召集令状により [※ソウジ視点]
「えぇ~、俺なんかが王様に直接お目通りを願えるなんて、いいんですかねぇ~」
浮かれているようで、心は冷静……のつもりだ。
いや………実際には、動揺している。
浮かれた心境とは正反対で、つまりそういった感情とは対極の動揺にあるわけだが。
「でもでもぉ、俺が行くよりぃ、オヤジが行った方がぁ、話が早くありませんかねぇ」
勘弁してくれ勘弁してくれ勘弁してくれ勘弁してくれ勘弁してくれ。
心の中で手をこすり合わせ、祈るような気持ちで。
冷や汗ダラダラの俺の提案を、しかし残酷なことに、オヤジは一蹴する。
「呼ばれたのはテメェらだ。行って来い」
オヤジが俺に突き返した一枚の紙には、
国が個人を呼び出す時の固い文言が、淡々と綴られている。その仰々しい文章の末尾に、荘厳なデザイン……今まで見たことがないような複雑な模様の判が、押されていた。
それはきっと、王様が押したに違いない、見る者が見なくとも分かるものだった。
―――さて、そもそもどうして俺が王城に向かう運びとなったのか。簡単な経緯は説明できるが、背景は一切分からない。全くの謎である。
突然にして、冒険者ギルドから与えられた通達。
俺とエレンは王都……王城に招集される運びとなり、その理由もよく分からぬままに、謁見の間へと向かわなければならなくなるのだった。
えっ………………なんで俺、呼び出されてんの?
気分は、社長室に呼ばれる平社員。何で? 何で急に? どんな感情よりも疑問と焦燥が先行する。
俺が一体何をやらかした。俺の行動に何か不備があったか。不安が冷静さを奪い、余裕を失わせ、思考を鈍らせる。
ドッキリであってくれ。でも俺にドッキリ仕掛けるメリット無いし、と現実に引き戻される。あ、やっぱり本当なんだ。本当に、『また俺何かやっちゃいました?(深刻)』なパターンではないのか。
……なんか腹が痛いような気がしてきた。ポンポンがペインな気がしてきた。
だというのに―――。
「すごいねソウジ! 王様に直接呼ばれるだなんて……!」
隣でエレンが目を輝かせている。
こいつは何の心配もしていないのだろうか。
「ソウジ、何青い顔してるの……?」
こいつは何でそんな心底不思議そうな顔で尋ねてくるのだろうか。
「何の理由もなく呼ばれるわけがないだろ………」
「でも、召集令状でしょ? 逮捕されるわけでもないじゃん」
「そりゃそうかもしれないけどさ………」
ゲンナリしつつの俺に、呑気なエレンが呑気な言葉をかける。
そうして俺達は、王都に向かったのだった。




