10 アジト
組織のアジト――
リクライニング・チェアに座って、グラスの酒を嗜んでいる黒須を前に三人のサイボーグ少女たちが報告を行っていた。
「カナリー・アイが八十神のサイボーグにやられたそうだね」
黒須は上目使いにアンバー・アイを見た。
「はっ。生徒会長の久坂喜美子と弟の智也が放課後、視聴覚室に生徒会の代議員を集めて、組織の秘密を暴露しようとしたため、カナリー・アイと共に向かったのですが、またしても八十神のサイボーグに阻まれてしまいました」
「これで奴に倒されたのはアクア・アイ、レッド・アイに続いて三体目か。よくやる。それにしてもアンバー・アイ、おまえはどうして戻ってきたのだ?モーブ・アイの報告ではおまえは戦わずして逃げ帰ってきたそうじゃないか」
「それは――」
「退避機能は解除してあるはずだ。なぜ逃げた?」
「頭痛が――」
「頭痛?なぜ?」
「北野佐織という女の顔を見たら、急に頭痛がしました」
「その女は何者だ?」
「私の妹と言っていました」
「私のだって?」
黒須の顔が険しくなった。「おまえは何者だ。北野留美か、それともアンバー・アイか」
「アンバー・アイです」
「わかっているなら、『私の妹』などと言うな」
「はっ」
「モーブ・アイ」
「はっ」
「アンバー・アイを改造室へ連れていけ」
「どうするおつもりですか?」
「再度、洗脳プログラムをインストールする。二度と頭痛の起こらないようにな」
「了解」
モーブ・アイはアンバー・アイを連れ、部屋を出た。
「久坂姉弟をどういたしますか?マゼンダ・アイに自宅を見張らせていますが」
一人残っていたキャメル・アイが言った。
「放っておくんだね。もう自宅には戻るまい」
「しかし、このままでは久坂姉弟が他の生徒たちに計画を報せるかもしれません」
「サイボーグのことなど誰が信じるものかね。計画は予定通り実行するよ」
「八十神の方はどうします?」
「奴がどこまで僕の計画を知っているか知らないが、奴に計画を防ぐのは不可能だ。最も八十神のサイボーグが、当日、学園に邪魔しに現れるかもしれないね。それならそれで我々も丁重に出迎えてやろう」
黒須は薄気味悪く笑った。
その時、自動ドアが開き、一人のサイボーグ少女が入ってきた。
「失礼します。新たに改造された同士を連れてきました」
「ようやくできたか。連れてきたまえ」
「はっ」
一人のサイボーグ少女がいったん外へ出て、新入りのサイボーグを連れてきた。
「ふふふ、美しいね。おまえの名は?」
「私の名はバーミリオン・アイ」
「元の名は?」
「弘田香奈子です」
女はそう言うと、瞳を赤く輝かせた。




