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役に立つ娘をやめて、愛されるために生まれてきました!~前世で私を使い捨てた公爵様、ご機嫌いかが?  作者: 扇風機と思ったらサーキュレーター


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仕返しの方法

「私はあなたを戦場に置き去りにして見殺しにしたダモン・タッカーが許せないんですけど!」


ローズは、ミラに起こった出来事について自分のこと以上に腹を立てていた。

あまりに怒り過ぎて、目に涙が浮かんでいる。


「ありがとう、ローちゃん。私だって悔しいよ。でも、その相手は今は友好国の筆頭公爵なんだもの。何かしようとしたら、パパやママを困らせちゃう」


「……それは、そうね。あ、でもミーちゃんの魔法で出かける度に服の端っこを燃やしちゃうとか、座ろうとした椅子の脚を燃やしてスッ転ばしちゃうとか……」


「毎日あの人の近くにいて魔法を撃つ機会を狙い続けるのなんて嫌だよ」


そして、ミラは今の気持ちを吐露する。


「私は、今がすごく幸せなの。これを壊したくないの」


ミラの親友を自認するローズは、時々ミラが思い悩んでいるのを心配していた。

自分に何かできることはないのだろうかと、真剣に悩んでいた。


だが、今のミラはとても清々しい顔をしている。

前世の記憶から解き放たれたミラは、もうあんな沈鬱な顔をすることはなくなるのだろうか。


そうだったらいいな、とローズは思った。

だって、ローズの幸せのためにも笑顔のミラは必要なのだから。


ミラは私の大切な存在、そして私もミラの大切な存在……かな?。

まあ、今後の接し方によってはアンナも混ぜてあげてもいいわ。


そう思いながら、ローズはミラの「今がすごく幸せ」という言葉を嬉しく受け止めた。


「ねえねえ、私に会えて良かった?」


「当たり前じゃない、ローちゃんが私を力づけてくれたんだよ」


前世での記憶の中で自分を虐げていたうちの一人、ローズという名前でいながら今世で味方をしてくれた目の前の少女は、確かにミラのトラウマを払拭する力になっていた。


そんな言葉をもらったローズは、さらにミラの幸せに貢献したいと思った。

ダモン・タッカーへの怒りは収まらないが、ミラの幸せを一番に考えるべきだと。


「これからも私とアンナはずっと味方でいるから、ミーちゃんはずっと幸せでいられるわよ」


「ローちゃんって、アンナのことも好きなんだね」


「はあ!?別にそんなこと言っていませんけど!?ただあの子もずっとミーちゃんに忠誠を捧げるつもりなのはわかるから、それを認めてあげただけよ!私の方がずーっとミーちゃんの力になれるんだから!」


わがままでありながら、両親の教育の賜物か正義感だけは強いローズは、ミラと同様アンナをのけ者にしている現状が少し居心地が悪かったのだ。


自分だけがミラの前世の記憶に関する悩みを知っているという優越感もなくはなかったが、それは卑怯な気がした。

お互い情報をオープンにしたうえで、自分の方がミラに愛されていると示したかった。


「あの子も心配してるでしょうから、ちゃんと話してあげるのよ」


「うん、ありがとう、ローちゃん」


「でもあの子はがさつだから、すぐにでもダモン公爵をぶん殴りに行きかねないわね」


……さっきまでローちゃんも『出かける度に服の端っこを燃やしちゃうとか、座ろうとした椅子の脚を燃やしてスッ転ばしちゃうとか』と言ってたじゃん、という言葉をミラは飲みこんだ。


「あの子が怒って手が付けられなくなったら、私に任せればいいわ」


アンナよりずっと体力がないのに絶対本気で喧嘩したら負けるじゃん、という言葉もミラは飲みこんだ。


それと同時に、ミラは嫌なことを考えた。

人目につかない場所から攻撃魔法を撃てば、嫌いな相手を殺すことは簡単なのではないか、と。


実際には、魔法を撃った後数時間はその人の気が残る。

気とは指紋のようなもので、魔法に習熟した人間なら、その気を辿って犯人を突き止めることができるのだ。

前世での魔法の師匠アルベルトは、そのことをミラに教えていなかった。

教えようとしなかった。


しかし、ミラはその考えを打ち捨てた。

パパやママはそんな行為を軽蔑するだろう。

命は大切だと、ずっと教わってきたのだから。


そして、少しでもそんなことを考えた自分を恥じた。

目の前にいる自分の親友にも、扉の外でうずうずしながら待っている使用人にも、申し訳ない気持ちを抱いた。


その時、ローズが口を開いた。


「ミーちゃんの幸せが一番なのは当然だし、今の私たちには何もできないわ。でもどうしてもムカつくのよ!」


自分のためにここまで怒ってくれる親友の存在も、ミラは嬉しく思った。


「次の記念式典であいつが出てきたら魔法で服を燃やして裸にしちゃうとか!」


「そんなに魔力をうまくコントロールできないよ。服を燃やしたら多分死んじゃうよ」


「もう!アンナも呼びなさいよ。三人で考えるのは一人で悩むより有益って言葉もあるでしょ!」


『三人寄れば文殊の知恵』のような教えがここにもあるのだろう。


そうして、アンナもこの場に参加することになった。

込み入った話になるからとアンナを退出させたが、ローズがあっという間に「ミラには前世の記憶があって、その記憶の中でダモン・タッカー公爵って奴に酷い目に遭わされたの」という説明で終わらせてしまった。「詳しいことはおいおい質問なさい」と。


「いきなり前世なんて言っても……」とミラは思ったが、アンナも簡単に受け入れた。いがみ合ってはいても、ローズが嘘をつくことはないとアンナは思っているのだ。


そうすると、アンナは当然のごとくローズと同様の怒りを抱き、ダモンに対する仕返しのアイディアを噴出させるのだった。

怪我をさせて治癒魔法を途中で止めて謝らせる、ダモン公爵の屋敷の屋根に攻撃魔法を当てて雨漏りさせる、雑草以上の繁殖力を持つミントを公爵の庭に植えて他の植物を駄目にする、などの嫌がらせが次々出てくる二人は、確かにミラに愛情を注いでいたのだった


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