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エリクサーを広めよう

 僕らはエリクサーを必要としている人を求めて、北へ北へと北上していく。


 当たり前のイメージだが、病気や怪我の内容も関係なくエリクサーは不治の病を治していく。


 僕らは冒険者ギルドの依頼書を集めて、西へ東へと治癒をしにいく。そんな中で、魔王領の冒険者ギルドを見つけた。冒険者ギルドではなく、探求者ギルドと呼ばれている。


 探求者ギルドには、失われた技術を使い被害者を助けようとする人々がいた。


 エリクサーもその一つであったために、探求者ギルドの訓練場で講義を行った。


 反応は良く、錬金術ギルドを立ち上げようという話になる。


 僕とビアンカは賛成した。


 錬金術ギルドを作れば、技術の継承が続いていき、数人の錬金術師による独占を防げるからだ。


 追加で、錬金術を患者に利用する際は銀貨一枚程度とした。それには強い反発があり、大半の錬金術師志望者達が訓練場から出ていく。


 旨味が無いと判断すると人間は醜いもので、五十人ほどいた訓練場には四人しか残らなかった。


「あの、四人だけになってしまいましたが、錬金術の指導を続けていただけるのですか?」


「ええ、これから教えていきます」


「……ん、教える」


 ※※※


「う~ん。難しいですね」


「魔術を液体に移すという作業が大変難しいです」


「うん。少しずつやっていこうか」


 僕は青年の手を握って魔力を流すと、湧き水を意識して魔力を放出していく。


「なるほど。なんとか掴めそうです」


 僕は若い女性に対しても行った。すると、ビアンカがむくれてしまう。


「なるほど。私も上手くいきそうです」


 僕はビアンカの頭を撫でる。


「……むう。私は怒ってない」


「うん、分かってるよ」


「……私の方がお姉さんなんだから」


「うん?」


「……聞かなかったことにして」


「うん」


 ※※※


「これは何の葉ですか?」


「……これは世界樹の葉」


 ゴクリと唾を飲み込む青年。


「この魔核は何の魔核ですか?」


「……神級モンスターの魔核」


「神級モンスター…」


 探求者の研修生達は血の気が引いた顔をしていた。


「おお、エリクサーが作れた」


 皆緑色だが、しっかりとエリクサーを完成させた。


「これはどこまで効果があるものなのですか?」


 そこへ、


「先生、いるか!」


 探求者達がやって来た。


 白い髪を立てた白衣の男がやって来る。


「先生、俺達神級の魔物と出くわせちまって」


 探求者の男の一人の腕はもげていた。


「……くッ! すまん。この傷では、流れた血も多い。白魔術ではもう……」


「そんなぁ……私のせいで……」


 探求者の少女が泣き出す。


 リーダーらしき男は目頭を押さえた。


「彼に早速エリクサーを使ってみよう」


 僕が言った。


 錬金術を研修していた一人の女性が怪我人に膝枕をすると、自分の作ったエリクサーを与える。


 すると、見る見るうちに腕が再生し、呼吸が安定してきた。


 今はスースーと、寝息を立てている。


「……もう安心」


 探求者から歓声が上がる。研修生も「よかったです」とこそばゆそうにしている。


「おお、神の奇跡じゃ」


 白い髪を立てた白衣の男、探求者ギルド付きの医師が呟いた。医師の呟きに、ビアンカが答える。


「……まさに神の奇跡。これが伝承の中に残るエリクサー」


「おお、これがエリクサーか。まさに奇跡だ。これを作ったというのか?」


「……世界樹の葉に、神級モンスターの魔核を加えたら完成する」


「神級モンスターを倒すことが出来る者がそうそうおらんのう」


「……むう。確かに。誤算だった」


「……アルコバレーノがたくさん狩っておけばいい」


 ビアンカが僕に指を差す。


「まあ、確かに」


 研修生の女性が口を挟む。


「王都には神級モンスターを狩れる探求者がたくさんいるから大丈夫ですよ」


「……それもそう。それなら、大丈夫」


 僕らは更に北上して世界樹の王都へと辿り着いた。


「……まさか、一年で二回もここに来るなんて思わなかった」


「僕もそうだよ」


「……む、あれは」


「兄貴ー! お久しぶりでさー!」


「旦那! 待ってたよ!」


「アルコバレーノくん! 久しぶりじゃないか!」


「あ、お久しぶりです」


 自称勇者、自称舎弟、自称愛人がやって来た。


「旦那達はなにしてたのさ?」


 僕にしな垂れ掛かってくる自称愛人。彼女を引き離そうとビアンカが僕の手を引っ張る。


「ピッチョットさん達は何をしていたんですか?」


「おう、兄貴。勇者のやつが剣を見つけたぜ」


「え、勇者の剣見つかったの?」


「ああ、見てくれよ坊主」


「まお…いや、女神さまからお許しが出て謁見したら、この剣をくださったんだ。だから、俺の剣は女神さまに捧げて来た」


「なるほど、女神様ですか。ふさわしい表現だと思います」


「だろ? 旦那、俺も女神様の姿を見たらどちらが正義で悪か分かっちまった。俺たち人間の方が、ずっと卑しいことを理解しちまったんだ」


「旦那もそう思ったんだね。私もあの美貌には勝てないことを理解しちゃったよ」


「あ、そろそろ行かねえと」


「どこへ行くんですか?」


「今俺達三人で探求者をやってまして、世界樹の下のダンジョンに潜ってるんでさあ」


「なるほど。いいね、ダンジョン。一度は挑戦してみたい男の夢だよ」


「兄貴がその気なら一緒に行きましょう」


 首を横に振る僕。


「悪いけど、今日は探求者ギルドに研修に行くんだ」


「ギルドに研修を受けに?」


「いや、研修をしにね。エリクサーを作る為の研修なんだけど」


 偽勇者パーティーは驚いている。


「兄貴、エリクサーを作れるんすか」


「旦那、そんな技術もあったのかい」


「坊主は何でもできるなあ」


 僕は再び首を振る。


「僕の技術じゃなくてビアンカの技術だよ。ビアンカに教わったんだ」


「ビアンカの姉御そんなことが出来るんすね」


「嬢ちゃん、あんた見た目通りの歳じゃないね」


「すげえなあ、嬢ちゃん」


「……急いでる。早く行こうアルコバレーノ」


 僕とビアンカは走って探求者ギルドへと向かった。


 世界樹の大きさに圧倒されていた為、その存在が薄くなっていたけれど、探求者ギルドはガラス張りで出来た八十階まであるタワーだ。中へ入ると一階は受付、魔導エレベーターというのに乗り、あっという間に八十階まで着く。


 八十階の受付に声をかけると、大きな広間へとやって来た。


「こちらで研修をお願いします。受講生はS級A級B級までと絞っておきました。神級モンスターを倒せることが条件と聞いたので」


「いえ、受講生にランクは必要ありません。ギルドで買い取った神級モンスターの魔核を加工出来れば結構ですので」


「なるほど。ギルドがモンスターの魔核を買い取って加工して売ることの方が現実的かもしれませんね」


「その方が安く出来るでしょう?」


「フフフ、確かに。一部の探求者が独占すると高騰してしまいますわね」


「では、全ての探求者に伝授できるように一週間ほどお時間を頂いてもよろしいですか?」


「そうですね、お願いします」


 僕らはギルドの計らいで四十階の宿屋を用意された。


「……ん、高くてちょっと怖い」


「そうだね」


 僕らは高さが怖くて、ベッドを合わせ手を握りあい寝ることにした。


 ※※※


 朝、研修が始まった。


 やはり皆、魔力を流すのに苦労するようだ。そこで、皆で円になって手を結び、魔力を流してみた。


「キャッ!」


「イヤ…」


「ン……」


 と声を漏らす女性探求者達がいて集中力が途切れるが、何度か湧き水のように染み出すイメージを徹底したら、皆エリクサーの液体に魔力を流すことを成功させた。


 一緒にギルドの職員にも研修させたら、職員にも出来ていたので、この国の人間なら、皆エリクサーを作れるようになるんじゃないかと思う。材料さえあれば、であるが。


 こうして、エリクサーを普及させる旅は終わりを告げた。


楽しんで頂けたら評価をお願いします。

つまらなかったという方もつまらなかったという評価をお願いします。

<(_ _)>

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