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ほどなくして、道場からヴォーン、クリス、アリッサと、稽古をしていた門下生全員が、ぞろぞろと連れ立って寮にやって来た。
「センガさんには道場設立から今日に至るまで、色々とお世話になった。それなのに、こんな急な形でお別れする事になったのが、残念でならない」
管理人室の前で、ヴォーンがお悔やみを述べ、ギィもそれに対して、
「ありがとうございます。ですが、曾祖父の方こそ、最後の十三年間を、この地で好きな様に過ごさせて頂いた事に感謝していると思います。それに急な死ではありましたが、何も思い残す事なく、人より長い寿命を全うしたのですから、これ以上望むべくもありません」
と、返答した。
それからヴォーンを先頭に、管理人室に代わる代わる入り、各自がセンガに別れを告げていく。
「今朝までぴんぴんしてたのになあ」
「ああ、まだ信じられねえよ」
「不思議なじいさんだったな。仙人ってのは、ああいう人の事を言うんだろう」
普段は冗談めかして老人に悪態をつく門下生達も、流石にトーンが落ちている様子であった。
さらにその晩、ノイン家のヘリで、ザント、ヴェレ、ハーフェン翁が駆け付ける。
三人はリーガを伴って棺の前に立ち、センガの安らかな死に顔を見ながら、
「私達一家は、この老人に大きな恩を受けたまま、何も報いる事が出来ずに終わってしまった様だ」
ザントが言う。
「ええ。私なんか初めて会った時、あんなに取り乱して食ってかかってしまったのに、全部笑い飛ばして、色々と力になって下さいました。本当に強くて優しい方でした」
半泣きになって、ヴェレが言う。
「つい最近、屋敷で一緒に飲んだ時には、全く元気じゃったのにのう。しかし、百八歳ともなれば、無理もない事かも知れん」
気の合う飲み友達を失ったハーフェン翁も、少し寂しげに言う。
「じゃがな、センガさん。ワシはまだまだそっちには行かんぞ。アンタの歳より、少しでも長く生きてやるからの」
百九歳まで生きる気だ。




