本物の規格外 [※三人称視点]
王都、王城内。
大広間には、荒くれ者、あるいは中堅冒険者と思しき、成人したて(十五歳)の男女。
何が何だか分からぬうちに王都に招集された冒険者―――ソウジとエレンの二人だ。
見る者の目を引く美貌のエレンだが、見て分かるほど、呆れるほどにソウジにベッタリである。
ところが、そんな微笑ましいはずの二人を、王は厳粛な言葉と共に迎えた。
曰く、この国に危機が迫っている。そなたらの力をもって、いずれはその災厄を払いのけてほしい、とのことである。
そうして何が何だかよく分からないまま、ソウジとエレンは適性試験などと言って試験を受けることに。
通された大広間には、台座に備えられた水晶玉が一つ。そして周囲には、どういう意味か分からない文章のようなものが、よく分からない文字で刻まれた大きな石板が複数。水晶玉も石板も、いずれも複数人で運ぶのがやっとというほど大きく、重たそうなものばかりである。水晶玉に至っては、どう見てもその大きさが直系一メートル以上はありそうだった。
大掛かりな仕掛けであることは、これらを初めて見るソウジとエレンにも理解できるというもの。
「この水晶に手をかざし、魔力を込めてください。数値は我ら試験官が記録しますから、全力で、魔力を出すことに集中するように」
そんな試験管の言葉通りに、エレンは水晶玉に両手をかざし、全力で魔力を込める。水晶玉が淡く光り、その光は強く、眩しい程の輝きになって、見る者全てを驚かせた。
魔力を込めるのをやめると、水晶玉からは光が失われ、やがて沈黙した。
エレンの魔力測定は終わり―――そう、経過としては無事に終了したはずだった、が。
「(勇者格………と呼んで差し支えなさそうでは………)」
どこかで聞こえた呟きに始まり、ボソボソ、から、ざわざわへと、周囲の試験官十数人が、がにわかに騒がしくし始める。
彼らの相談し合う声を部分的に聞き取るに、それはもちろん今の結果を踏まえてのものである。
エレンの試験結果が示したもの―――それは、規格外の魔力量。
常人には決してあり得ない、魔力量。歴史上、勇者、あるいはその仲間に見られる、魔力とそれを使った魔法などに対する高い適性を示していた。
「つ、続いて―――ソウジ様」
「は、はい」
咳払いと共に平静を取り繕う試験官が、それでも興奮を抑えきれぬといった風でソウジの名前を呼ぶ。
どこかポカンとした様子のまま試験を終えたエレンも、ソウジの名前が呼ばれたことでその場から退き、彼の試験を見守ることになった。
彼が、エレンと同じように、水晶の載せられた台座の前に立ち、両手を前方にかざして魔力を込める。
「「「―――な、何ッ!?」」」
「えっ!?」
それは、一瞬のことだった。
まるで、測定の暇などありはしない―――そんな隙など与えないとばかりの、まるで閃光のような瞬間であった。
パキッ―――バリィィンッ
ただ光るだけに思えた巨大な水晶玉は、あっさりと砕け散ったのだった。
「「「「「………………」」」」」
辺りには、その場に居合わせた全員分の沈黙が降りた。




