エンカウント
「待ちな」
「ん?」
観光を楽しんだ俺とエレンだが、束の間の平和な時間の終わりを汚すように賊が立ち塞がる。
王都からそう長距離を移動したわけではないが、叫んで誰かの助けがくる範囲はとうに脱してしまった。
「子供二人だけとはな。おい」
「へへ……」
賊は一人だけではない。こちらを合計五人ほどが囲んだ。
カ〇ダタがあらわれた! ……という感じでもないが、しかしこんな賊でも中堅冒険者のような装備をしている。相応に戦闘経験を積んでいると思われる。
では本当に冒険者かといえば、残念ながら冒険者証は身に着けていなさそうだ。彼らはヴェールのような布で面貌を隠しており、その鋭い目しか見えない。全員が顔を隠しているとなれば、魔物相手に戦う者達でもないだろう。
「痛い目に遭いたくなけりゃ、金と装備を置いて行きな」
「「………」」
リーダーらしき(格好では他と区別がつかない)男が言い放つ。俺はエレンと顔を見合わせた後、男に向かって呼びかけた。
「アンタらはなにもんなんだ」
「いいから金と装備を置いて行け」
「………」
こちらの話など聞く気がないようだ。では彼らは追い剥ぎということで良いのだろうか。
冒険者であれば俺達が傭兵団の者であるとは知っているはず。我らがオヤジはどういうコネなのか、この王都の王様にも謁見できる立場にある。となれば、こちらにあのような物言いをする輩は、そうした背景を知らないはず。
まさか冒険者ギルドに傭兵団と敵対する意図はないだろう。
俺達が裕福そうに見えたのか、子供だから小遣い程度にはなると軽い気持ちで絡んできたのか。
何にせよ、俺とエレンは再度顔を見合わせる。
「……(コクッ)!」
「………」
エレンが頷いていた。
目を爛々と輝かせて、実に血の気が多いことである。




