魔力を測定したら、なぜか勇者扱いになった件について
「「「「「………………」」」」」
王城の大広間にて突如行われる運びとなった、ソウジとエレンの魔力測定。
本人達がどういう趣旨での催しかよく理解できぬまま、この魔力測定は衝撃の結果に終わることとなる。
エレンの時は眩く光り輝くことで、被験者が規格外の魔力量を持つことを示していた水晶玉が―――ソウジの時には、あっさりと砕け散った。
魔力測定の結果は、果たして―――。
「えっ………………ど、どういうことなんです……?」
自信がなさそうに周囲を見回すソウジ。あるいは砕け散った水晶玉を見て、砕け散らせた本人が一番怯えているかのような有り様。
彼を囲むように輪を狭めた試験官が、辺りの様子を詳しく観察し始めて、口々に小さな呟きを漏らし始めた。
「勇者だ……」
「本当に……?」
「とうとう、この時代に………」
「しかし早過ぎる気もするが」
「あと百年、いや五十年は先だろうと思っていたのに………」
「だが間違いないだろう、これは―――」
「弁償だけはマジ勘弁してください」
「しかし測定不能とは……間違いないのでは?」
「私から見ても魔力の受け渡しはつつがなく行われたように見えましたよ」
「では、やはり―――」
顔を蒼白にしたソウジが、ざわめく試験官達に謝るが、誰も聞いていないのだった。
「―――して、ソウジよ」
「はっ」
謁見の間で片膝をつき、跪いたソウジ。
頭を下げているので表情は見えないが、その姿勢は事前に練習でもしていたのではというほど完成されたものだった。数年前にここに来た時の彼とはえらい違いである。
「そなたの属する傭兵団の、ムジークは壮健か?」
「はい、我らがオヤジ……ムジークは、今も毎日忙しそうに動き回っております」
「そうか」
ソウジの答えを聞いて、王は蓄えた白髭を手で撫でつけながら、遠くを見るように目を細めた。
懐かしき日々に想いを寄せるような表情だったが、ソウジがその時の王の表情を見ることはなかった。
ソウジとしては、頭を下げつつ、その表情は祈るようなものを浮かべている。早く終わってくれ、そもそもなぜ自分を呼びつけたのだと、未だに疑問が解消されたわけでもない。
ソウジも、まさか自分が魔力測定のためだけに呼ばれたとは思っていないのだ。そうした点において、彼はもう随分と嫌な予感がしていた。
「―――ソウジよ」
「はっ」
魔力測定で凄まじい結果を出したはずのエレンは、彼の隣に控えている。しかし、王にとって用があるのはエレンではなく、魔力の測定器具を破壊したソウジの方にある。
「そなた、勇者であろう?」
「―――へっ?」
ソウジは目を見開き、思わずポカンとした表情で、玉座に座る王の方を見上げたのだった。




