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ファイアードラゴン

今回も一週間までには更新します。

 探求者ギルド。朝。


 僕はビアンカ、勇者パーテイー、帝国の王子殿下と一緒に食事をした。


 女神王国領の学校は現役探求者ギルドの探求者が教鞭を執っている。当然先生達も探求者ギルドに寝泊まりしていた。なので朝から顔を見かける。


 担任の先生に今日はどうするかを聞かれたのでダンジョン探索へ行くと告げた。


 ダンジョンと言っても世界樹下のダンジョンではなく、普通に歩くと一ヶ月はかかる道行きだ。しかし、僕らはみんな最低でもレベル500は超えている為に、走って一時間で着くことが出来る。


 ダンジョン近くの村へ着いた。


 僕は朴訥な青年の村人に尋ねた。村人達はとても穏やかに見える。


「村長さんはいますか?」


「あー村長なら村の真ん中の家だあ」


 僕らは村長の家を訪ねた。村長宅へ入るとお茶を出される。


「依頼は神級モンスター討伐ですね。近くにダンジョンもあると聞いたのですが」


「ああ、そうじゃ」


「それにしては、村人は困っていないように見えるのですが」


 村長が椅子から立ち上がる。


「まあ、見ていってくれないか?」


 村長の案内で森の中へと入っていく。僕らもついていった。


 森の奥、ファイアードラゴンが眠っている。いや、起きている?

「パエゼか、もう目も見えんでな。匂いを嗅がせておくれ」


「ドラゴ、もういい、眠ってくれ」


「わたしはまだ…この村を守らんといかん。ダークドラゴンが、あやつがまだ生きておる」


 ボロボロ泣き出す村長パエゼ。禿げた小柄なおじいちゃん。


「もう十分だ……ドラゴ」


「エリクサーを使ってみましょう」


「そんな貴重な物を…お代は支払えませんが」


「お代は要りません。僕もこのドラゴンにはまだ生きていて欲しいと思ったんです」


「よい。ワシはもう寿命じゃ。私を狩りに来た探求者か。一つだけ頼みを聞いて欲しい。ダークドラゴンを倒して欲しい。村を守っておくれ人間達」


 エリクサーが効かなかったことを確認し、僕は泥だらけの土に膝をつけ、恭しく頭を下げる。


「僕らが必ずダークドラゴンを倒して来て見せます」


「ダークドラゴンはこの山の頂上におる」


 鱗に罅の入ったドラゴンは、重たい身体を起こしアルコバレーノの額にキスをする。


「ダークドラゴンを倒せるように祝福を……」


 ※※※


 僕らは森を越えて獣道を歩いて頂上へと登っていく。


「……ん。飛んだ方が早い」


「飛んだら周りのドラゴンも刺激しちゃうから」


「むう……浮くくらいなら大丈夫」


「確かに『フルトゥアーレ』」


 勇者パーテイー三人組も浮かせた。


 ここは猿山ならぬドラゴン山だ。ドラゴンの数がかなり多い。


 レッサードラゴンも多いが、それでも最低レベル300はある。


「時間がない。ビアンカの言う通り、浮いて他のドラゴンを刺激しないように急ごう」


 今まではファイアードラゴンが人間を友として攻撃を避けてきたが、ダークドラゴンは人間を喰い物としか思っていないらしい。


 他のドラゴンは、群れの長に忠実であり、わざわざ人を食べなくとも野生の動物を食べるだけで平気だった。


 ファイアードラゴンに限らず喋れるドラゴンは複数いる為、ファイアードラゴンの代わりが出来るドラゴンはたくさんいた。


 ファイアードラゴンは平和を望んでおり、ダークドラゴンは人を食料にすべきだと語っている。


 ファイアードラゴンは老い衰え、ダークドラゴンはまだ青年ほどの年齢だった。


 ダークドラゴンはドラゴン種が生態系の頂点だと考え、ファイアードラゴンは特に赤目の人間には手を出すなと群れの若者たちに伝えている。


 そこへ、赤目の人間がやって来た。


 多くのドラゴンが怯える中で、ダークドラゴンだけは殺気を放っていた。


 僕らはダークドラゴンの元までやって来た。


「ダークドラゴン、きみは人間を食べようとしてるって聞いたけど本当かい?」


「おうよ。人間なんぞ蟻やゴキブリみたいなものよ。こちらが何をしなくとも勝手に増えていく。我はファイア―ドラゴンのように、人間には怯えぬ。人間を守りたければ俺を倒していけ」


「考えを改めるつもりはないんだね」


「ない。人間ごときが、我と対等な存在だと思うでないわ!」


 ダークドラゴンがブレスを放つ、山が欠けた。


「フッ、どうだ。人間にこれが出来るか?」


 僕は大剣を両手に持ち一撃でダークドラゴンの首をはねた。


「これで満足かい……」


 僕は忘れずに魔核を取り出し、身体を灰になるまで焼いておく。


 僕らが山の麓へと戻ると、村長が泣いていた。話を聞くと、ダークドラゴンの気配が消えると共に息を引き取ったのだとか。僕らはファイアードラゴンもまたアンデッドにならないように、魔核を抜き取り、身体を灰になるまで焼いた。村長は守り神にする為に、灰を石棺に納める。


「勇者様方が手伝ってくれたおかげで、助かりました」


 山にいた全てのドラゴンがお墓の前へとやって来て棺に鼻をつける。


 シルバードラゴンが言った。


「これからは村のことは私に任せて欲しい。若いドラゴン達には村へ危害を加えないように言っておく」


「ならわしも、人間達がドラゴンの卵目当てで近づいて来るのを止めよう」


「うむ、助け合って生きて行こう。それがファイアードラゴンの願いだった」


「そうじゃな」


 ※※※


「報酬は本当にファイアードラゴンの鱗で良かったんですか?」


「うむ、村には大したものは無いからのう。ファイアードラゴンから頼まれておったのじゃ」


「そうですか」


「……ドラゴンとは共生出来るのに、赤目と白目では共生出来ないのはなんだか情けない」


 ビアンカが呟いた。


「そうだね」


 僕が答える。


「でもあたい達と旦那は仲良く出来てるだろう」


「そうだね。赤目と白目が分かり合えるのも、そんなに遠い話じゃないのかもしれない」


 セドツィオーネさんが呟いたので、僕は返事をした。


「ダンジョンに潜ろうと思うのですが」


 村長が答えた。


「そうじゃったそうじゃった。何でもファイアードラゴンが、昔ねぐらにしていたダンジョンがあるらしくてのう。ここから30キロほどの距離なんじゃが……」


 村長の言葉に僕が割って入る。


「近いですね」


「10分あれば着いちゃいますね兄貴」


「そうだね、今日のうちに行こうか」


「ここまで来たんだ。あたいもダンジョン踏破したいね」


「……むう。今日はダンジョン日和」


 僕らは村長に地図を書いてもらうと、意気込んでダンジョンへと向かった。


 ビアンカが呟いた。


「……ん。『マップスクロール』あっち」


 僕と一緒に勇者パーティーが走る。ビアンカは空を飛んでゆっくりついて来る。


「もうすぐ着く!」


 ビアンカが叫んだ。


「あの大きな岩が並んでるところ!」


 僕が最初に着いた。大岩が丸く囲んでおり、隙間から入れる。中に廃墟のようなダンジョンがあった。


「はあ、はあ、兄貴早すぎます……」


「はあ、はあ、旦那チョット手加減しておくれよ」


「坊主、俺も早くなってみせるからな。はあ、はあ」


 ダンジョンの門はゲートハウスになっていた。


 僕が力尽くで開け放ち、中へと入った。続いて勇者パーティー三人組が入ってくる。最後にビアンカが降りてきた。お城みたいだけど、空間が歪んでる。


 橋は螺旋状になってるが頭から落ちていくことはない。ぐるりと回ってようやく城の扉へとやって来た。なんだか気持ち悪くなる。めまいがする。


 城の扉を開けるとガーゴイルが襲ってきた。石の魔物だ。さすがにこいつらとは話が通じないと分かったので、ガーゴイルを破壊していく。しかしガーゴイルは砂になるだけですぐ再生する。魔核を取る為に赤目に魔力を集中させて覗いてみる。ガーゴイルの魔核の位置はバラバラだった。


 魔核を破壊しないと倒せないので、僕が勇者パーティーに指示を出して破壊してもらった。




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