友達の結婚式だから
ならず者どうしのコミュニティの結婚式というのは初めて見る。
当たり前だ、前世では全く関わりのなかった部類の人間、この世界では偶然にも俺がその界隈に拾われることになっただけ。
さて、どのような催しになるだろうか―――なんて身構えていたら、普通だった。
規模の大きい方のコミュニティ主催にはなるが、もちろん我が傭兵団はそれなりの規模なのでこちらが主催、そして会場の設営からちょっとした贈り物の作成に至るまで、俺も手伝った。
花嫁はにこやかな女性だった。なるほど美人、それに対してニールもデレデレだ。羨ましいぞちくしょう、なんて感想はひとまず置いといて、俺も祝福してやった。
ブーケトスも何もあったものではないが、何でも屋の集団同士、挨拶にはそれぞれのカシラが出張って来て、今後ともよろしく、的な挨拶と共に食事が始まる。
宴だからと用意された、巨大な魔獣の丸焼き。削り出した肉に野菜、それらを混ぜたものに特製のソースをたっぷりかけて、フラットブレッドに包んで食べる……あれこれケバブじゃんとかタコスじゃんとか、前世にもそれっぽい料理があったよななんて思いつつ。
「きれい………」
ニールの花嫁の化粧や、どこか異国情緒漂う結婚衣装に見惚れたエレンが、最高に女の子っぽい感想を漏らしていた。
「ね、ソウジ、見て見て………」
「見てるよ。綺麗だな」
くいくいと袖を引っ張られるが、既に俺も花嫁の方の衣装など目にしているわけで。
というかエレンも心ここにあらずという感じだから、俺の視線にも構わず「あれ見て」と繰り返している。
俺も先輩の結婚式に呼ばれたなぁとか思ったり。
んで暇過ぎて、感動もそこまでのものじゃないなぁなんてロクでもない感想を抱いたものだが………対して、今はどうだろう。
ちょっと、じんわり、寂しさと嬉しさが渾然一体となったものが湧きあがっている。
きっと、人と人との関わり方が大事ってことなのだろう。
………そう思うと、なんか、俺だけでももっと盛大に祝っておかなきゃいけない気がしてきた。
「ニール~っ! おめでとぉぉぉおお!」
「うおっ、でけぇ声! ハハハ、誰かと思ったらソウジかよ!」
「ちょっ、ソウジ!? なんでいきなり―――あっ、ソウジのこれ、ウチのと違う! お酒入ってるじゃん!?」
エレンが何か叫んでいたが構わず、テンション高い俺にウワハハハ、なんて笑うニールと、その花嫁のところに突撃し、この手で直接酒を注いでやるのだった。
気分がいいから、前世の忘年会で披露した一発芸まで披露しちゃおうかな!
いや、この世界では魔法があるんだ、せっかくだし魔法でアレンジを加えて……!
「うぉぉおお、燃えてキタぁ! 文字通り燃えちゃうぞぉ! 人間キャンプファイヤー! そんでこの火の玉を投げると花火になるんですわ! 花火・オン・火柱!」
「ゥワハハハハハ! ………いやすげぇな! よく見るとすげぇわソレ!」
それどうなってんの、なんて大笑いしながらツッコミを入れるアニキに渾身の一発芸を披露する。
頭上高いところで弾ける花火が、この宴会に最高の彩りを添えた。
「宴はまだ始まったばかりだ! クライマックスはこれからだぜ!!」
「ワハハハハハ! ハハハハハハハ!」
会場の熱気は最高潮。上がり切ったボルテージに応える形で、俺は頭上に打ち上げる花火の連射体勢に入るのだった―――!




