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エメラルド・アイ ~サイボーグ少女の復讐劇  作者: mf
第二章 サイボーグ少女
24/53

8 アジト

 謎の組織のアジト――


「あんたたちは本当に出来損ないね」


 作戦会議室では、白衣の女がアンバー・アイとモーブ・アイを前に険しい表情で叱責した。


八十神(やそがみ)を捕らえられないばかりか、弘田香奈子を残して、逃げ帰るなんて、あんたたちそれでもサイボーグ?」


 白衣の女――高宮(たかみや)あゆみは特殊警棒で肩を叩きながら、直立している二人のサイボーグのまわりを回った。


「自分の力を上回る者に対しては、交戦せず退避するようにと言う命令を受けていますから」

 アンバー・アイが言った。


「なるほど。けど、八十神を捕らえるという命令もあったはずよ」


「はい。しかし、あの場所に八十神はいませんでした」


「……だったら、なぜ香奈子を置いて、逃げたの。香奈子に逃げられたら、八十神の行方を追えなくなる。常識で考えたら、それぐらいわかるでしょ」


「香奈子を連れ帰るには交戦しなければなりません。私はシステム・プログラムの退避命令を優先させました」


「何ですって」

 あゆみはアンバー・アイの顔を警棒で殴りつけた。


「まあ、落ち着きたまえ。彼らの言っていることは正しい」


 少し離れた場所で椅子に座り、あゆみの尋問を聞いていた男が言った。男は骨格のしっかりした少しえらの張った顔立ち。あゆみと対象をなすように眉は太く、唇は厚い。髪は短く、レイヤーがかかっている。クリーム色の背広とネクタイを着用している。


「聞けば、彼らの行く手を阻んだ女は、前にアクア・アイを倒したばかりか、レッド・アイも一発殴っただけで倒したと言うではないか。それほどの者に対してなら、彼らの退避機能が働いてもおかしくはない」


「でも、少々頭が悪すぎるわ」


「頭が悪いのではない。命令に忠実なだけだ。万一、交戦して相手にアンバー・アイたち全員を倒されてみろ、組織は大損害だ。レッド・アイの在庫はあるが、彼らの在庫は少ない。無用な戦いはさけて当然だ」


「こそこそ逃げ帰るようなサイボーグなら、作るだけ金の無駄だわ」


「そうは思わないね。むしろ、相手の女が何者かだ。アンバー・アイ、レッドアイを倒した女は、瞳と髪の色が青緑色に変わったと言ったな」


「はい」


「相手もサイボーグかもしれないねぇ……」


「八十神が組織に対抗するためにサイボーグを作ったとでも?」


「八十神は脱走時に開発中だったαⅢ型の設計図と部品を持ち出していた。もしかしたらその女は、八十神が作ったサイボーグかも知れない」


「サイボーグを作るには人間と言う素材が必要よ。しかも、生きている人間か死後一時間以内の人間でなければならないわ」


「誰かを殺したんだろう。我が組織のサイボーグは全て八十神が設計したものだ。今更、人一人殺すのをためらう奴ではあるまい」


「これからどうするの?計画の日は近いわ。八十神を殺さない限り、組織に安泰の日はないわ」


「八十神側のサイボーグの能力がわからなければ、むやみにサイボーグは使えない。彼らは計画の中心だ。アクア・アイら二体を失った今、これ以上損害は出せない」


「それじゃあ、どうするの?」


「マルス(MRSU)を使おう」


「あれを?八十神が研究途中だったものよ。まだ、実用段階じゃないわ」


「構わん。あれなら、手っ取り早く殺し屋が作れる。組織の被害も少ないしね」

 男は薄気味悪く笑って、言った。


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