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移住すっぺ

要塞の兵士達は、僕らの味方をしてくれるという。


もちろん申し出は断った。


僕らとの戦争に要塞の人たちを巻き込んではいけない。


僕は村人に王都への避難を促した。


「そんなこと言ってもねぇ……」


「王都へ行ってもスラム堕ちじゃねえか?」


「王都は食糧で満ちてます。飢えることは決してありません。女神様も、難民の受け入れ支援を約束して下さいました」


「……ん。王女様は優しい。皆を受け入れるって言った」


僕らは一軒一軒説得して回った。


僕らの説明に、皆がその気になったタイミングで、荷馬車が五百ほど村へとやって来た。荷馬車は家財道具や小さな子ども達を運んでくれるという。


僕らは最北の王都を目指す。


僕らは偽勇者パーティーに協力してもらい、道中の魔物や盗賊を討伐し、売ったお金で食料を買い北上していった。食料は最初に送られた荷馬車に入っていたのだが、余裕を持たせておくくらいが丁度良い。


二回目の盗賊襲撃で、僕らは白目の盗賊達と出会った。村の皆は彼らを知っていた。白目の盗賊は、難民として王都を目指していたが、赤目から迫害され、盗賊堕ちしていた。南に帰ろうにも、食糧を得られず仕方がなかったと言った。今まで、どんな悪事を行ったかで、彼らを連れていくか判断することにした。


彼らは月に何回か通る行商人を襲って食糧だけを奪っていただけだという。信用していいものか困ったが、村人達がこの子達なら信頼出来るということで、魔石を彼らの身体に埋め込んで、共に北上した。勇者パーティーみたいに冒険者登録をしたら良かったのではないかと質問したが、字が読めなかったのでそれも出来なかったという。まだ僕より小さな子ども達だし、僕も異論は無かった。


一ヶ月すると、世界樹が見えてくる。


村人達は歓喜した。最初に世界樹を見た僕も同じ気持ちだったが、やはり、世界樹はこの国の象徴らしい。


「なあ、兄ちゃん。世界樹が見えてきたってことは、そろそろ王都に着くの?」


「王都にはもう一ヶ月はかかるよ」


「うへぇー遠いんだな」


「でもあと半分だよ。頑張ろう」


「……ん。頑張ろう」


「おっしゃ! あと半分!」


村の男の子がそういうと、みんな明るく笑う。


そこから、世界樹を目指す。世界樹の頂上には城が見えてくる。


「あれが、女神様のお城?」


「ああ、そうだよ。あそこに女神様が住んでるんだ」


「すげえ! 城まで行ってみたいな」


「止めとけ坊主。あそこまで登るのにも一ヶ月はかかっちまう」


「そうなのか? 勇者のあんちゃん」


「ああ、そうだ。女神様と謁見するのも時間がかかる」


「そっか。じゃあ、いいや」


「あはは、諦めるのは早いな」


「だってあそこまで行くのにお腹空いちまう」


「坊主、城まで行くには途中に町がたくさんあるんだぜ。世界樹の下にはダンジョンまである」


ジョブが盗賊のピッチョットさんが呟いた。


「へえー面白そう」


「だろ」


ニヒルに笑うピッチョット。


「さあ、もうすぐ着くよ!」


僕が叫んだ。


※※※


村人を世界樹の下まで連れて行くと、そこにはまさかの女神様が待っていた。女神様が直接迎えてくれたのだ。


僕はすぐに膝をつくと、顔を下に向ける。


「面を上げなさい」


「はい?」


「あなたに敵意が無いのは分かります。だから面を上げなさい」


僕は覚悟して顔を上げる。白金の髪色をした長髪の見目麗しいその人が目の前にいた。


「女神様。彼らが最南端に住んでいた村人です」


「ええ、ええ。ありがとう。よくぞ村人に一人の犠牲者も出さずにここまで連れて来てくれました」


村人達がポカンと口を開けて女神様を見ている。僕を見て慌てて大人達が膝をついた。


「みなさん、よくぞ無事にここまでやって来てくれました。皆さんの村は世界樹の下に土地と家を用意しました。だから安心して、ここでの生活を楽しんでください」


「おお!」


「ありがとうございます!」


「「「ありがとうございます女神様!」」」


ひれ伏す村人達。


子ども達も真似をする。


女神様は照れて、両手で顔を押さえ俯いてしまう。


「顔を上げてください」


村人達はひれ伏したままだ。


僕がクスリと笑い、声をかける。


「皆さん、顔を上げてください」


すると、村人達が顔を上げた。


男達だけでなく女達も女神様に見惚れ、誰も声を発せないでいる。


僕は再び村人達に声をかけた。


「皆さん、気持ちはわかりますが、女神様もみなさんと同じエルフです」


「同じじゃないよ、俺こんな綺麗な人初めて見た」


男の子が言った。


「俺も千年は生きてるけど、こんな綺麗な人は初めて見たぞ」


重ねて男性が答えたが、奥さんらしき人に背中をバンっと叩かれていた。


「いってえ!」


女神様は腕をぶんぶん振って答えた。


「皆さんそんなに褒めても、なにも出てきませんよ」


「家と畑が貰えただけで充分です」


「そうだあ、畑があれば生きてける。感謝しとるでさあ」


女神様が僕に助けての視線を送ってくるので、助け舟を出す。


「そろそろ畑と家を見に行きませんか? 長旅の疲れもありますし」


「そうね。早く家が見てみたいわ」


「畑は世界樹産の腐葉土を使えるのでしょうか?」


「後は事務官に任せておりますので。事務官から話を聞いてください。私はこれで……」


女神様はシルフを呼び出し、シルフは羽の形を取る。シルフの羽が女神様の背中に重なると、女神様は浮き始めた。


「何か問題があるようでしたら、あちらの区役所に尋ねてくださいね。移住が上手くいくように私達も頑張りますから」


「ありがとう女神様」


男の子が叫んだ。


「「「ありがとうございます、女神様!」」」


村の人達が一斉にお礼を言う。


女神様は恥ずかしそうに手を横に振りバイバイをした。


「うちらの女神様はあんなに綺麗だったんだな」


「ありゃあ、女神様と言われるわけだよ」


男も女も女神様の容姿に盛り上がっていた。


※※※


家までやって来ると、一軒一軒がやたらとでかい。


畑も広く、村にいた時の三倍はある為、作物の収穫量に期待できそうだ。そして、世界樹の麓という良立地。


村人達と早速、畑を作った。世界樹産の腐葉土が使え、ノームも機嫌がとても良い。麦を撒いたらそれだけであっという間に実り、野菜や果物もそれ以上に期待が持てそうだ。税がいくら引かれるか事務官に聞いたが、余裕で資産が積み上がっていくだろう。


僕も畑をしようかなと思い始めていると、ビアンカの畑があると言うので、早速畑を作ってみる。鹿の角を生やしたモグラのような生き物が畑を耕し腐葉土と混ぜ、種を撒くとウンディーネが水をやる。僕の畑は果樹園とし、食べたい人にお金を払ってもらうと、時間内なら食べ放題というシステムにした。これが当たり、僕は莫大な富を得ることになる。


※※※


さて、僕は一人女神王国領の最南端の村に戻って来た。


要塞に行って状況を確認しようとすると、要塞の方から咆哮が聞こえる。人の叫び声だ。どうやら戦闘が始まっているらしい。僕が帝国の要塞へ向かうと、鉄の臭いと金属音、熱と水蒸気の湿気、あちらこちらから呻き声が聞こえてくる。僕が向かうと、赤目達と白目の帝国兵が戦っていた。


「アルコバレーノ……何しに来た?」


「アルコ……バレーノ、逃げろ……」


個人の武勇では勝る赤目の兵士達も、物量では白目に勝てない。しかし、僕なら。


要塞の兵士を焼き尽くそうと五人の白目が合体焼却魔術を使う。僕は、それをウンディーネを召喚して消す。そして、白魔術を即座に展開して火傷を治していく。僕は五人を大剣の一太刀で斬り伏せ、次々に魔法陣を展開していく。赤目の個の武勇を奴らに見せつけてやる。


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つまらなかったという方もつまらなかったという評価をお願いします。

<(_ _)>

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