楽なミッション
村に着くと、村長らしい老人が迎えてくれて、山に出現する黒魔獣の目撃情報なんかをくれた。
どうにも村の青年団では相手にもならず、死者は出なかったものの怪我人が出たとのことだが、放置していたらおそらく死者などが出るようになるだろう。
俺達は傭兵団や王国など所属を伝え(混乱や面倒事を避けるため俺が勇者認定されていることなどは伝えない)、とにかく近隣の山々の調査に乗り出すことになった。
費用は村から三割、王国から七割。傭兵団には報酬が入るから、何にせよやらなければならない任務だ。放置すればこの辺りも荒れてしまうだろうしな。
「……っと、早速かよっ……!」
ニールが緊張感の滲んだ声を張る。
「おう、いたぞ! 構えろ!」
彼の号令で、俺達は一斉に武器を構える。
「………」
エレンと視線を交わすが、こういう時に突っ走らないのはありがたい。
いつもならさくっと、俺とエレンの連携で殺してしまうところだが、相手はあの黒魔獣。
頭部はなるべく爆散させない方が良いし、魔法に対する強度も測っておきたいしな。
「ソウジ!」
ニールが俺に指示を求める。
俺がリーダーというわけじゃなく、王国から要望のあった「知りたいこと」、つまり「調査項目」を、俺が一通り頭に叩き込んでいるためだ。
「ニールはまずは魔法を撃ってくれ! あの黒いオーラを剥がしたら、一定時間で復活するのかどうかを知りたい! モッチ、前衛で壁役を! ドラは黒いオーラを剥がれたヤツの牽制! 殺さないように頼むよ、皆!」
「「「おう!」」」
久々の傭兵団の空気。戦闘中の、この独特の空気感は、俺が満足に剣すら触れなかった頃から慣れ親しんできたもの。
身体が動く。
「ソウジ、ウチは!?」
「エレンは俺と一緒に周囲の警戒、不測の事態への備えだ!」
「分かった!」
そうは言いつつ、敵の足場を上手い具合に崩す程度の魔法は行使する俺とエレン。
「ふふっ、ソウジったら嬉しそう!」
「そうかな!」
確かに、久方ぶりの傭兵団のメンバーとの狩りみたいで、何だか楽しいと感じている自分がいたのだった。




