異変の正体
随分遅くなりました。
読んでいただければ光栄です。
もう1作の方もゆっくりと進めていきます。
魔皇化の設定を変更しました。
香苗の発言を聞いた雹華は驚きを隠せなかった。
竜武でも見て分かるほどに動揺していたのだから、相当ショックだったのだろう。
「いや...でも...、それなら私にも気づけても.....!」
「無理だっただろうな。変異は基本的に表には出ない。」
「そんな...。それでも...何かしらの予兆があってもいいのでは、ないの、ですか?」
「それも厳しい。普通に生活している分には、魔力の流れと性質に微妙な変化が生まれるだけなんだ。」
「〜〜っ。」
いつも一緒に生活している竜武の変化に気づけなかったことが余程悔しいのか。はたまた、突然変異が信じられないのか。
予兆などについて詳しく聞いていたが、香苗の素っ気ない答えを聞き、不服そうにしつつも黙り込んだ。
しかし、静かになったのもつかの間。今度は竜武を問いつめ始めた。
「そんな大事なことを、どうして教えてくれなかったの!?そんなに信用ない!?」
「それは...なんて言うか...。」
「ずっと一緒に生活してたんだから、それくらいは話してくれても...!」
そこまで言って、雹華は悲しげに目を伏せた。
「...っ...すまん...。もっと、早くに伝えるべきだったよな...。」
雹華が予想以上に悲しそうにしていることに竜武は驚き、そして伝えてこなかったことに罪悪感を覚えた。
「二人で悲しげな雰囲気を作り出すのは他所でやってくれ。それと、今回の話は私からも口止めしていたところもある。冬宮だけが悪いわけじゃない。」
(香苗ちゃんナイス!)
香苗の発言で空気がだいぶマシになったことに、竜武は心の中で感謝した。
「香苗先生は、何故、口止めを...?」
雹華もだいぶ落ち着いてきたのか、さっきより穏やかな口調で尋ねた。
「もし、伝えたとしてお前は冷静を保っていることができたか?一緒に生活している身体が突然変異したと聞いて『そうなんだ』と納得したか?」
「...っ!それは!...納得できなかった、かもしれませんが...。」
「そうだろう。それで普通に納得するのも、またおかしいがな。...とにかく、結局冷静でいられなくなりそうなら、話さない方がいいという結論に至ったわけだ。」
「...そうですか。色々考えた上での判断だったわけですね。」
香苗の説明に納得した雹華はそれ以上は言葉を発さずに口を閉じた。
少し時間を置き、香苗が話しを再開した。
「それでだ。冬宮、お前の突然変異だが、だいぶ厄介な代物だった。まず、お前は今までと同じような生活を送り続けるのは困難になるだろう。」
「な!?...俺はなにも変わってねえぞ。」
「嘘をつくな。現に、今も魔力を意識して抑えているだろうに。そのことに私が気づかないとでも?」
「...!?ちっ、何もかもお見通しってか。まあ、そうだ。今、俺は魔力を抑制してる。バレると厄介だから隠してたけどな。」
「嘘!?.....何、これ。こんな量の魔力、馬鹿げてるとしか...。」
「その量の魔力を随分と上手く隠したものだ。私でも少し意識して見ないと気づけなかったよ。」
「そりゃーどうも。」
香苗に見抜かれていたことにバツの悪さを感じた竜武は、香苗の賞賛に投げやりな答えを返した。
「それと、今までと同じような生活ができなくなる理由は他にもある。」
「まだ何かあるのか?」
「ああ。というより、さっきのはおまけでこっちが本命だな。」
「さっきのがおまけ!?まじかよ...。」
「お前の存在は世界中に存在する『帝』の名を冠する者達にバレているだろうからだ。」
「みかど?何の話.....」
「帝!?そんな馬鹿な!?そうだとしたら竜武は.....。」
雹華は、信じられないと声を出したが、香苗の真剣な表情を見て口を噤んだ。
「鈴崎は気づいたか…。冬宮、お前の突然変異の根源は、『魔皇化』だ。」
「.......まじかよそれ。」
「ああ、本当だ。流石に私も最初は目を疑ったからな。何度も検証をやったが結果は変わらなかった。」
「嘘だろ!?じゃあ俺も、魔皇になっちまったてことか?」
「そうだな。その隠している額の紋章を見るに、お前は多分『氷帝』だろうな。」
「氷帝...。」
「竜武が魔皇の1人に……。」
雹華は言葉の意味を噛み締めるかのように、ゆっくり小さな声で呟いた。
どうやら事態は、思っていた以上に深刻なものになっているようだった。
運命の歯車はもう周り始める。たとえそれが、望まぬ方向へ導くものであっても。
次の投稿まで気長にお待ちください。




