表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エメラルド・アイ ~サイボーグ少女の復讐劇  作者: mf
第三章 野望と崩壊
35/53

2 秘密計画

 翌日。


 前夜の雨が嘘のように晴れ上がった午後、八十神は池袋の地下街にあるファーストフードの店にいた。奥の二人席で、一人ハンバーガーを食べている。


 入口の自動ドアが開いて、一人の女性客が入ってきた。サングラスをかけ、グリーンのショート・ジャケットを着、黒のジーンズを穿いた十七、八の女である。背中に小さなリュックを背負っている。


 女は店内を見回してから、奥の席の八十神を見つけると、八十神の方へ歩いていった。


 八十神は女に気づいて、顔を上げた。


「来たか」


「狙われてるのにこんなところで待ち合わせて大丈夫なんですか?」

 女はサングラスを外した。女は喜美子であった。


「かえって人のいるところの方がいい」

 喜美子は八十神の向かいの席に座った。


「学校は大丈夫なのか?」


「さぼりですよ」

 喜美子がぶっきらぼうに言った。


「そいつは済まなかったな」


「左手は大丈夫なんですか」


「ああ」

 八十神は手袋をした左手を見せた。


「義手ですか?」


「まあな」

 八十神は左手の指を動かした。「前の手よりは不便だが、指は動く」


「すごいですね……」

 喜美子は目が点になった。


「今日は君のボディーガードはいないのか?」


「智也は学校に行かせました。それで用件は?」


「まず、桜華高校の資料の礼を言いたい。それから、君たち姉弟には香奈子が本当に世話になった。君たちがいなかったら、生きて香奈子と会うことができなかった。感謝する」


「礼なんて……弘田さんが死んだのは……」


「彼女が死んだのは君たちのせいじゃない。それより、君たちには大事なことを伝えておく」


「大事なこと?」


「来週の月曜日、桜華高校から兵隊が出動される。君たちはこの先、学校へは行かない方がいい」

 八十神は喜美子にしか聞こえないくらいの小声で言った。


「兵隊ってどういうことですか?」

 喜美子も小声になる。


「この写真を見てくれ」

 八十神が喜美子に一枚の写真を渡した。


「これはこの間、学校の焼却場で取った女たちの写真……」


「そうだ。この写真の二人の女に見覚えは?」


「いいえ」


「桜華高校で失踪した日比野智香と北野留美だ」


「嘘」

 喜美子は八十神を見た。


「何なら調べてみたらどうだ」


「どういうことなんですか?」


「桜華高校は組織のアジトの拠点だ。組織は生徒の中からサイボーグに合う素体をピックアップしている」


「生徒たちを誘拐してサイボーグにしてるってことですか?」


「そういうことだ」


「ということは学校そのものがぐるってことですか?」


「校長ほか上の連中は組織の人間だろう」


「そんな……信じられない」


「まだまだ序の口だ。組織は生徒全員を兵隊化することを考えてる」


「まさか……」

 喜美子は口を覆った。「来週の月曜日って、全校社会科見学ですよね。もしかして――」


「君の考える通りだ」


「駄目よ、そんなこと。みんなに報せなきゃ」


「それはやめた方がいい」


「どうして?」


「そんなことが組織に知れれば、君たちは消されるぞ。組織はこの日に全てを賭けているんだ」


「けど、このままじゃ――」


「僕が、出来るだけのことはする。君と弟はもう学校へは行かず、おとなしく家にいたまえ。君だって組織の恐ろしさは知っているだろ」


「みんなを守ってくれますか?」


「ああ」


「お願いします」

 喜美子は小さく頭を下げた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ