勇者っていったい………
「―――というわけで、以上が調査を終えた項目になります。残念ながら今回調査しきれなかった部分がありますが、もし次を頂けるのであれば、残りはまたその機会にやらせていただければと」
『………』
しれっと「調査は全部はできませんでしたー☆」というような内容の報告をするが、研究員達は俺の報告を聞くなり、あれこれと相談し合い、俺が持ち帰った黒魔獣の死骸(の一部)を台座に置き、魔法で何か研究し始めた。
相変わらず人間に興味ないのな、こいつら。
あるいは俺個人に興味がないのか。いっそのこと俺のことが嫌いだと言ってくれた方が、まだ安心できる。何なんだこいつら。研究好き過ぎだろ。
いや、王国があえてそういう人材を一カ所に集中させたということなのかもしれないけれども。
元サラリーマンだからというわけじゃないが、社会でやっていく上ではコミュニケーション能力は必須だ。それが必要とされない職において、非人間的な部分を持つ人材をコントロールしきるのは、相応の環境や財力が必要になる。改めて、王国の内情がちらちらと見えてきて、少しばかり恐ろしくも感じる。
武力がどうとか、個人の魔力量がとかいう単純な強さの話でもないのだ。
着ている服は白だったりグレーだったり色々だが、丈の長さは全て同じ、言うなればただカラフルな白衣といったところか。
そんなやつらがこぞって、ああでもないこうでもないと話し合いながら、勇者そっちのけって感じ。
ああ、勇者って本当にサラリーマンみたいだなとは、俺が最近感じていることだ。
「なんだかな~」
そう言いつつ、城に長く滞在しなくて済むのはラッキーだ。少しずつ王国のことは分かってきているし、この調子でいこう。うん。
「おう」
「ども」
研究室を出ると、またあの首にチョーカーをつけた歴戦の人っぽいオッサンとすれ違う。
軽く挨拶をして去る。彼は、そんな俺を呼び止めることもしない。
「……あ! ソウジ、今回は早かったね!」
「あいつら勇者には興味ねぇから」
「……??」
俺は待合室に待たせたエレンと合流し、王城をそのまま去るのだった。




