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その後もヴァルゴは政府の命を受けて度々ヴォーンの元を訪れ、やがてセンガ老人の紹介で、ランナウェイ村の集会所兼情報部である郵便局にまで顔を出す様になる。
何しろ本職の情報屋なので、話題に飢えた村人達の間で、すぐに人気者になってしまった。
当のヴォーンはと言えば、大統領選に出馬する件を、かつての上司ミディ・フェロンに押し付ける事にまんまと成功し、選挙に圧勝した、もとい圧勝させられたミディは、その選挙の翌年、エディリア共和国第十五代大統領に無事就任した。
そんな国の一大事とは関係なく、センガ老人とギィ青年、そして小学生になったばかりのリーガと、そのリーガの後をくっついて回るのが大好きなアリッサが、山の中を一緒に散歩している。
遠くの山々が見渡せる、展望の開けた場所まで来ると、センガは、
「ここからの眺めは最高じゃろ? 近い内にここへワシの墓を立てるつもりじゃ」
リーガがきょとんとした顔付きで見上げ、
「生きてるのに、お墓を立てるのですか?」
アリッサもセンガの足元に近寄り、不安そうな顔で、
「センガおじいちゃん、しんじゃやだ」
センガは相好を崩して、アリッサの頭をよしよしと撫でながら、
「はっはっは、お前はいい子じゃな。じゃが、ワシの国ではな、生きている内に墓を立てると、長生きすると言われておるんじゃよ」
「もう故郷には、センガおじいさんのお墓が用意されている位ですから」
ギィが補足する。
「じゃあ、ギィさんも故郷にお墓があるんですか?」
リーガが質問する。
「私はまだです。立てるとしても、もう少し年を取ってからです」
ギィが微笑んでそう答えると、センガは笑いながら、
「はっはっは、ギィの人生はまだ始まったばかりじゃからの。長生きしたいなんて思う方がおかしいわ。お前達だって、長生きしたいなんて気持ちは分からんじゃろ?」
確かにリーガとアリッサには、少し早すぎる気持ちだった。
「墓と言ってもな、普通の墓ではなく、石のベンチをここに据えるつもりじゃ。人一人、横に寝そべれる位の奴をな。一人で横になって、酒を飲みながらこの景色を楽しむも良し、三、四人で腰掛けて、お喋りを楽しむも良し。中々便利じゃろ?」
それでもやはり子供達には、生きている間に墓を用意すると言う行為自体が、まだピンと来ない。
「センガおじいちゃん、ながいきして」
結局、まだ不安が抜けきらないアリッサがセンガに声を掛ける。
「ああ、もちろんじゃ」
センガが笑って答えた。
「ギィさんも、ながいき」
「はい、大丈夫ですよ」
ギィも優しく微笑んで答える。
「リーガも、ながいき」
「アリッサがいい子にしてれば、長生きするよ」
「いいこにする」
リーガはこんな時でもアリッサの恐怖心を巧みに利用していた。




