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夜明けのゾンビ  作者: 天本一三


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9/14

11月11日

 今日の朝は全国で緊急放送があったせいで、朝の散歩に行けなかった。ここ数日電力供給が不安定になってきていたが、とうとう発電所が止まりだしたらしい。管理をする人員の確保が難しく、どうしてもこのまま運用していくことが難しいようだ。なんとなく予想してたとはいえ、実際になるとはみんな思っていなかったんじゃないだろうか。もう普通にはネットを見ることも、テレビを見ることもできない。通信手段が断たれたら情報を得ることもできなくなるだろう。ウチは幸いソーラーパネルを付けてあったので、なんとか昼間の電気は使えるのが救いだ。

 朝の散歩に行けなかったせいかプウがご機嫌斜めなので、夕方になってからこっそり家を出る。こんな時でも空は綺麗な赤紫色に染まっていた。

 そうそう、先月から起こり出した死者が蘇る現象だが、どうやら全員が生き返るわけではなさそうだ。同じ条件に見えても、死んだままの人と生き返る人に分かれるらしい。

 映画で見るように、ゾンビが怖ければゾンビになればいいという理屈でわざと襲われても生き返るとは限らないし、現状に絶望して自殺しても生き返ってしまうという、今までよりもっと生死を運命的に受け入れざるをえない状況になっていた。ネットの掲示板は今も一応生きていて、以前は悲観的で絶望的な終末論や政府批判が多かったが、最近は逆に今までできなかった趣味の話などが増えてきた。みんな、今だけを見るようになってきたようだ。

 

 数日前、とうとう母さんはなくなってしまった。

「母さんのあの味を、もう少し食べたかったなあ」と親父は最後に言っていた。

 俺の中にも、悲しみだけではない感情が蘇ってきた。

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