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「煙に巻かれた様な気分です。消防車だけに」
ヴァルゴは、大して面白くも無さそうに軽口を言って、話を続けた。
「しかし、その消防車のたとえ話に乗るならば、まだ内戦という大火災は、完全に鎮火していないのが現状でしょう。小さな火でも、何かの拍子に大きな炎となる恐れがあります。現場に消防車を据えつつ、消火活動に専念する事は、対応としては間違ってはいないと思いますが。少なくとも火が消えない内は、コンクリートミキサー車は要らないでしょう」
「たとえ話は、話の本質を見誤らせます」
ヴォーンが真面目くさった顔で言う。
「最初に言い出したのはあなたです」
ヴァルゴはその発言に淡々と突っ込む。
「ではもう少し、たとえ話で続けましょう。火災の中には、水を掛けてはいけないものがあります。化学工場などで、水と反応して爆発的に燃え上がる物質を扱っている様な場合です」
「確かにその場合は、消防車の放水は役に立ちませんが」
「役に立たないどころか害です。それと同じく、私が大統領になる事で、旧政府派、反政府派の残党が、大人しくなるとは到底思えません。却って火の勢いを強める結果にしかならないでしょう。私は彼等にとって不倶戴天の敵ですから」
「ふむ。では、火が自然に収まるまで、黙って見ていろと言うのですか?」
「このような火災の場合、水でなく乾いた砂を撒いて消火する方法があります。燃えるのに必要な酸素を遮断する訳です」
「今回の話に当てはめると、どうなります?」
「彼等の活動を抑えたいのであれば、まず国の復興を第一に考えるべきです。民心を安定させれば、テロを引き起こす者達は、その隠れ家と大義名分を失います。彼等は基本、混乱の中にその居所を見出す輩ですから」
「なるほど」
「この目的の為に、私より大統領に適した人物を知っています」
「誰です?」
「私が民間救助隊にいた時の上司、ミディ・フェロンです。現政府においても復興事業に協力して、地道に成果を上げています」
ヴォーンの十八番、「面倒事の丸投げ」が始まった。




