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それからの一週間、リーガはザントの部屋で一緒に寝泊まりし、稽古に励む日々が続いた。
ザントが道場を去る前日、ヴェレも道場を訪れ、夫と息子が稽古している間、居間でちゃぶ台を挟んでクリスと話し込んでいた。
「でも、リーガ君を一人で武芸修行させる事に、よく賛成したわね。てっきり猛反対するものとばかり思ってたわ」
クリスがヴェレに言う。
「本当言うとね、あまり賛成じゃなかったの。夫が正気に返って、ようやく一家三人が揃ったと思ったら、今度はリーガが抜けてしまうなんて」
ヴェレは少し悲しそうに微笑み、
「また取り乱して、あなたに泣き付くと思った? クリス」
「ええ」
ノータイムで返答するクリス。
「ふふ、正直ね。でも、もう大丈夫」
「強くなったわね」
「そうじゃないの。ここにはもう何度も来てるし、これからも今まで通り会いに来るから。それに何より、あなたがここにいる事が心強いのよ、クリス」
「知り合いがいると、安心出来るのは確かね。それでも、幼い子供を手放すのは勇気が要ると思うわ」
クリスはそう言って、その傍らで遊び疲れて眠そうなアリッサを見た。
「ふふふ、おねむの様ね。アリッサちゃん」
「毛布を持って来るわ。少しお昼寝させましょう。すぐ起きると思うんだけど」
クリスが毛布を取りに隣の部屋へ行くと、ヴェレはうつらうつらしているアリッサに近寄り、
「アリッサちゃん、リーガの事が好き?」
アリッサは眠そうな目でヴェレを見上げ、小さく、うー、と唸った。
「じゃあ、引き離す訳にはいかないわね」
クリスが戻って来てアリッサを寝かしつけると、ヴェレはこんな事を言った。
「リーガをここに置いて行く理由はもう一つ。何となくね、アリッサちゃんが、私にこう訴えてる気がしたの。『私のリーガを連れて行かないで』って」
「まさか」
クリスは改めて、ヴェレの思い込みの激しさを実感した。特に恋愛関係。




