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ヴォーンの返答に、ヴァルゴは特に驚いた風もなく、
「その通り伝えましょう。ですが一応、断る理由も聞かせて下さい」
これに対してヴォーンが何か言いかけた瞬間、さらに続けて、
「『単に面倒だから』と言うのは無しです」
ヴォーンは開きかけた口を閉じた。
少し間を置いた後、ヴァルゴは淡々とした口調で話を再開する。
「実を言えば、断られるであろう事は、現政府のメンバーも予想していました。ですが、ここはもう一度良く考えて頂きたい所です。内戦の終結を待たずに政府を去ってしまった『勇者』ヴォーンには、まだ為すべき仕事が残されているのではないか、と」
「それが、大統領職に就く事であると?」
「悪く言えば、『勇者』ヴォーンがその仕事を途中で放棄した結果、去年の誘拐事件に代表される様な、旧政府派、反政府派の残党のテロ活動を誘発してしまったのです。もう一度中央に戻って政府を率い、完全に彼等を制圧した時初めて、『勇者』ヴォーンの仕事は終わるのではないでしょうか」
「それは浅はかな考えです」
「と言うと?」
「私は自分を消防車の様なものだと考えています」
「消防車?」
「火災が起こったなら、消防車は即座に駆け付けなければなりません。しかし、火災が収まったなら、消防車がいつまでも現場に残っていては、作業の邪魔になるだけです。まず必要なのは瓦礫を処理するパワーショベルやダンプ、それが終わったら建設に必要な資材を搬入するトラックやコンクリートミキサー車と、それぞれの段階で必要な車両は刻々と変わって行きます」
「なるほど」
「去年の事件では、この道場の門下生が巻き込まれた関係で、私も微力ながらお手伝いしましたが、本来なら警察だけで処理していた筈です」
「ボヤ騒ぎに消防車が乗り出す必要はない、と言う事ですか」
「消防車が暇を持て余していると言う事は、世の中が平和であると言う事に他なりません」
ヴォーンは面倒事から逃げる為、必死に論陣を張り続けた。




