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帝国の姫

続きです。

楽しんで頂けたら嬉しいです。

 魔法が飛び交う中、僕は前線で大剣を振るって白目の兵士の首を飛ばす。


「次ッ!」


 僕は剣士やタンクを狙って首や胴から上を飛ばしていく。そこへ女神王国領の勇者達が魔法を使って敵を焼いたり、ビアンカがシルフとウンディーネを使って鋭い氷の刃が混じる竜巻を作った。それが数百人規模で敵を葬っていく。


 僕は魔法を使えるようになったが、まだ拙く味方を巻き込んでしまう恐れがあった為、大剣二本を振り回している。雷のような速さで動く為、敵は気づく前に死んでいく。それはある意味優しさだと感じていた。


 ※※※


 攻勢を見ていたゲネラール大将が中将に話す。


「勇者とは凄いものだな。一人で万を超える敵を屠っていく。勇者殿がいなければ、我々もただでは済むまい」


「ゴクン……そうですね……敵でなくて良かったと思います」


 中将は固唾を呑んだ。


「我々も出撃だ! 女神様の為にこの戦の勝利を捧げようではないか!」


 ※※※


 僕は今帝国兵と戦っている。理由は王国の勇者から赤目のいる要塞を守るどころか、王国の勇者の手伝いをして、赤目を全滅させたことだ。


「赤目は何を怒っているのだ。我が帝国内の赤目共を始末しただけではないか?」


 帝国の大将、太った醜いガマガエルのような男が焦りを見せ宣う。


 僕の中から冷たい怒りが湧いて来る。


「帝国の赤目だって『人間』だった」


「何を言うのだ。赤目は赤目、『人間』ではない。それにだ、我が帝国は長年にわたって赤目共を庇護してきた。感謝されども非難される筋合いはない」


「庇護というのは、足りない配給とギリギリ雨風が防げる小屋のことか」


「そうだ。貴重な食料と家を提供してきたではないか」


「子どもが餓死して、寒さに耐えられず風を拗らせて亡くなるのをただ見送るだけの無念さがお前には分かるか?」


「それは運が悪かっただけであろう」


「なら、あんたがここで死ぬのも運が悪かっただけの話だ」


「だから、なぜそうなるのだ!」


 将軍の前の人だかりがはけていく。


「貴様ら、わしを守らんか。わしは侯爵家の次男であるぞ」


 大剣を二振り担いで、僕は敵の大将に迫る。


「言い残すことはあるか?」


「わしを舐めるなー」


 敵の大将は、『ヘルフレア』を使ってくる。


 四大精霊でない魔法は正直なところ赤目には効かない。


 だからこそ、合体魔法があるのだが……。


 合体魔法を使える兵隊達は僕がガマガエルに近づくと一目散に逃げだした。


 ガマガエルが炎の魔法を使ってきたので、お返しする。イフリートの『青のフレア』を使った。ガマガエルはあっという間に灰となった。


「僕らの勝利だー! 勝鬨を上げろッ!」


「「「うおおおおおおおおッ!!」」」


 兵達は歓喜する。


 僕らはそのまま要塞から南下し、帝都までやってきた。


 女神王国領の三万の兵は無傷のままだ。


 大将は兵糧攻めをすることになるだろうと思っていた。


 しかし、女神王国領の勇者達、僕らは攻め落とすことに決めていた。


 餓死者は出さない為だ。


「ノーム、『泥沼』」


 帝国の都市城壁が『泥沼』になっていく。チョコレートのように溶けていく都市城壁。


 僕らはそこから王都へと入った。


 兵士達がそこから雪崩れ込んでいく。


 城壁の上から矢が降り注ぎ、魔法が放たれるが、女神王国領の軍勢は守りも鉄壁だった。


 ウンディーネの水球がいくつも重なって、矢を閉じ込める盾になっていた。四大魔術は全て吸収される。


 僕は単騎で最前線の兵士やタンクを蹴散らしていく。


 王城へと続く道に血だまりが出来る。


 雷の早さで動いた僕は、あっという間に王城前に辿り着く。


 王城にはとても細かい彫刻が掘られていて壮麗だ。僕は城への攻撃は避けて、衛兵を倒す。


 中に入ると、近衛騎士達が出てくる。さすがに一国家の近衛だけある。


 こちらが雷の早さで斬りにいくと、サングラスをかけた近衛兵はこれについて来た。力では勝てないとわかっているようで、片手剣で僕の斬撃を逸らしていく。僕は片手剣を折るつもりで力を入れるが、なかなか一刀が入らない。よく観察して見ると、どうやら予知能力を持ってるいらしい。


 僕は攻撃を変えて、心臓をめがけて突きを入れる。雷ほどの早さの突きは交わしきれないようで、顔、肩、脇腹に傷が入っていく。僕は削っていくように彼を攻撃すると、横から丸く分厚い盾を手にしたでかい男が攻守の守に回り、予知能力の男が攻撃に回った。


 僕は丸い盾に剣を逸らされ、イライラしてしまった。そこをつかれ、予知能力の男に攻撃をもらった。頬に一筋の傷が出来る。


 僕は冷静になり、こちらに向かってくる足音三つを待った。


「……」


 僕は上段から振り下ろされる片手剣を両手の大剣で挟み受け止める。


「思ったより簡単な相手だったな」


 大盾の男が言った。


 三人目が俊足で迫って来た。動きが止まって見えるが、予知能力の男の剣を放すわけにはいかない。そこへ、


「兄貴! 遅れやした!」


 ピッチョットさんが盾男に突っ込んで僕から引き離してくれた。


「坊主、無事か?」


 ヴァロローゾさんが俊足の男を斬りつける。


「旦那、遅れてごめんよ」


 セドゥツィオーネさんが予知能力の男の首から上を水球に入れた。


 息が出来ずにもがく予知能力の男は、一旦後ろに下がって息を吸った。


「貴様ら、どうして白目が赤目に手を貸す」


「白目だの赤目だの関係ない。俺達は正義のあるところに付くだけだ」


「赤目に正義があるものか!」


 大盾の男が叫んだ。


「要塞にいた赤目を皆殺しにした連中に言われることじゃない」


「くッ、それは……」


 サングラスを外す予知能力者の男。


「あ、赤目……」


 大きな盾の男が叫んだ。


「力を皇帝に認められ、私は近衛兵になった。私は家族を養えるようにしてくれた皇帝陛下に感謝している」


 目を見開きポカンと口を開けているアルコバレーノ。


「ビ、ビスタさん……」


「済まないな、アルコバレーノ……家族の為なんだ」


「くッ!」


 僕は大剣一振りを置き、右手で拳を構える。


 大剣でビスタさんの片手剣を逸らすと、右手アッパーで顎を揺らした。平衡感覚を失うビスタさん。倒れる。


「な……」


 大きい盾の男があっさりやられたビスタさんを見て、戦闘意欲を失った。


 続いてヴァロローゾさんが交戦していた俊足の男を倒した。


 大盾の男は、ピッチョットさんが片手サイズの盾でボコボコにして大盾を破壊した。オリハルコンの盾なので、ミスリルの大盾だったが破壊できた。近衛兵は結局戦闘意欲を回復出来ずに、僕らに負けた。


 皇帝のいる謁見の間へとやって来る。


 しかし、そこに皇帝はおらず、既に逃亡された後だった。僕らは帝国の椅子に座っていた女性を連れて帰った。


 僕らは帝国のゲネラール大将と共に、一旦女神王国領へと帰って来た。


 女神王国領謁見の間。


 女神様が豪奢な椅子に座っている。


 女神様に膝をついて俯いている僕ら。


「帝国皇帝は逃げ出した後でした」


 女神様がにっこりと微笑む。


「そうでしょうね。あの臆病者が、逃げずに国民を守って戦うなんてありえませんし」


「なので、帝国皇帝の椅子に座っていた彼女を連れてきました」


 後ろ手に鉄の枷を嵌めて両膝をつく少女、ペタロ。


「彼女は第一王女みたいです」


「あなたが第一王女ですか? あのオークから生まれたにしては綺麗過ぎますね」


「あなたが魔王陛下ですか? あの男がオークなのは同感です」


 クスリと笑うペタロ。


「この場で動じないとは、本当にあの男の娘にしては珍しい。度胸もあるようです」


 微笑んで返す女神様。決して褒めていないのだが、話が通じている。


「私の汚点はあのオークから生まれたことだけですわ。魔王陛下」


「フフフ、アハハッ! 良い、良いですわ! あなたを帝国皇帝の後釜に据えましょう!」


 目を見開くペタロ第一皇女。


「本気ですの? 魔王陛下」


「ええ、あなたとなら、上手くやっていけそうですから」


「なんだか拍子抜けですわ。魔王陛下と人類を巡って話し合うつもりでしたのに、こんなに簡単に帝国皇帝になれるなんて」


「もとより、赤目を大事にして頂ける皇帝が誕生すれば私は良かったのです。あなたは、赤目に差別はないのでしょう?」


「はい。赤目のみなさんは私達の家族です。王国の勇者とオークには恨みさえあります。私が助け出せたのは、白い目の伴侶がいる夫婦か、家族だけでしたから」


「では、一緒に赤目と白目が共存できる道を探っていきましょう」


「はい、帝国の皇帝は女神様に忠誠を誓います」




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