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ダンジョン攻略2

 僕らは中間ポイントで外へと戻って来た。


 外はまだ薄暗かった。空には、すずらんのようなオブジェが浮かび、花が光って街を照らしていたいた。


「坊主、俺達が払うから飯一緒に行かないか?」


「それがもうお腹一杯で……」


「それなら、あたしがお勧めする甘味処はどうだい」


「……ん。行く」


「ビアンカはまだ食べられるの?」


 僕が聞くと、


「……ん、甘いものは別腹。古代から決まっている」


 と答えた。


「じゃあ、僕はヴァロローゾさん達と食事に行こうかな」


「……ダメ。アルコバレーノは私たちと一緒に来るべき」


 ビアンカの視線が鋭く感じる。


「じゃあ、甘味処に一緒に行くよ。ピッチョットさん達はお酒がメインですよね?」


「ああ、そういや、兄貴はまだ未成年でしたね」


「……ん、そう。アルコバレーノはまだ未成年」


「じゃあ、ここで別れましょうか」


「うん。楽しんできてよ」


「おお、兄貴もな」


「今日は懐が潤っているからみんな楽しめるね」


「ああ、本当だよ。いつもは街で小間使いみたいなことをやらされてたからね。でも明日からは、ダンジョンに行けるから食うに困らないですみそうだ」


 僕らは大通りを右に回ると、路地裏へと入って行く。そこには、ダンジョン産の様々な果物が薄焼きした卵に包まれて売られていた。


「クレープって言うらしいよ」


「……ん、ほっぺが落ちそう」


「本当だ、白いふんわりしたものも、果物に相まって美味しいね」


「白いのはクリームって言うらしいよ」


 セドゥツィオーネさんが教えてくれた。


「あそこあそこ、あそこの甘味処だよ」


「高そうだけど大丈夫かな」


「だろう。くう~ッ!ずっと行きたかったんだよ。ようやく行ける」


「……ん。涙を流して喜んでる。この痴女」


「あたしはアルコバレーノ一筋だよ」


「……それが質が悪い。世界にショタはたくさんいる」


「アルコバレーノは一人しかいないだろう?」


「……それが分かってるなら、尚更悪い」


「まあ、今のうちに独占しておくんだね。英雄色を好むと言うし」


「……ん。今のうちに私の者にしておく」


「まあ、今日のところはいいさ」


 僕とビアンカ、セドゥツィオーネの三人組は、甘味処である楼閣に入って行く。


 中に入ると、席に案内された。座ってしばらくすると紅茶が運ばれてきて、三段のケーキスタンドにケーキがたっぷり置かれていた。


 女性二人の目の色が変わる。


 ショートケーキ、シフォンケーキ、ロールケーキ、シャルロットケーキ、ガトーショコラ、フォンダンショコラ、チーズケーキが並べられており、女性二人が奪い合うようにして食べている。


 僕はもうお腹一杯で紅茶を飲んでいた。見てるだけで胸焼けする。


 セドゥツィオーネが言った。


「旦那、旦那はこれからどうするんだい?」


「う~ん。しばらくダンジョンに挑んでみようと思ってるよ」


「本当かい!」


「うん、ダンジョンに魔族の食糧難解決の糸口が見えてきたからね。南の魔族が飢えないようにしたいと思ってるんだ」


「……むう。魔族じゃない。人間」


 僕はビアンカの頭をポンポンと叩く。


「ごめん。あくまでも僕から見たらの話しだから」


「……今のアルコバレーノは魔族そのもの」


「ああ、そうだったね」


 世界樹のある土地よりも南下していくと、田畑に作物が実らない土地が多い。土地が瘦せているのが原因だが、北は世界樹の恩恵を受けて土地が豊かであり、秋まき麦が多く食糧が出回ってるからこそ、飢えずにすんでいるのだ。北は世界樹に庇護されている。それなら、南にはダンジョン産の食糧を分け与えてはどうか。


「まずはダンジョンの作物にどんな種類があるかを知りたい」


「あたし達も手伝うよ。南の困窮した村々を見て来たからね。放っておけないじゃないか」


「……それは助かる。でも今はそんなことより」


「そんなことより?」


「……お菓子を楽しむべき。作った人に失礼」


「そうだね。嬢ちゃんの言うとおりだ」


 僕は相変わらず紅茶を飲んでいる。


 ※※※


 翌日。


 ダンジョン五階層へとやって来た。砂漠対策に陽を防ぐローブを着ている。


 砂漠を歩いていると、海老みたいな虫が姿を現した。


「こいつ、ギルドで聞いたぞ! 蠍だ! 尻尾に毒を持った棘がある」


 勇者のヴァロローゾさんが叫んだ。


「毒がなくとも、あの尻尾の棘で身体に穴が空いたら死んじまうよー!」


 ジョブが盗賊のピッチョットさんが騒ぐ。


「アイアンプーニョッ!」


 ビアンカが鉄の巨大な拳を作り出し潰した。


 蠍は身が弾け飛び悲惨な姿に。


 そこから少し歩くと、デーツやサツマイモ、オリーブ、トマト等が自生していた。これらなら南の村でも育つかもしれない。


 そこへ、リザードマンの集団がやってきた。


「やあ、仲間の諸君。何の用があってここまで来たんだい?」


「ダンジョン踏破を目指しています」


「君達もか」


「なにか、都合が悪いですか?」


 リザードマンが首を横に振る。


「今までダンジョンを踏破した人間はいないんだ。君達も帰って来れないんじゃないかってね。諦めるつもりはないかい?」


「実は……」


 リザードマンたちは焼き芋とパスタやピザで迎えてくれた。


「なるほど、君らは南に実る作物を欲しているんだね」


「この下の層に麦が実ってる。ここには油が出るオリーブがあって、味付けのトマト」 


 食卓には先ほどの蠍の姿焼きもあった。


「これ、食べられるんですか?」


「ああ、よく焼けば食べられるようになる」


「この下の階層には小麦があって俺達もそこまでは行けるんだ。だが、その下は神級クラスのモンスターばかりで手が出せない。だから助けを期待しないでほしいんだ」


「助けは期待していません。探求者となったからには命を懸けるつもりで生きてます」


 ヴァロローゾさんが言った。僕は驚いた。


 セドゥツィオーネさんが尋ねた。


「探求者はそんな安易な気持ちでなれる仕事じゃないでしょう?」


「申し訳なかった。あなた方の覚悟を馬鹿にしていた。ただ、この先に進んで帰って来た者はいない。十分に準備してから行ってほしい」


 この先に中間ポイントは無いと断言してくる。


「私達の先祖が二十五階層まで行って戻って来た。食料は豊富だが、中間ポイントがないので、引き返してきた。私達の先祖は小麦の階層までしか行ってはならないと決めた。ダンジョンに暮らしてる我が同胞の見解だ」


「なるほど。それじゃあ、ここで補給していきたいのですが構いませんか?」


「ええ、一通りの道具は用意できますので、お気をつけて」


 ※※※


 六階層へ進む僕達。


 その景色に僕達は見惚れていた。


 視界を埋め尽くす黄金の麦。水平線まで続いている麦畑に僕は驚きを隠せなかった。


「これは、美しいですね」


 小麦を収穫していたリザードマン達が声をかけてくる。


「そうだろう。ここは安全地帯でゆっくり麦を収穫できるんだ。収穫しても、すぐにリポップするから、魔物の一部なんだろう」


「毒とかあったりしますか?」


「それはないよ。ただ、この部屋で下に降りる階段を見つけられずに、断念しちまう者も多い」


「聞いたら教えてくれますか?」


「それは禁止になってる。このダンジョンで下に自力で降りられない、そんな実力じゃあ、ここに戻ってくることも出来ないだろう」


「たしかにそうですね。ビアンカ、頼む」


「……ん。『マップスクロール』」


 部屋が一瞬緑色に輝いた。


「……ん、こっち」


「嬢ちゃんもう見つけたのかい?」


「……こんなところで立ち止まってたら、下の階で命を落とす」


「まあね。嬢ちゃん、後でその魔法教えてくれよ」


「……ん、構わない」


 あっという間に下の階層へ行くと、リザードマン達が驚いているのが見えた。


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つまらなかったという方もつまらなかったという評価をお願いします。

<(_ _)>

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