久方ぶりの傭兵稼業
近隣の村の調査をすることになった。
異常がないかの調査であり、少し気になる情報がある村での仕事だ。
黒魔獣ともなれば、通常の魔法一撃ではまず仕留められない。連続で次の魔法を放てば問題ないが、その前にやられてしまう場合も予想されるわけで。
「用心棒なんて久しぶりだな」
「おっとぉ、勇者様におかれましては、傭兵団稼業の方も忘れないでくださると」
「勇者呼びはやめてくれよモッチ」
「へへっ、悪い悪い。何だか、ソウジと仕事なんて久しぶりだと思ってな」
恰幅の良いモッチ。以前よりも少しだけ顔つきが逞しくなった気がする。どことなく優男っぽかったのに、男らしさが出てきたというか。
まぁ、曲がりなりにも肉体的には歳上の相手に何を言っているのだという話だろうが。
「しっかし、あのソウジが勇者に選ばれるとはねぇ……」
感心したように言うモッチ。
「………」
一方、長身痩躯の元・さすらい剣士のドラには余り変化がなさそうだったが、今は俺の話題に当然といった風な表情で、口の端をわずかに吊り上げている。
剣の師匠としては鼻が高いと感じてくれているのだろうか。俺を勇者呼びなど決してしなさそうな人だが、しかし何も感じていないわけでもなさそうだ。
「何にせよ、今回はソウジがいるなら楽勝だな!」
「やめてくれアニキ達」
「おい、気を引き締めろお前ら。もう着くぞ」
仕事中は真面目なニールがそう言ったことで、俺達は目的地が間近に迫っているのを見て、少し気分を引き締めるのだった。




