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僕とフォルマーレ様④

 僕とフォルマーレ様はローザ女王の戴冠式を見届けて、女神王国領に戻って行く。


 マルツォが泣きながら手を振っていた。


 王都の関所に着くと、フォルマーレ様に国民が花びらの雨を降らせた。皆泣いていた。フォルマーレ様も泣いていた、僕は貰い泣きしてしまった。


 僕らは北上して女神王国領に向かう。


「さあ、もう逃げられませんわよ」


「逃げませんよ」


「……」


「愛してると言ったじゃないですか?」


 僕のその言葉にもじもじするフォルマーレ様。


「ビアンカ殿は……大丈夫でしょうか?」


「大変だと思いますけど、ちゃんと説得します」


「もしもビアンカ様の立場が私だったら、アルコバレーノ様を殺して私も死にますわ」


「……怖いことを言わないでください」


「まあ、冗談ですけど」


「笑えません」


 ※※※


 それから2週間後、帝国帝都に着いた。


 僕らが帝都の高級ホテルに泊まっていると、顔馴染みがやって来た。


 コンコンとドアを叩く音が聞こえてくる。


「はーい」


 僕は扉を開けた。そこにはベルボーイがいた。


「アルコバレーノ様のお知り合いという方が来られたのですが、通しても構わないでしょうか? 名前はビスタ様です」


「ビスタさんですか!? お願いします」


 ※※※


「お久しぶりです。ビスタさん」


 そこには茶髪に無精髭のサングラスをかけた優男が立っていた。


「久しぶりだな、アルコバレーノ」


 ビスタさんはフォルマーレ様を一瞥すると、慌てて膝をついた。


「お久しぶりです、フォルマーレ様」


「あら、あなたは確か要塞にいた……」


「ビスタです。アルコバレーノにはお世話になりました」


「逆です。僕がビスタさんにお世話になったんです」


「いや、娘をエリクサーで助けてくれたのはアルコバレーノだ」


 フォルマーレ様は興味津々で話を聞いていた。


「アルコバレーノ様は自分でエリクサーを作れるのですか?」


「うん。ビアンカに教えてもらったんだ。女神王国領でも最南端の村でしか作れなかったんだよ」


「それは凄いですわね」


「うん、ビアンカも凄いんだ。おかげで助かった人はたくさんいるよ」


 フォルマーレ様が首を傾げた。


「も? ですか?」


「ここに国を動かしてた凄い人が一人いますからね」


 顔を真っ赤にするフォルマーレ様。


「娘さんはお元気ですか?」


 ビスタが答える。


「ああ、元気にしているよ。今は学校に通っている」


「そうですか。それは良かったです」


「明日には女神王国領を目指して出発するのか?」


「はい。学校もあるので」


「女神領王国には学校もあるのか」


「ええ、他国よりも進んだ技術を学んでいますよ」


「それは恐ろしいな」


「帝国のチェーザレ王子も留学に来ていますよ」


「なんと、あの歳で」


「帝国民には知らされていないのですか?」


「まだ女神王国領を警戒している者がたくさんいるからな。赤目への偏見もある。女神様を直接見た者以外は魔王国と呼び続ける者達もいる」


 サングラスを外すビスタ。赤目を見せる。しかしフォルマーレ様は驚かない。


「フォルマーレ様は赤目に偏見は無いのですか?」


「ありませんわ。それに、あなたとは要塞でお話ししましたし」


「覚えておられましたか」


「ええ、忘れませんわ」


「あなたが帝国皇帝だったらどれほどよかったか」


「要塞の方々は……非常に残念でした」


「いえ、母国に裏切られたのです。仕方がありません」


 フォルマーレ様に膝をつくビスタ。


 ビスタを立たせ、椅子へと案内するフォルマーレ様。


「一緒に食事をしましょう。現帝国皇帝陛下は赤目にも理解があるお方なのでしょう」


「なぜそう思われるのですか?」


「女神王国領の勇者であるアルコバレーノ様に会いに来たのは、ティンバッロ皇帝陛下に今私達がこのホテルに泊まっていることを伝えられたからでしょう」


 フォルマーレ様が鈴を鳴らすと、外に立っていたホテルマンが扉を叩き、フォルマーレ様が扉を開く。食事をニ人分多く頼むと、ビスタの前とビスタの横に食事が並べられる。


「一緒に食事をしましょう。女神王国領と王国、そして帝国との和平の証として。どうですか? ティンバッロ皇帝陛下」


 少し声を張り上げるフォルマーレ様。扉を開けてティンバッロ皇帝陛下が入って来る。


「ティンバッロ皇帝陛下、どうでしょう?」


「私も同じ気持ちです。フォルマーレ様」


 僕達は4人で会食をする。


 ビスタが僕に要塞から出て何をして来たのかを尋ね、フォルマーレ様はティンバッロ皇帝陛下に女神様の人柄を質問する。


 ティンバッロ皇帝陛下は女神様を理想の女王だと語り、僕は、あれからエリクサーでたくさんの人を助けられたことを語った。


 ティンバッロ皇帝陛下が、僕にチェーザレ王子の学習状況を聞いてきたので、何とかついていけているレベルだと語ると、手を叩いて「あの子は神童」だと喜んだ。


 僕らは夜通し語り合い、それぞれの情報収集と良好な関係を築いて終えた。


 朝になると、僕らは馬車へと乗り、北へ向かう。


 1日だけの滞在にティンバッロ皇帝陛下と、ビスタは残念そうにしていたが、もう4ヶ月も学校を休んでいる。早く帰らねば、授業についていけない為、急いで女神王国領に帰国した。


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