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はい。女神様ですよ。

「ほんとしつこい奴だな」


「オマエ……コロス……」


 僕は大剣を背中から抜いた。大剣を両手に持ち、雷の早さで肉薄すると王国の勇者は片手剣で防ぐ。そして片手剣で弾いた大剣を足で踏み砕いた。僕は残った大剣で、王国の勇者の片手剣を潰す。


「しッ!」


 僕は残った大剣で下段から上方向へ振り上げる。大剣は王国の勇者を確かに半分に切り離した。


 すかさず水晶を叩き割り、水晶を持っていた女を袈裟斬りにした。女は血しぶきを上げて倒れた。


 僕らは空間魔法から元の世界に戻った。


「……ん。どうやらこの女が王国の勇者を守ってたみたい」


 白目の見目麗しい女が王国の勇者を庇ってたようだ。


「ん、白目が空間魔法を使えるなんて珍しい」


 ビアンカが女の目を閉じた。


「でも、王国の勇者は倒した」


「これで問題は一つ片付いたな」


「念の為に女神様の元に連れていく?」


「そうだね。女神様に見てもらおうか」


 ※※※


 世界樹の頂上。


 城の謁見の間。


 豪奢な玉座に座る女神様。


 女神様の前で膝をつくアルコバレーノ。


「王国の勇者を倒したのは本当ですか?」


「はい。ビアンカ」


 コクリと頷くビアンカ。


「うん。『スパーチィオ』」


 棺に埋葬された王国の勇者と女魔術師を出すビアンカ。


 女神様は玉座を下りてきて語る。


「よくぞ討伐してくださいました」


「女神様、彼は転生してこのゲームにやって来ました。じゃあ、僕らは死んだらどこへ行くんですか?」


「それは……私にも分かりません」


 女神様の赤い瞳をじっと見つめる。


「ずっとグルグル回り続けるのか、どこかでぷつりと消えてしまうのか?」


「それは……私にも分かりません」


「そうであるならば、王国の勇者はまた現れるのでしょうか?」


「いいえ、それは無いでしょう。彼は現世で死にました。私達は戦争を乗り越えて、他国と手を取り合って生きるのみです」


「それでは、女神様は共和国に参りますか?」


「ええ、それは行こうと思います。あなたに、女神王国領の勇者としてついて来てもらえるのでしたら」


「それでは、共に参ります。共和国の内戦を終わらせるために」


 ※※※


「……ん。私も行く」


「ガッタも行くにゃ。故郷の平和の為にゃ」


「よろしいのですか? 二人の安全は保障できませんよ?」


「心強い仲間ですから、大丈夫です」


「それでは、お二人にもお願いしますわ」


「はい」「あい」


 ※※※


 帝国皇帝には女神様が直接共和国へ向かうと伝えていた。いつの間にか仲良くなっていたらしい。


 帝国からも護衛が付けられた。なんと、直接ティンバッロ帝国皇帝も来るらしい。


「なんか大事になったにゃ」


 ガッタが猫じゃらしにじゃれついてる。


 猫じゃらしで遊んであげてる僕。


「戦争を終わらせに行くんだから大事に決まってるよ」


「明日はなんで女神様を連れてダンジョンに行くにゃ?」


「装備が心配だからね」


「装備?」


「オリハルコンの装備をね」


「オリハルコンは凄いにゃ!」


 世界樹の葉の麓ダンジョン。


 僕とビアンカとガッタと女神王国領の勇者三人、そして、女神様とまさかの帝国皇帝陛下。


「僕らが基本戦いますが、一応気をつけておいてくださいね」


「坊主、女神様は俺が絶対守るから大丈夫だ」


「兄貴、皇帝陛下は俺に任せてくれ」


「旦那、旦那のことはあたしが守るよ」


 女神王国領の勇者三人が気合を入れた。


 ピッチョットさんはいつの間に皇帝陛下に好意を寄せたんですか。


「それじゃあ、行きましょうか」


「中には蟻の女王がいます。僕らが討伐しますから、止めを刺してください」


「はい、分かりました」


 僕らが女王蟻を瀕死に追い込むと、攻撃魔法を準備していた、二人が止めを刺す。


 こうして女神様と皇帝陛下のレベルを500レベルまで上げていった。ついでにガッタのレベルも500へと上げた。


 僕は二人のレベルを確認してから深層10階を目指す。


 10階にて、ドラゴンにお土産のお酒を飲ませ、その間に11階層に下りた。


 前回と同様に魔法陣に入ると、オリハルコン装備一式が僕らの装備になった。


 女神様と皇帝陛下の二人が最強装備になった。


 女神様はオリハルコン糸で編まれたローブ。ガッタにはオリハルコンの胸当て、鎖帷子、皇帝陛下は鎧一式を着て地上に現れた。


 僕らはアルコバレーノ村で一泊し、共和国へと向かう。


 ゲネラール大将と、相手を威圧させない為に1個小隊ほどの人数でまず帝国へと向かう。


 帝国では同じホテルに泊まった。


 女神様がはしゃいでいる。


「あら、食事はバイキングですのね」


「あら、大きな湯殿ですこと」


「あら、大きなベッドですわ」


 皇帝陛下もはしゃいでいる。


「この時期は鴨肉が旬です」


「このお風呂は薔薇湯ですの」


「こちらには化粧台がありますわ」


 僕とビアンカははしゃぐ二人を温かい目で見守っていた。


 女神王国領の勇者ヴァロローゾと、ゲネラール大将が女神様の付き添いを争っている。


 ピッチョットさんは遠目から皇帝陛下を見守っていた。


 僕とビアンカとガッタはご飯を食べるとすぐに寝た。


 ※※※



 女神王国領の皆さんはというと。


「シャンパンタワーして見たかったんですわ」


 女神様が酒場の女王に君臨していた。


 女神様ゲネラール大将及び部下が盛り上がっていた。


 ヴァロローゾは、早くに離脱した。


 ※※※


 帝国では食糧難の町や村は皆無だった。女神王国領が、食糧を流してるからだ。帝国兵が不正に横流ししていれば、斬胴刑に処される。


 エリクサーもまたたくさん出回っていた。こちらは高値で売られているらしい。エリクサーは横流しの罪をしてでも、旨味が出るほど貴重らしい。複数の人間、闇ギルドが関わっている。出元が分からないほど辿って来たお金の流れが見える。


「エリクサーがまだ足りないかもね」


 僕が言った。


「ん。エリクサーが不当に売られてる。でも入ってきたらすぐに横流しされてそう」


「どうするにゃ」


「エリクサーを作ればいいんじゃないかな? 帝国で」


「……ん。誰が?」


「僕らが」


「悪い奴らに恨みを買いそう」


「僕らなら、悪い奴らを撃退できる」


「市場にエリクサーを飽和させて値崩れさせよう」


「うん、良いアイデア」


 僕らは馬車でエリクサーを作りながら北東へ進む。


 エリクサーの値段はすっかり崩れて銀貨1枚になる。


「これでお金の無い人でも買える?」


「うん、値段でなら買えると思うよ」


「値段でなら?」


「そう、値段でなら」


「平民の識字率が悪いから、騙されて高い値段で掴まされる心配がある」


「ん、そう……」


「だから、僕らは……」


「直接売って行こう」


「ん……。お店屋さんする」


 僕らは馬車に乗りながらエリクサーあり〼。と書いて、銀貨1枚で売って行った。一人当たり4つまで。転売ヤーがいるのでその辺はバランスを取って転売ヤーが高値で売ることが出来ないようにしたい。


「あと少しで共和国へと入りますよ」


 ※※※


 共和国に入るとそこには飢えている共和国民がいた。魔王派の共和国民だ。


 ミカン箱のような物の上に立って、演説する者がいる。


「魔王を女神様と呼ぶのは不敬だ。女神様なら我々を放っておくものか」


「そうだそうだ!帝国に行った奴らも、きっと餓えてるに違いねえ」


 そこへ馬車の列が止まっていく。神々しい鎧を着た騎士が道を開けさせる。


 そこに馬車が止まる。馬車からは、絶世の美女。赤い目の女神様が現れた。


「さあ、ご飯の支度をしましょう。皆さん食材を持って来てください」


 食材をみんなで切っていく、女神様の兵隊達は炊き出しに慣れている兵站を担う人材を連れて来た。後は帝国兵の兵隊の中から兵站を担う人材だ。合わせて2000人。


 女神様が可愛らしいフリフリエプロンで料理を作っていく。カレーだ。


 料理を作った端から、無くなっていく。


 赤ん坊の為に湯を沸かし、粉ミルクを与えていく。


 その姿に魔王派は女神を見ていた。


「め、め……神様」


「ゴクンッ……女神様」


 小さい子どもが女神様のエプロンを引っ張る。


「めがみしゃま?」


 女神様は屈んで小さな女の子の頭を撫でた。


「はい。女神様ですよ」




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