アイツ結婚するってよ
近くに岩場に腰を下ろし、談笑するモッチとドラ。モッチは何か干し肉のようなものを食べながら、そしてドラは剣の手入れをしながら。
彼らを見つけて、俺は歩み寄った。
「モッチ、それにドラも、聞いてたんだろ?」
ニールが結婚するんだとさ。
そんな風に切り出したのを、二人とも、ああ、なんて言って頷いた。
「あいつが結婚とはなぁ。時が経つのは早いもんだ」
「少し前までは考えられなかったことだな」
モッチはややジジ臭く、ドラは意外さを隠そうともせずにしみじみと感想を漏らす。
「何でも、オヤジによる縁談って話らしいけど………団内の人間じゃないなら俺には相手が想像できない」
ニールの話もノロケみたいなのばかりで、俺としてはいまいち客観的な印象が持ちづらい状況にあった。
「だろうな。俺達と縄張りを接するところにいる女がいて、そいつとニールは仲が良い」
「確か、幼馴染みって話だったよな?」
「モッチの言う通りだ。俺も詳しくは知らんが、ニールの古い知り合いだとは聞いている」
「そうなのか」
モッチとドラが言うには、大丈夫そうだが………。
政略結婚的な意味合いが全くないこともないだろう。テリトリーを接する勢力と仲良くやっていくための。
ただし、本人達が乗り気であるなら問題はないのだろうけれども。
「いいなぁ………」
ぽつりと漏らすモッチ。
「フン。結婚など」
剣をひたすら磨くドラは興味がなさそうだ。
「二人にはそういった話は?」
「聞くな」
「あ、ハイ」
モッチが不機嫌そうに言ったので、モッチには聞かないでおく。
彼ももイイヤツなので異性との出会いさえあればその内イイ人が見つかると思うんだけどな。
「ドラも俺やニールと同年代だったよね。そういうのには興味ないのか?」
「女は剣の道において邪魔になる」
「なるほど」
そういう感じね。ハイハイ。
女嫌いってわけじゃないはずなんだが………ドラの理解者たる女性が現れてくれることを切に願っておこう。




