくれ」


 笑っていない。

 目が、全然笑っていなかった。


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