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3 喧嘩
その夜、智也の部屋では、喜美子と智也が八十神の話のことで喧嘩になっていた。
「みんなが危ないって時に、俺たちに家に閉じこもってろって言うのか?」
智也が怒った口調で言った。
「そんなこと言ったって、あたしたちに何ができるの?」
「みんなに危険を報せることはできるだろ」
「そんなことして組織が黙ってると思う?かえって犠牲者が増えるかもしれないわ」
「だったら、警察に報せるさ。マスコミにだっていい」
「どう説明するの?私たち、何にも証拠を持ってないのよ」
「畜生!」
腹立ち紛れに智也は手近にあった目覚まし時計を床に投げつけた。
「あーっ、それ、あたしがプレゼントしたやつでしょ」
「うるせえな。こうなったら、俺一人でやるよ」
「何をやるのよ」
「組織と戦う」
「どこにいるかわからないのに?」
「学園は組織のアジトなんだろ。校長脅して白状させてやるよ」
「早まらないで。八十神さんの相談なしにそんなことしたら――」
「あんな奴、どうでもいい。とにかく、出てってくれ。話は終わりだ」
「智也」
智也は強引に喜美子を自分の部屋から追い出し、中から鍵を閉めてしまった。
「智也……バカなことしたら、お姉ちゃん、許さないからね。本当だよ」
喜美子は泣きそうな声でドアに向かって言った。




