出稼ぎの少年
第一印象こそ最悪だったかもしれないが、俺も荒くれ達に囲まれた生活を初めて多少は慣れたつもりだ。
こういう手合いのあしらい方も分かっているし、打ち解ける自信もあった。何より、相手は子供だ。俺からしたら、まだ可愛げを残す子供達。多少粗野な言動が目立とうとも、それが強がりであることも見て取れた。
男ってのはバカなんだ。自分を大きく見せたがるもんなんだ。
でも、そういうやつも根っこは繊細だったり、何か善良な志を秘めていたりと、性根は悪くなかったりするんだよ………特に、少年のうちはな。
大人になると、変な悪知恵ばかり身に着けて変わっちまう人間も多いが。
だから、最初に言いがかりをつけてきたのは向こうでも、そんな少年達と、俺は割とすぐ仲良くなれたのだと思う。
「へぇ。ボンは偉いな、じゃあ故郷のために金を稼ぐのが目的なんだ」
「おう! そんで、村にでっかい井戸を掘るんだ! 大金を用意すれば、凄腕の魔法使いを雇えるからな!」
ボン少年は鼻の下を指でこすり、少しはにかんで、しかし誇らしそうに、そう語った。
「………本当に、いい子だな」
何だか涙が出そうになる。
ガキ大将として威張っている、このボンという少年を応援してあげたくなる。
彼の取り巻きの三人も、ボン少年をキラキラした目で見つめていた。
そもそも彼らは、ボン少年について来るように村を出て冒険者になったのだとか。
やっぱり泣けるぜ。最高だぜお前ら。
「ソウジは何で冒険者になったんだ?」
「俺? 俺は―――」
俺は、俺の属する組織が資金繰りに困り始めたという事情までではないが、とにかくその辺をボカして、かいつまんで説明した。
「そうだったのか、お前も………苦労してるんだな………」
どこか同情的な視線をくれるボン。いやお前ほどじゃねーから。こっちはそんな立派な動機じゃないから。
せいぜい、「ちょっと金に困るかもしれないし、自分だけでも食い扶持に困らないよう、ごく潰し扱い受けないようにもうちょっと働いとくか~」ってのが本音だから。
前世でも、世間で言うニート扱いを避けるため、義務感だけで「なんとなく」働いていた人間は一定数存在したと思う。
だから俺としては、立派なボン少年がリーダーを務める『ボン・ファイターズ』を応援してやりたい。
彼らの気持ちも分かるからして。
まぁ、応援すると言っても、具体的に何かしてやりたいというわけでもないが。俺には俺の予定があり、動機があるからな。それはそれ、これはこれ、だ。
「………」
エレンは相変わらず、彼らと打ち解けようともせず冷たい目で睨み付けている。ちょっと離れたところで、じっとこちらを観察してくる。
今だって、ほら見てみろ、あそこの木陰から、半身を出してジッ……………と、こちらを見つめているじゃないか。非常に不気味だ。少年達は辺りをきょろきょろと見回し、エレンに気付くと「ヒッ……!」と小さく悲鳴を漏らしている。
エレン、頼むからソレ、そろそろやめてやってほしい。




