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その夜、センガ老人は晩酌の後、
「どうも気分が優れん」
と言って部屋に戻り、翌日もそのまま寝込んでしまっていた。
「ギィ、ワシはもういよいよ駄目かもしれん」
横になったセンガは、枕元で心配そうに自分を見下ろしているギィ青年に言う。
「お酒の飲み過ぎですよ。もう少し休肝日を設けなさい、と言う天からの警告です」
「酒は関係ない。昨晩はあまり飲んでおらん」
センガはギィから目をそらしながら反論する。
「晩酌の前後で徳利の重さがかなり違っていましたが」
「目ざとい奴じゃのう。まあ、そんな事はどうでもいいが」
「良くありません。大体、いつも言っている様に」
「仮にワシがこのまま死んだとしての話じゃ」
ギィの説教が始まりそうな気配だったのが、この一言で形勢が逆転し、センガは内心ほっとしながら、側に置いてある携帯を指差して、
「もう村の人達には言い含めてある事じゃが、まずメールでワシの死亡を通知する事になっておる。その携帯の中に『最終メール通知先』と言うグループ名で送信先が全部まとめてあるから、それを使って一斉通知してくれ。ワシが、いつ、どこで、どんな状態で死んだかを簡単に書いての」
ギィは少し沈んだ表情になりながらも、老人の携帯を手に取って確認した。
「ワシの葬儀については、お前も知っての通り、もう葬儀社と相談して全て段取りも決まっておる。お前はそこに連絡して、日取りだけ決めれば良い。決まったら、もう一度メールでその日時を一斉通知してから、郵便局に行き、掲示板にも葬儀の告知を貼らせてもらえ。後は勝手に村の人達が情報を拡散してくれる。それで下準備はほぼ終わりじゃ」
センガはそこで、ふっ、と笑い、
「この村のシステムは、ある意味ネットより便利じゃな」




