16 墓地
「ねえ、ここ外人墓地でしょ」
「そうみたいだな」
喜美子と智也は外人墓地の門の前に立っていた。
「本当にこんなところにサイボーグが隠されてるの?」
「裕美がそう連絡してきたんだぞ」
「入園禁止の札がかかってるし、入りづらいわね」
喜美子は門から墓地内を覗き込んだ。並木道が真直ぐ伸びているだけで、墓地は見えない。人の気配も感じられない。
「喜美子はここに残っててもいいんだぜ」
「今更。ここまで来たら、一緒に行くわ」
喜美子は向きになって言った。
「待たせたな」
その時、八十神が現れた。八十神は背中にビデオデッキサイズの機械を背負っている。機械の上面には二つのパラボラアンテナが備えつけられていた。
「それ、なんですか?」
喜美子が面食らった様子で尋ねた。
「最終決戦兵器というところだ」
「それじゃあ、行くか」
「いいや、行くのは私一人だ」
八十神が真顔で言った。
「そんな言葉に従うとでも思ってるのか」
「君たちには、この墓地周辺にいる人々の避難にあたってほしい」
「そんなこと言って、一人で死ぬ気だろ」
「わかりました。やります」
喜美子が智也を押しのけて、言った。
「喜美子」
「あたしたちは、あたしたちの出来ることをやるべきでしょう」
「わかったよ。だったら、一つだけ約束してくれ」
「約束?」
「必ず俺たちのところへ戻ってくるって」
智也は真剣な眼差しで八十神を見つめた。
「……」
八十神は少し考え込み、「約束しよう。このバッグを君に預けておく」
八十神は智也のそばに小さなバックを置くと、二人を残し、単独で墓地内に入っていった。




