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転生鍛冶師の武器無双~自作の武器でSランクの魔物を相手に試し斬りしていたら、何故か最前線で送られることになったんだが~  作者: WING
第2部

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第11話:王都へ

 交渉は成立した。

 王女であるエリシア直々に、国家レベルの資源と権限をほぼ丸ごと引き出すという、冷静に考えれば頭のおかしい偉業をさらっとやってのけてしまった。


 俺は内心で「吹っ掛けた俺が言うのもなんだが、よく条件を呑んだものだ」と若干引いている。

 だがまあ、それはそれとして豊富な素材が手に入ったのだから良しとしよう。


「……で、だ」


 俺は腕を組みながら、未だに微妙に緊張した空気を残している室内を見回しつつ、真正面に座るエリシアへと視線を向ける。


「口約束で終わらせる気はないよな?」


 わざわざ言うまでもないことではあるが、こういう話は最後の詰めを甘くすると後で面倒になるのが常だ。

 特に今回は相手が国家という巨大すぎる組織である以上、言質をきっちり形にしておかないと「そんな話は聞いていない」で済まされかねない。


「当然だ」


 エリシアは即座に頷き、その碧眼をわずかに細める。


「正式な契約書を作成し、陛下の名のもとに締結する必要がある」

「そう言ってくれて助かるよ」

「クロム殿のことだ。口約束では納得しないと思っていた」

「よくお分かりで」


 俺は肩を竦める。


「なら次は契約書を持って来るのを待っている」

「そのことだが……」


 一瞬、言い淀むエリシアに、俺に求めていることを察してしまう。


「一緒に王都に来い、ってことか」

「そういうことになる。契約書ゆえに、当人同士……今回は国とクロム殿の契約だ。陛下が直接行うことになる」


 まあ、そりゃそうだ。

 いくらなんでも辺境の村の鍛冶屋で国家契約を締結するわけにもいかないだろうし、形式的にも王城でやるのが筋だろう。


「……道理だな。仕方がないから行ってやる」


 俺はあっさりと頷く。

 正直なところ、王都にはあまり興味はないが、王家の保有素材とやらを実際にこの目で確認できるなら話は別だ。


「助かる」


 エリシアが小さく息を吐く。

 その反応を見るに、多少は断られる可能性も考えていたらしい。


「で、いつ行く?」

「準備が整い次第、すぐにでも――」

「いや、待て」


 俺は軽く手を上げて制する。


「今すぐは無理だな」

「……理由を聞いても?」

「単純な話だ」


 俺は顎で外を指す。


「ここ、俺の生活拠点なんだわ」


 工房、家、素材の保管場所、試作品の山、そして何より――村の連中との関係。

 ふらっと消えていい場所じゃない。


「いきなり消えたら、後で面倒になるだろ」


 主にミーナが。

 いや、あいつはむしろ突撃してくるタイプか。


「数日くれ」


 そう言うと、エリシアは一拍置いてから頷いた。


「……わかった」

「その間に話通して、片付けるもん片付ける」

「待っていても良いのだが、私は王都でやることがある」

「内容が内容だからな。揉め事がないとは限らない」

「理解があって助かる。では、準備が整い次第、迎えを出そう」


 話はまとまった。

 こうして、エリシア御一行は一度王都へと戻ることになり、残された俺はというと。


「……はぁ」


 思わず空を仰ぐ。


「忙しくなるな、これ」


 静かな日常が、少しずつ形を変え始めている気配を、なんとなく肌で感じていた。

 

 ――数日後。

 結論から言うと、村への説明はだいぶカオスだった。

 いや、「王女と契約して王都行ってくるわ」って話なんだが、そんな雑な説明で納得するわけがないのが人間という生き物であり、結果として「は?」「なんで?」「お前何した?」の三連コンボを全員から食らうことになった。

 契約の話をしたら、ミーナの夫である商人のレオルが青い顔をしていた。


「クロムさん、いくらなんでも吹っ掛けすぎでは?」

「俺も思ってる。せっかくだから、行けるところまで行ってやろうと思ったら、ね?」

「ね? じゃないですよ……王都に行って殺されたりされません?」

「そしたら王城をめちゃくちゃにして逃げてやる」

「クロムさんならやりかねない……」

「おい、冗談だぞ?」


 心外だ。ミーナも隣で「クロムさんならありえます……」と呟ていた。

 だからやらんよ? 冗談だよ?


 まあ、何はともあれ、最終的には「また戻って来る」「むしろ素材増えてパワーアップする可能性ある」と説明してどうにか納得させたが、完全に理解されたかと言われると怪しい。

 だがまあ、それでいい。全部理解される必要はないのだから。

 俺は俺のやりたいことをやるだけだ。


 そして。


「クロム殿、迎えに参りました」


 数日後、予定通りやって来た騎士に案内される形で、俺は王都へと向かうことになった。

 王都までの道中は、まあ平和――と言いたいところだが、そんなわけもなく。


「グルァァァアアア!」

「はいはい元気だな」


 飛び出してきた魔物を、軽く一振りで黙らせる。

 ドサリ、と倒れる巨体。

 で。


「よっと」


 手首の腕輪に触れると同時に、死体がふっと消える。


「……お見事ですね」


 後ろから騎士が感心したように呟くが、俺としてはただの作業だ。


「回収しないと素材がもったいないだろ」


 むしろ放置する方が罪だ。

 そんな感じで、道中は出てくる魔物を片っ端から処理しては回収し、処理しては回収し、ついでに素材の質を頭の中で評価するという、いつも通りのルーティンをこなしながら進んで行く。


「……おお」


 思わず、素直な声が漏れた。

 視界の先に広がるのは、これまで見てきたどの街とも比べ物にならない規模を誇る巨大都市――王都アルバーレ。

 高くそびえる外壁、整然と並ぶ建造物、人の流れ、そして中心に見える――


「城、でかすぎだろ……」


 白亜の王城。

 いや、白すぎるだろ。

 目に優しくないレベルで輝いてるぞあれ。


「初めてですか?」

「ああ」


 騎士の問いに頷く。


「俺は孤児院で育って、十四歳の『選定の儀』の後はそのままローヴァで暮らしていたからな」

「そうでしたか。なら人の多さに驚きますよ」

「そりゃあ楽しみだ」


 まあ、前世で見慣れているので驚くことはない。

 そんなやり取りをしつつ、俺は王都へと足を踏み入れ、そのまま流れるように王城へと案内されることになった。


 そのまま城までやって来ると、中に通された。

 城の中は、外観に負けず劣らず無駄に広くて豪華で、歩くだけで軽く迷子になれそうな構造をしており、案内がなかったら確実にどこかで詰んでいた自信がある。


「あまり驚いておりませんね? もっと驚かれると思っていました」

「十分に驚いているさ。しかし、住むには不便そうだな」

「そういう感想になりますか……?」

「なるだろ普通」


 無駄に広い=掃除が面倒。

 これは真理だ。

 そんなことを考えながら歩いていると、聞きなれた声が前方から届く。


「クロム殿」

「よう、王女様」


 そこに立っていたのは、変わらぬ姿のエリシア。

 いや、少し疲れが出ている。


「無事に来たようだな」

「途中でちょっと素材拾いしてただけだ」

「……相変わらずだな」


 軽く呆れたように息を吐きつつも、その表情はどこか安堵しているようにも見える。


「そっちは疲れている様子だな。貴族連中だろ?」

「その通りだ。察しがいいな。さて、準備は整っている」


 そう言って、エリシアは一歩こちらへ歩み寄る。


「これより、陛下への謁見となる」

「……いきなりかよ」

「もしかして、緊張しているのか?」

「いや全然」


 即答する。

 緊張などない。


「むしろ提供される素材の方が気になる」

「……そうか」


 完全に呆れられたな。

 まあいい。


「案内しよう」

「あいよ」


 こうして俺は、王国の頂点、アルヴァレン国王との謁見へと向かうことになった。



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