一生拭えない憑き物という枷
たかが一週間、されど一週間という短い期間はあっという間に過ぎるもので、とうとう今日はウンターガングへ帰らなければならない最終日。
結局、本来の目的を果たせぬまま、この日を迎えることになってしまった。
「ハァ……」
最近は日常茶飯事と化してしまっているため息が限りなく吐き出てしまう。
肉体的疲労と精神的疲労の両方が溜まっているため、言語力に頭を使う気力すらも欠けてしまっていた。
「元気出してくださいビャクト様。またお金を貯めて遊びに来ましょうよ」
「そうだよビャクト。ここは金さえあれば気持ち良くなれる場所なんだからさ」
いつも通りのミルクに、見るからに肌が艶々になっているピノ。
二人はこの一週間でご満足頂けていたようで、心残りはないといった良い表情をしている。人の気苦労も知らないで幸せそうな連中だ。
当初の目的としては、俺のパーティーに入ってくれる冒険者を募ることだった。
しかしそれは初っ端から出鼻を挫かれることとなり、挙句の果てに妙な貴族に喧嘩を売られ、只々無駄な時間と体力を浪費することとなった。
で、最も重要な不快感として、ただのエロい奴隷だと思われていた隠れ魔族のルティーナと決闘し、奴が俺を殺すと言って本当に殺しに掛かって来たので、こちらもそれ相応の力を駆使してどうにか勝利を掴んだ。
そうして俺は、勝者は敗者に命令できる権利を行使して、ルティーナを俺達と未来永劫面会禁止の法を提示した。
……のだが。
「さぁ、早く帰りましょうダーリン。貴方がどんな家に住んでいるのか楽しみだわ」
今まさに馬車に乗って帰ろうとしているところで、俺の隣には例の魔女がべったりと寄り添っている始末である。
「あのさぁ……頼むから俺の前から消えてくんない? 何ならお金も出すから」
「ダーリンの頼みと言えども、私にも聞ける頼みと聞けない頼みがあるわ」
「抜かしやがれ屁理屈野郎が!」
二度と会うことも無くなるはずだった魔女が、何故こうして俺の元にまだ付き添っているのか。
それは、あの決闘が行われた日まで遡ることとなる。
〜※〜
「……あら?」
「ようやく目ぇ覚ましやがったか」
大体一時間くらい経っただろうか。
気を失っているルティーナの傍でミルクと共に休んでいたところ、ふとルティーナが目を覚まして起き上がった。
「大丈夫ですかルティーナさん? 何処か痛いところはありませんか?」
「……いえ、むしろ健康体そのものよ。魔族の身体は人間と違って頑丈にできているの」
「へぇ、細い見た目と違って逞しいんですねぇ」
マイナスステータスの貧弱な身体だからか、心底羨ましそうに物欲しげな目をルティーナに向けるミルク。
逞しくなりたいと願うのならば、日々の鍛錬を重ねればいいだけの話だろうに。
「私が気絶していたということは、決闘は私が負けたということなのね」
「……俺は納得してないけどな」
「フフッ、それはどういうことかしら?」
全てを見通しているかのように笑って誤魔化す魔女。その白々しさがまた腹立たしい。
「意図は知らんが、お前手加減してただろ。『何のことかしら』なんて言わせねぇぞ」
「あら、やっぱりバレていたのね。ダーリンは洞察力が鋭いわね」
「あっさり認めやがって……」
ルティーナが本気で俺を殺そうとして来たことは、殺し屋としての経験と本能から分かった。
でもこいつは何故か、魔法に疎い俺でも対処できる手頃な魔法しか使っていなかったのだ。
本人が初歩の魔法と言っていた“メテノラ”とかいう火の玉や、属性をエンチャントしただけの薙刀。並大抵の奴らなら一溜りもなかっただろうが、俺ならばそれくらいいくらでも対処できる。それはルティーナ自身も理解しているはずだった。
度々言うが、ルティーナは魔族の中で最も魔力に長けたディアヴル族だ。
それだけの器の持ち主ならば、地形一帯を破壊してしまうような絶大魔法を扱えるはず。
しかしルティーナは、そういった魔法を一切使おうとしなかった。
気分じゃなかったから、なんて話ではないだろう。
そんな魔法は扱えない、なんて話でもないはず。
とすると、考えられる可能性は恐らく一つに絞られる。
「敢えて程々の魔法を使うことで、俺の実力を試そうとしてたんだろ。俺を本気で殺そうとしていたのは、俺に手を抜かせないための脅しだった。そうだろ?」
「勘が鋭過ぎてゾクゾクするわね。全てダーリンの言う通りよ」
ということは、この決闘を申し入れる前に考えていた俺の計画は、全部ルティーナにはお見通しだったというわけだ。
元々手を抜こうとしていたところが、殺すと脅されたことで本気を出さざるを得なくなってしまったのだから。
「終わったことだから聞いておくが、仮にこの決闘でお前が勝ってた時、お前は俺をどうするつもりだったんだ?」
「フフッ……。どうしていたのかしらね?」
惚けて妖艶に笑うルティーナ。
この感じからして、そのまま俺を殺すつもりだったのかもしれない。
俺に対する強者の定義を語っていたことは、恐らく嘘じゃなかっただろうから。
当初の計画とは大分危なっかしい橋渡りをしたことになってしまったが、とにもかくにも勝負には俺が勝ったことには他ならない。
ようやくだ。ようやくこの魔女とおさらばできる時が来たのだ。
「お前に勝つ気があったのか無かったのかは知らないが、結果は俺の勝ちだ。決闘をする際の条件のこと、まさか忘れてないよな?」
「えぇ、勿論よ。それで、ダーリンは私に何を要求するつもりなのかしら?」
長いようで短い付き合いにもやっと終止符を打てる。それが嬉しくてたまらない。
既に俺には二人の枷が付いてるんだ。これ以上面倒事を引き起こす種子となる枷を増やしてたまるか。
「俺がお前に下すことはただ一つ。今後一切俺達と接触することを禁ずる。つまり、俺に付き纏う日々も今日限りで終わりってことだ。いいな?」
「…………」
ルティーナは不敵な笑みを浮かべたまま何も語らず、ただジッと俺の顔を見つめて来ている。
やがて目を瞑って立ち上がると、くるりと俺達に背を向けた。
「さて、お互いを知ることを目的としたコミュニケーションも終わったことだし、そろそろ帰りましょう二人共」
「そうですね、帰りましょうか」
……はぃ?
「いやちょっと待てや。何を何事も無かったかのようにスルーしようとしてんだ。何もかもお前の都合通りにコントロールできると思うなよ」
「フフッ、それはどういうことかしら?」
ピキッとこめかみ辺りから変な音が鳴った。
ブチ切れまでとはいかないが、この白々しさ加減は怒鳴り声を散らすに十分値した。
「ざっけんなよお前!? 人の話聞いてた? 俺はお前に今後一切関わって来んなっつったんだよ! お前が帰るのは俺達が泊まってる宿じゃなくて、金の亡者が蔓延る奴隷オークション会場だ!」
「残念ながらダーリン、私に貴方の命令を聞く道理は無いの。関わるな、なんて言っても無駄にしかならないわ」
「決闘で負けたくせに今更何言ってやがるクソビッチ!」
往生際の悪い奴だ。自分が負けたからって駄々捏ねるとは、身体だけ成熟した餓鬼か。どうもこいつはプライドってものが欠落してるようだ。
「潔く負けを認めろや! そして二度とその卑猥な面を見せんじゃねぇ!」
「負けは認めているわよ。でもよく思い出してみてダーリン。私は一度でもダーリンが言う決闘に賛同していたかしら?」
「だから今更何を……」
一旦冷静になってさっきの出来事を振り返ってみる。
俺が決闘しろと宣言した時、こいつは何と言っていた?
俺はあいつが意味深な笑みを浮かべたのを見て『その笑みは肯定と捉えても?』と言った。
それに対してルティーナは『好きに解釈してもらって構わない』と言っていた。
『決闘の条件に乗った』とは一言も言っていない。
ルティーナはただ俺に連れられて来て、俺と一戦交えただけ。
しかし、ルティーナにとってそれは決闘ではなく、ただの手合わせに他ならない。
俺からしたら屁理屈にしか聞こえないが、ルティーナの言っていることは筋が通っている。
つまり、俺は最初からこいつに弄ばれていたわけだ。
「お……お前……ハメやがったな!?」
「それは責任転嫁というものよダーリン。貴方は自分の都合が良いように勝手に解釈して、私に戦いを挑んで来ただけ。それだけのことよ」
くすくすと笑っているということは、間違いなく故意だ。
これまでの俺の苦労は一体何だったのか。今となっては無駄な労力を使ったとしか思えない。
「もし仮にお前が勝っていたら、俺は成立していない決闘のルールに従ってお前に殺されていた。で、逆に俺が勝った場合はこの展開にしようとしていたわけだな? この卑怯者め!」
「それは言い掛かりと言うのよダーリン。もし私が勝っていたとしても、私は正直にルール不成立のことを述べていたわ」
「嘘吐けや! 絶対殺してただろ! ルールが成立してようがしてまいが、お前より俺が弱いと分かった時点で俺は不要な男になる。だったらお前は今までと同じように俺を――」
「もういいですよビャクト様。今回はビャクト様が勝って生き残れたんですし、それで満足しておきましょうよ」
「お前は急に割り込んで来るんじゃねぇよ!」
生き残れたから満足? 馬鹿か! そもそも死ぬこと自体が不毛なことなのに、満足もクソもあるわけねぇだろうが!
「結局のところ、勘違いしていたのはビャクト様なんですよね? ならルティーナさんに非は無いじゃないですか。駄目ですよ自分の責任を相手に押し付けてしまっては」
「…………ハハッ」
無殺主義であるはずのこの俺が、割と本気で殺人衝動に目覚めてしまいそうだ。
クソ女神を殺めることだけはカウントに入れなくてもいいのでは? 今だけ自分が定めたルールを甘くしてもいいのでは?
「なぁミルク。水死と焼死ならどっちがいい?」
「なんですかその不吉すぎる究極の二択。早まってはいけませんビャクト様!」
「しゃらくせぇ! クソビッチも大概だが、俺はお前のそういう素直過ぎるところが大っ嫌いだ!」
「素直結構じゃないですか! ビャクト様の気持ちも分からなくはないんですよ? でも結論付けたら理に適っているのはルティーナさんの言い分じゃないですか。悔しいと思っているのでしょうけど、今回論破されたのはビャクト様の方です。潔く認めて割り切りましょう」
「ぐぐぐっ……」
クソ女神のくせにド正論を立て並べてくる。
まるでこいつにさえ論破されたような気がして、憤っている感情の高ぶりが余計に刺激されてしまう。
血涙が出てきそうなくらいの屈辱ではあるが、ミルクの言う通り、今回は負けを認めるしかない。
ただし、俺が素直になるのはこの機会だけだ。二度目はない。
「本当なら問答無用で追い払いたいところだが、どうせお前は何度でも俺を付け狙うつもりなんだろ?」
「えぇ、勿論。それにダーリンは私の“初めて”を奪ったんだもの。責任は取ってもらわないと」
「紛らわしい言い方すんじゃねぇ! 何が責任だ!」
「ダーリン。女の子にとってファーストキスというのは、貴方が考えているよりも大切なものなのよ。だって一生に一度のことなんだもの。普通の乙女なら深く考えた後に差し出しているところよ」
「そ、そうですよビャクト様! 何を考えていたのかは知りませんけど、急にキ……キ、キスをするのは破廉恥だと思います!」
俺だって好きで口付けしたわけじゃない。
ルティーナの隙を作るには、思い掛けない意表を突くことが決定打になると確信していた。
だからこその、恥と外聞を捨てたキスだったのだ。
「あれは破廉恥行為でやったわけじゃねぇよ。キスという思い掛けない行動は、相手の意表を突く立派な策略の一つだ。現にクソビッチは怯んでいただろうが」
「だとしてもやはりキスは破廉恥ですよ! 乙女の純情を弄ぶような行動はご法度ですよビャクト様!」
「まぁ私の場合はダーリンが相手で願ったり叶ったりなのだけれど。あの濃厚な舌使い、もう一度味わいたいものだわ……」
妖艶な笑みを浮かべながらペロリと舌舐めずりするルティーナ。
……舌を使った覚えはないのだが。
「ビャクト様って実はテクニシャンだったんですね。恋人の一人すらいなかったはずなのに、どうやってそんな技術を身に付けたんですか?」
「そもそも口を付けただけで舌は使ってねぇよ」
「ミルク。キスの技術力を鍛えるにあたって、実はサクランブォのヘタを使った修練方法があるのよ。きっとダーリンはそれをひたすらヤッていたに違いないわ」
「……必死過ぎて逆に引きますねそれ」
警棒を取り出し、取っ手の部分をミルクの首の後ろに突き付ける。
「それが遺言でいいんだな?」
「じょ、冗談ですよビャクト様。私がビャクト様に対してドン引きするわけなばばばば!?」
最大出力の電撃を浴びせてやり、ミルクは感電したまま白目を剥いて気を失った。
このまま放っておいて野垂れ死ぬことを祈っておこう。それなら自然死だし、俺が殺したことにはならないだろう。
「帰るぞ。不本意だがな」
「もう一度正式に決闘の盟約を交わし、また私と戦うという選択肢もあるはずだけど、もうダーリンは戦うつもりはないのかしら?」
「お前のことはもういい……。どう足掻いても無駄っぽいしな。せめてもう少し大人しくなることを切実に祈っておく」
「フフッ、そこまで言われては仕方無いわ。ダーリンを疲れさせるのは私としても不本意だし、少しは大人しくしててあげる」
そういう気遣いができるのなら、最初からしておいて欲しかったんだが……。
こうして、俺が持ち掛けた決闘は、体力の無駄な浪費をしただけという形で終えられることとなったわけだ。
〜※〜
「何はともあれ、ルティーナさんという仲間がまた増えたことですし、ビャクト様の駆け出し冒険者への道まで後一歩ですね!」
「やっぱそういう流れなのか……」
元セクハラ怪盗という変態に、俺の貞操を付け狙うクソビッチという変態。
四人中二人が変態って、俺はこれでこの先やって行けるのか……?
「ダーリン。冒険者という職業は貴方が思っている以上に殺伐としているわ。ダーリンが無殺主義なことは理解しているけど、魔物と本格的に関わる以上は“そういうこと”は付き物だと思うわよ」
「んなこと端から分かってるっての。魔物と関わると言っても、退治することばかりが冒険者の仕事ってわけでもないだろきっと」
「魔物を狩ることはあくまで冒険者の基本ってだけで、クエストは色んな種類があるからね。魔物退治は勿論のこと、何らかの素材の採取だったり、未知のダンジョンの調査だったりってね」
まさにそういったクエストが俺の望んでいるクエストだ。
場合によっては魔物との戦闘も止む無しだろうが、殺さずに無力化しておけば問題ないだろう。
冒険者になった後のことは、特に問題視していることはない。
それよりも心配なのは、俺がパーティーを組むことになるこの二人+αだ。
ピノもルティーナも悪い意味で自由過ぎる奴だし、まともに俺の言うことを聞いてくれるのかが気掛かりだ。
残りのメンバー枠は後一人。個性強い奴ばっかで胃もたれしそうだし、最後の一人くらいは真面目な人を引き入れたいものだ。
いっそ説教にうるさいくらいに生真面目な奴の方がいい。リーダーの言うことは絶対厳守と言ってくれたら尚良しだ。
「ルティーナ。お前に一つ聞いときたいんだが、どっかの町で冒険者を募集してるような所ってなかったか? お前奴隷だったんだし、色んな場所を行き来してただろうから詳しいだろ?」
「そうね。でも残念ながら、駆け出し冒険者を求めている町なんて場所は覚えがないわ。ダーリンも知ってるでしょうけど、今の世の中はあまり冒険者を必要としていないわ。廃れてきている冒険者稼業を栄えさせてる町なんてあるはずないと思うけど」
「あぁ、そッスか……」
つくづく俺に優しくない世界だ。自分の道は自分の力で切り開けと、天は俺に仰っておられるわけだ。
神様なんて言っても、今はただのニートゲーマーなのだが……。
「でも安心してダーリン。仮にダーリンが冒険者になっても貧乏のままだった時は、私が出稼ぎに行って代わりに養ってあげるわ。その気になればお金なんていくらでも稼げるもの」
「身体売る気満々じゃねぇか。これだからクソビッチは……」
「そうじゃないわ。まず手始めに、私の顔を知らない貴族の元に使用人として潜り込む。そこの主人を誘惑した後、お小遣いとして資金を搾り取れるだけ搾り取って、それなりの額が溜まれば出て行く。それで万事解決よ」
「……もしそれで身体に手を出されそうになった時は?」
「今までと同じよ。私が認める強者の器でなければ、問答無用で“男”を殺すわ」
「お前やっぱとんでもねぇ女だわ……」
「フフッ、照れるわね」
「褒めてねぇよ! ドン引きしてんだよ!」
いつか俺も強者として認められなくなれば、こいつに“男”を殺される可能性が無きにしも非ず。今後俺の股間が常に死と隣り合わせと思うと憂鬱だ。
「所詮貴族なんて奴らは、くだらないことばかりにお金を乱用する能無しの貪欲者ばかりよ。だったら私がダーリンのために使ってあげた方が世の為になるとは思わない?」
「それこそくだらない使い方としか思えないんだが」
「そうだよルティーナ。ビャクトに金は出さなくていいから、代わりに私に資金を提供しておくれよ。そしたらエロい女を雇い放題だし、巨乳に囲まれて私はグヘヘへへ……」
「お前は煩悩を自制することを少しは学べ」
資金……か。この遠出で半分以上は使い果たしてしまったし、予定していたよりもだいぶ予算オーバーしてしまった。ウンターガングに戻ったらまた町内クエスト生活を始めなければ。
「ハァ……。帰ればまた安日給クエスト生活か。萎えるわ」
「仕方無いですよ。私達はドがつく程の貧乏人なんですから」
「前向きになろうぜビャクト。未来の嫁さんも得られたんだし、後は職に就くことができれば万々歳っしょ。それに町内クエストも結構楽しいじゃん」
「お前はマイペースでいいよな……。ある意味俺はお前が羨ましいよ」
「数多の胸やお尻を嗜んできてますからね! そりゃ羨ましいと思われても仕方無い!」
「そういう意味じゃねぇよ」
仮に今、胸やお尻を自由に揉む環境があったとしても、このストレスを解消できるとは思えない。
「色気はいいからとにかく金と人材をくれ」と、俺は強く懇願することだろう。
「性欲を持て余した時は私に言ってダーリン。私が気持ちよくしてあげるから……」
「耳元で囁くな、気色悪いんだよクソビッチ」
「ちょいちょいビャクト。ルティーナのダイナマイツボデェ〜を独り占めをするのは感心しないな? 片乳でいいから私にも寄越しなさい」
「むしろお前に独占しておいて欲しいんだが……」
「ビャクト様。そういうことをする時はその……せ、節度はきちんと弁えないと駄目ですからね? 子供を作るつもりなら、ちゃんとした職についてからにしないと生活なんて維持できませんよ」
「だから手を出すつもりはねぇって言ってんだろうが! お前ら少しは人の話聞けやぁ!」
ゆっくりと進む馬車の中では、終始変態と馬鹿共の戯言が飛び交う。
最後の一人は良心的な人であって欲しいと切に願いながら、俺は姦しい声に頭を抱えながら手綱を引き続けていた。




