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ギィ青年は、センガ老人の首を触って脈を取った。
さらにポケットからペンライトを取り出して、その場にしゃがみ、下から覗き込む様にして、老人の両のまぶたを開け、瞳孔を照らす。
確認が終わると、老人のまぶたを再びそっと閉じ、立ち上がって、リーガとアリッサに向かい、
「どうやら、先に亡くなったひいおばあさんが迎えに来た様です。あのわがままな老人を、あっさり連れて行ってしまいましたから」
と、少し悲しげな優しい笑顔を浮かべながら言った。
泣きそうな顔をするアリッサの肩に、リーガは手を置いて、
「アリッサ、笑って。それがセンガおじいさんの遺言だから」
アリッサは、その手を握り、
「わかった。泣かない」
口元をきゅっと結んで涙をこらえた後、一度深呼吸して、笑顔をつくる。
強い心を持った子供達だ。将来、優れた武芸者になるに違いない。
リーガとアリッサを見ながら、ギィはそう思う。
三人は冥福を祈る為に一分程黙祷を捧げ、それが終わると、ギィはセンガの懐から携帯を取り出し、かねてから言われていた通りに、老人が死亡した旨を、「最終メール通知先」と言うグループ名に一斉通知した。
これで、関係者全てに訃報が行き渡る事になる。
「さて、いつも酔い潰れたこの人を寮の部屋まで運んでいましたが、それも今日で終わりです。最後の最後まで、世話の焼ける老人でした」
ギィは慣れた手付きでセンガを背負い、
「私はこのまま、直接寮まで背負って行きます。すみませんが、お二人は道場に戻って、この事を皆さんに直接知らせて来てくれませんか?」
「はい」
「わかりました」
リーガとアリッサが返事をすると、ギィは、
「ではお願いします。もう第一報は通知してあるので、ゆっくりでいいですよ」
そう言って、麓の方へ歩き出した。
その後姿をしばらく見送った後、リーガとアリッサも道場の方に歩き出す。
「急がなくていいよ、アリッサ」
「うん。ギィさんとセンガおじいさんを、しばらく二人きりにしてあげるのね」
気を利かせる二人の子供達であった。




