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そこは一番危険な階層だった

 ダンジョン七階層。


 そこはマグマと赤いフェンリルの階層だった。


 足場が悪く、少し端を歩くと地面が崩れる。


 僕は慎重に進むが、女性陣は空を飛ぶ魔法で足場を気にしないですむ。


 フェンリルが襲いかかって来る。


 僕は大剣で一閃。


 フェンリルを首と胴に切り離す。


 赤いフェンリルは一頭じゃなく、数十匹はいる。まだまだ油断は出来ない。勇者のヴァロローゾさんが勇者の剣で必死に対応している。そこへ、ピッチョットさんが小さな盾でフェンリルの攻撃をいなし慌てずフォローに入る。うん、連携が十分上達した。


「ピッチョットさん、足場に気をつけて」


 僕は(ひび)が入ったピッチョットの足場を見て叫んだ。


 ピッチョットが間一髪で跳び、新たな足場へと移る。


「助かったぜ!兄貴!」


 僕は崩れそうな足場を一瞬で駆けていき、赤いフェンリルを倒して回った。フェンリルを倒し終えると、入口から正面に向かって足場が出来た。正面はゴゴゴ……と音を立てて扉が開かれた。


 ダンジョン八階層に入った直後、猛吹雪が襲ってきた。


「……寒いのは苦手。だから、温かい子を出す」


 イフリートを召喚すると、温かい空間に包まれた。


 しかし、僕は即決した。


「一旦引き上げよう。進むには無謀が過ぎる」


「……ん。了解した」


「ああ、それがいいな」


「まあ、引き時だねえ」


「兄貴に任せるぜ」


 ※※※


 僕らは地上へと戻って来た。


 地上へと戻ると、まだお昼だった。


 みんなでご飯を食べ終えると、荷物が無限に入るバッグを探しに行った。


 南の王国に有って、魔王領に無いとは考え辛かったからだ。


 何も考えず、探しても見つかりはしなかった。女神様にお願いしたら、バッグの一つくらい貰えないだろうか?


「……アルコバレーノは何を探してる?」


 無限に物が入るバッグを探してるんだけど。


「……ん、それなら私が作れる」


「え?」


 自慢気に胸を張るビアンカ。


「好きなバッグに空間魔法を付与すればいいだけ」


「じゃあ、この店のバッグに空間魔法を付与すれば……」


「……ん、荷物が多く入るバッグが出来る」


「無限には入らないのか?」


「……ん。空間魔法に長けていれば作れる。私の場合は家一軒程度」


「いや、十分過ぎるよ。なんで教えてくれなかったの?」


「……ん。秘密が女を美しくする」


「そういう秘密は今度から無しにして」


「……じゃあ、これから一人で考えないで。私に相談して」


「ああ、そうか。そうだった。ごめん」


「……ん。今回だけ許す」


「とりあえず、どんなバッグがいい?」


「……背負えるバッグがいいと思う。両手が塞がらない」


「ビアンカも考えてるんだね」


「……むう。失礼」


「ごめんごめん」


「……とりあえず、このリュックサックにする」


「…可愛いウサ耳だね」


「……ん。お勧めしたい可愛さ」


「じゃあ、これにしようか」


「……よし。いい判断」


 いかつい店員に商品を渡すと「お土産ですか?」と聞かれた。


「いえ、自分が使う物です」


 と答えるとがっちり握手された。


 店から出ると、これが正しい判断だったのかわからない。


 ビアンカは親指を立てて、グッジョブとジェスチャーする。


 まあ、いいか。


 ※※※


 泊まっているギルドの四十階の部屋に戻って来る。高さにはもう慣れた。今からウサ耳バッグに魔術付与するところだ。


「……ん、どこまで入ればいい?」


「ビアンカが言ってた一軒家ほどの荷が入ればいいよ」


 魔法陣を光で描くビアンカ。その光は球体になっていく。


「……わかった。了解。『リポスト―リオ』」


 魔法陣の球体の中に、ウサ耳バッグが入っていく。光り輝く球体は収束していくと同時に、それはウサ耳のバッグに収まった。


「……ん、完了」


 僕はバッグの中に手を突っ込む。


「うん、成功だ! 凄い、ビアンカ!」


 胸の無い胸を張るビアンカ。


「……ふふん♪」


 調子に乗っているビアンカ。まあ、無理もない。普通はこんな物作れないんだから。


「ビアンカは誰に教わったの?」


「赤目は神の啓示で魔法を教わる」


「神の啓示?」


「レベルが上がると、出来ることが空から降って来る」


「レベル?」


「そう、レベル。アルコバレーノは369レベルある」


「それは高いの? 低いの?」


「普通の人は50レベルが多い」


「強さを数字で見分けられるなら便利だね」


「……ん。赤目ならアルコバレーノでも見える」


「ほんと?」


「……嘘を吐く理由がない。目に力を込めて見て」


 僕は目に力を込めて見た。


「……ん。眉間に皺を寄せるのとは違う、魔力を目に集中させる。エリクサーを作る時に湧き水が染み出すイメージで」


 湧き水が染み出すイメージなら簡単だ。それを目に集めて見た。


「おお、数字が見える」


「……それでいい。私はちなみに215レベル。神級モンスターでも150程度。アルコバレーノと共に戦闘すると、レベルが上がるのが早い」


「そうなのか? なんでだろう?」


「そんなの決まってる。アルコバレーノが強くて神級モンスターを一緒に討伐すると、経験値のおこぼれにあずかれるから」


「ちなみに、他の赤目の人は見れるの?」


「……ん。みんな驚いてた。実感ない?」


「うん、無かった」


「……ん、アルコバレーノはしばらく人の観察をした方がいい」


「うん、分かった。しばらく目に魔力を集中させて観察してみるよ」


「……ん。それがいい」


 ※※※


 再びダンジョンへ。


 僕は昨日から目に魔力を集中させて、色んな人を見て来た。探求者ギルドでは、僕のように魔力を目に集中させてレベルを見ている人がほとんどだった。レベルはみんな百前後だった。

 偽勇者パーティーは、思った以上にレベルが高く、みんな150のようだ。たぶん、余裕で本物の勇者パーティーよりレベルが高い。


 赤いフェンリルのダンジョンを越えると、猛吹雪の豪雪地帯へとやって来た。


 ダンジョンの次の階段を求めて、『マップスクロール』の詠唱をしたビアンカ。


「……ん、モンスターがいる。レベル150。階段もそこ」


「よし、行こうか」


 僕らは雪山装備をして中へ入る。


 ホワイトアウトの中、ビアンカが『マップスクロール』を使い続けないといけない為、盗賊職のピッチョットに『敵探索』の技術を覚えてもらった。セドゥチェオーネが『隔離』の魔法を使う。『隔離』の魔法とは、寒さや暑さから隔離する、白魔術師が使う初歩の気候魔法だ。気候魔法は極めれば、雨を降らせることも出来るらしい。ただ、気候魔法の技術が甘い為、氷点下は下回る。


「兄貴雪の下にモンスターが」


 ピッチョットが言ったその刹那、下からビッグフットが現れた。大きさは20メートルくらいはあるだろうか。僕は、大剣を横に振って胴を真っ二つにした。


 ビッグフットは。思っていたよりも細かった。濡れた猫を想像すると早いだろう。毛が多い為、もっさりしているが中身は小っちゃくなっている。


 途中雪女にも出会ったが、こちらは話が通じた為に、攻撃せず通してもらった。雪女がこの階層のボスだったのかもしれない。


 次へ続く階段へとやってきた。雪女がドラゴンの巣窟だというので、気をつけなければいけない。


 九階層にやって来た。僕は目を疑った。


「キュイキュイ!」


 そこは人懐っこいベビードラゴン達の階層だった。


 問題はベビードラゴンの餌になってる大きなGがいたことだ。Gは素早いがドラゴンの子ども達は、それをあっという間に捕食している。大きなGはリポップするらしく食べる者に困らない為、九階層にベビードラゴンがいるようだが、ベビードラゴン達の親たちもいるはずである。


 ベビ―ドラゴンが足元にすり寄って来る。


 僕らはベビードラゴンは狩らずに、下の階層を目指した。


 だからビアンカ。勝手にベビードラゴンを連れ去るんじゃありません。


楽しんで頂けたら評価をお願いします。

つまらなかったという方もつまらなかったという評価をお願いします。

<(_ _)>

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