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【毎日更新】ユウシャ・イン・ワンダーランド ――ゼロ・ローグ―― ~異世界に来た元サラリーマン、異世界ライフのスタートは野盗の群れでした~  作者: むくつけきプリン
勇者認定編

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星詠みの爺さんの遺言

 この世界の人間が自らの将来に関わる重大な決断をする時、優秀な星詠みの占った結果を信じがちであることは知っていた。

 今朝方亡くなったらしい星詠みの爺さん……つまり、オヤジこと我らが傭兵団のカシラたるムジークの父親であるあの老人も、かつては優秀な星詠みだったそうだ。

 それがなぜ傭兵団に身をやつしたのかとか、様々疑問は残るが、当人は死んでしまったことになる。彼は傭兵団で言えば最長老。しかし知る人ぞ知る人物であり、あのカシラも秘匿してきた存在だ。うん、やっぱり星詠みとはいえ実の父親を秘匿するようになった経緯が気になるが………それはさておく。さておくったらさておく。

 何が言いたいかというと、つまり、この傭兵団の実態は、オヤジを頂点とする権力ピラミッドの傭兵団というよりは、最長老の星詠み爺さんを相談役に置いた、オヤジが村長を務める村のような扱いになるということだ。コミュニティとしての性格としても、生活実態としても、そちらの方が近い。なにせ、時折外部とやり取りし、時には用心棒や何かしらの依頼を受けて金を稼ぐことも多いが、本質的には自給自足の生活を送っているからだ。畑も牧場もあるしな。

「………この引っ越しをすることにした」

「えっ!?」

 だから、こんな、拠点としても地に根を張り、だいぶ栄えた場所を移すとなれば、俺の驚きも理解してもらえるだろう。

 しかし、その判断を下したのは、何を隠そうオヤジその人なのだ。

「ちょちょちょ、待ってください、俺その話聞いてないです! どういうことなんです!?」

「………テメェには、言ってなかったな」

 そうしてオヤジから聞いた話は、俺にとって理解しがたいものだ。

 しかし、この世界の人間からすれば当然のことのようで、オヤジは淡々と話してくれた。

 彼の父親―――あの星詠みの爺さんが、最後に詠んだ星を。

『黒い星が近づいている』

『ここを去れ』

 衝撃的過ぎて、開いた口が塞がらなかった。

 それはつまり、この土地、この辺りに、災厄の迫っていることを告げるものだった。

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