最長老の弔い
勇者稼業をこなす日々、たまの休みをもらって傭兵団に顔を出す。
改めて思うのは、荒くれ者達の巣窟にいると安らぎを感じてしまう不思議さだ。
遠くで聞こえる怒号。家畜を追い立てるための、独特のかけ声。鉄を打ち加工したり、木材を運搬して倉庫にバラバラと放る音。それらが日常に聞こえる音。
饒舌な者ばかりではない界隈にて、生きるためにのんびりかつワイルドに生活する者達に囲まれ、自分もまたその色に染まることの心地よさ。サラリーマン時代からは考えられぬほどの、環境と心境の変化だ。
そんな中、俺が久々に洗濯という下っ端のする仕事に精を出していた時のこと。
「……ソウジ」
「はい」
深刻そうなオヤジに言われ、俺は洞窟の奥に来た。エレンも一緒だ。
「……!」
見れば、例の星詠みだという爺さんの寝ているベッドを、傭兵団の上層部の人間が囲んでいる。オヤジに、奥さんである姐さんに、ニール、モッチ、ドラ。
どこかおかしいのはそれだけではない。
ベッドの上の爺さんの身体を囲むように、どこかから摘んできたのだろう花が添えられていた。
さながら出棺の儀式のようである。
「ソウジ、ほら。あんたも花を添えてやって」
「……はい」
何を言われずとも、どういうことなのかは察せられてしまう。
俺は姐さんから大人しく花を受け取り、爺さんの亡骸に添えてやった。死因は老衰とのことだった。
「………」
ちらりと見えたオヤジは、いつものように厳つい顔で厳つい表情だったが、どこか元気がないように見えた。




