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転生鍛冶師の武器無双~自作の武器でSランクの魔物を相手に試し斬りしていたら、何故か最前線で送られることになったんだが~  作者: WING
第2部

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第9話:来訪者

 あの王女様――エリシアとの出会いから、気づけば半月ほどが経過していた。

 だからといって俺の生活に劇的な変化が起きたかと言えばそんなことは一切なく、相変わらず朝起きて飯を適当に済ませてから鍛冶、狩り、改善、狩りの一日を過ごすという、実に健全で文化的かつ生産性の高い日々を送っていた。


 いやまあ、一般的な意味での健全かどうかはさておき、少なくとも俺にとってはこれ以上なく理想的な環境であり、戦争だの王族だのといった面倒極まりない要素とは距離を置いて、好きなだけ鍛冶に没頭できるという点においては、もはや楽園と呼んでも差し支えないレベルで満足している。


 ……している、はずだったのだが。


「クロムさーん! いますかー!」


 聞き慣れた声が、工房の外から元気よく響き渡るのを聞いた瞬間、俺は振り下ろしかけていた金槌をぴたりと止め、なんとなく嫌な予感がする方向へと視線を向けながら、ゆっくりと息を吐いた。


「……ミーナか」


 このタイミングで来るということは、十中八九ろくでもない案件を持ってきている可能性が高く、過去の経験則に基づけば逃げるという選択肢も真剣に検討すべき状況ではあるのだが、残念ながらここは俺の工房であり、逃げ場など存在しない。

 加えて、ミーナから逃げれば碌な未来が待っていない。


 諦めて扉の方へと顔を向けた、その直後だった。

 ギィ、と控えめに扉が開き――


「お邪魔します、クロムさん」

「……あ?」


 そこに立っていたのはミーナと――


「……は?」


 その隣には、王女様といかにも護衛ですと言わんばかりの空気を纏った騎士が数名。

 一瞬、思考が停止した。


「……ミーナ」

「はい?」

「なんで王女を連れてきてるんだお前」


 俺の問いに対して、ミーナはきょとんとした顔をしたあと、ゆっくりと隣のエリシアを見上げる。


「……え?」

「いや『え?』じゃねぇよ」


 どうやら知らずに連れてきたらしい。

 お前の行動力、たまに爆弾級なんだよ。


「え、えええええ!? お、王女様!?」


 ワンテンポ遅れて現実を理解したミーナが、ばっと飛び退くように距離を取りながら、顔を真っ青にしてあたふたし始める。


「な、なんでそんな人がここに!?」

「俺に聞くな、俺も今聞きたい」


 当の本人はというと、そんな騒ぎなど意に介した様子もなく、いつも通りの落ち着いた表情でこちらを見ていた。


「久しぶりだな、クロム殿」

「……来ても無駄だと言ったはずなんだが?」

「確かにそう言われたが、〝来るな〟とは言われていない」

「言葉遊びかよ」


 面倒くさいタイプだな、この人。

 とはいえ、玄関先で王女を立たせたままにしておくわけにもいかないので、俺は軽く肩を竦めてから奥を顎で示す。


「……まあいい、追い返しても話を聞きそうにないからな。入れよ」

「失礼する」


 ぞろぞろと入ってくる王女様御一行。

 俺の工房兼住居が一気に格式高い空間になった気がするが、気のせいだと思いたい。


「ミーナ、お前も来たならついでに茶でも淹れてくれ」

「は、はいぃ!? わ、私がですか!?」

「他に誰がいる。護衛の分は――必要ないみたいだな。エリシアの分だけでいい」


 半ばパニック状態のミーナを台所に追いやりつつ、俺は適当な椅子に腰を下ろす。

 エリシアも向かいに座り、その背後に騎士たちが控える形となった。


 ……なんだこの状況。

 俺、ただの〈鍛冶師〉なんだが?


「それで、用件はわかっている。王国軍に入れ、だろ?」

「話が早くて助かる」


 エリシアは小さく頷くと、そのまま真っ直ぐにこちらを見据えてくる。


「改めて言おう、クロム殿。あなたの力は、今の王国にとって必要不可欠なものだ」


 その声音は真剣そのもので、冗談や誇張は一切含まれていないのがよくわかる。


「王国軍に加わってくれれば、相応の地位を約束する。いや、望むのであれば爵位も用意しよう」

「いらん」


 食い気味で即答した。


「……早いな」

「むしろなんで受けると思った?」


 俺は肩を竦める。


「戦争に興味はないし、地位にも名誉にも興味はない。今の生活で十分満足してるんでな」

「しかし――」

「それに」


 言葉を遮るように続ける。


「俺は〈鍛冶師〉だ。戦場で剣振るうより、ここで剣作ってる方が性に合ってる」


 それが本音だった。

 誰かのために武器を作ることはあっても、自分が誰かの命令で戦うつもりはない。

 そんな窮屈な生き方は御免だ。


「……そうか」


 エリシアは一度、静かに息を吐く。

 だが、その目はまだ諦めていない。


「では、これはどうだ」


 次に出てきた言葉は――


「王家と王国が保有する希少素材の提供を約束しよう」


 その瞬間、カンと手に持っていた工具が、わずかに音を立てた。


「……ほう?」


 思わず、口元が僅かに緩む。


「続けろ」


 さっきまでとは明らかに違う俺の反応に、エリシアは確信したように笑みを浮かべて言葉を続ける。


「王国には、一般には流通しない魔物素材や希少鉱石が多数保管されている。それらを、あなたの裁量で使用できるようにする」


 ……なるほど。なるほどなぁ。


「……随分といい餌をぶら下げてきたな」


 俺は肘をつきながら、じっとエリシアを見つめる。

 さっきまで論外だった話が、要検討くらいにはランクアップしたのは間違いない。


「で?」


 ゆっくりと口を開く。


「どんな素材があるんだ?」


 ――話は、それからだ。



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