9 決意
「ともやっ!!」
喜美子は、声を上げて目を覚ました。
「やっと目が覚めたみたいだな」
喜美子のそばで声がした。
見ると、喜美子のすぐそばで智也が椅子に座っていた。
「智也……」
喜美子は寝ていたベットから起き上がろうとした。
「おいおい、無理するなって」
「平気よ」
喜美子は体を起こした。「ここはどこ?」
「八十神博士の隠れ家さ」
「そう。あたしたち、確か視聴覚室でサイボーグに襲われたのよね、それから――」
喜美子は頭を押さえた。
「裕美が助けてくれたんだよ」
「そ、そうね、思い出したわ。裕美さんに手を引っ張られて、学校を出たとこまでは覚えてるんだけど――」
「俺なんかそれ以前にサイボーグ野郎にのされちまったからな」
智也は腫れ上がっている頬をさすった。
「大丈夫?」
「こんなの大したことねえよ」
「佐織さんは?」
「無事さ」
その時、部屋の奥でドアのロックを解除する音がした。
喜美子がドアの方を見ると、ドアが静かに開き、誰かが入ってきた。
「あら、気づいたのね」
部屋に入ってきたのは裕美であった。
「日高さん……助けてくれて、ありがとう」
「礼なんていらないわ。それより、あまり仕事を増やさないで欲しいわね」
裕美は冷ややかに言った。「博士が言ってなかったかしら。学校へは行くなって」
「ごめんなさい。あたしがいけなかったの」
「その結果、死ななくてもいい人間が死んだわ」
「わかってる」
「俺が悪いんだよ。喜美子は反対してたんだ」
智也が喜美子をかばうように言った。
「どちらでもいいわ。これにこりて、もう二度と博士の邪魔になるようなことはしないでね」
「裕美も他のサイボーグ連中と一緒だな」
智也がぽつりと言った。
「智也!」
喜美子が声を上げる。
「どういうこと?」
裕美は表情も変えず訊いた。
「飼い主の命令に忠実だってことさ」
「そうね」
「智也、何てこと言うのよ。ごめんね、ちょっとすねてるだけだから」
「何でサイボーグだったこと黙ってたんだよ」
「言う必要がないから」
「必要がないってそんな……俺はおまえのこと……」
「しばらくあなたたちはここにいていいわ。家に戻れば、また狙われるから」
「裕美はどうするんだ?」
「組織と戦うわ」
「だったら、俺も」
「あなたはまだ組織の恐ろしさがわからないの?」
「わかってるさ。わかってるからこそ、戦うんだ」
「わからない理屈だわ。お姉さんが悲しむわよ」
「あたしも戦うわ。親友を殺されてこのまま黙っているわけにいかないもの」
「喜美子」
「私がいなかったら、殺されてたのに、よく言えるわね」
「あなたに助けを頼んだ覚えはないわ。あなたが断るんなら、あたしたちだけでやるわ」
喜美子と智也の強い決心に裕美は目を伏せ、軽く微笑んだ。
「全く……。あなたたちでは無理だわ。私が博士に頼んであげる」
「裕美……」
「あなたたちの世話を焼くのはもうこりごりなの」
裕美はそう言うと、部屋を出ていった。




