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道場を去る一週間前、ザントは息子のリーガを自室に呼び寄せ、寮生活について一通り説明した。この部屋には、ザントと入れ替わりでリーガが住む予定になっている。
「この部屋に色々と物を残して行くから、それらは自由に使っていい」
「はい」
「電話もそのまま残すから、毎日連絡を入れなさい」
「はい」
「勉強を教えてくれるサダさんの言う事を良く聞くんだぞ」
「はい」
「寮で分からない事があれば、ギィさんに聞きなさい。あの人が実質ここを管理しているから」
「はい」
「父さんと母さんは、一週間に一度ここに会いに来る。だが、寂しくなったら、いつでも家に電話しなさい」
「だいじょうぶ。さびしくないから」
「そうか」
寂しいのは親の方か。
ザントはそう思ったが、口には出さなかった。
「おとうさんとおかあさんも、なにかあったら、でんわして。いないときは、るすでんにしておくから」
「ああ」
ザントは心の内を、リーガに見透かされた様な気がした。
「ヴォーン先生は、何も指導してくれないからそのつもりでいなさい」
「はい」
「センガのおじいさんは、お酒を飲んでいる時に言っている事は聞き流すんだ」
「はい」
「レットさんは、いくら似ていても、面と向かって『熊』と言わないように」
「はい」
「それから……」
ザントの注意事項は、言われている当人が聞いたら怒られそうな方向に進んで行った。




