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エメラルド・アイ ~サイボーグ少女の復讐劇  作者: mf
第二章 サイボーグ少女
18/53

2 病院

「ここで止めて」


 裕美(ゆみ)が言うとタクシーが止まった。


弘田香奈子(ひろた かなこ)がここに……」

裕美が病院の白い建物を見上げて、言った。


 石造りの門の表札には『山岡中央病院』とある。

裕美は運転手に料金を払ってタクシーを降りると、病院に入った。


 そして、五階の五一八というプレートの付いた病室の前まで来た。

裕美は壁のプレートに書かれている入室者の名前を見た。


「この病室ね」


 裕美が入口のドアをノックしようとした時、病室のドアが開いた。中から出てきたのは久坂であった。


「おっと、失礼」


「弘田さんはいますか?」


「ああ、中にいるよ。君は?」


「久坂喜美子さんに頼まれました。弘田さんが狙われてるって」


「喜美子に何かあったのか?」

 久坂は血相を変えて言った。


「?」


「すまない。私は久坂智也と喜美子の父親なんだ」


「喜美子さんが殺し屋に脅されて、ここの場所を教えてしまったそうです」


「喜美子は無事なのか?」


「ええ」


「そうか」

 久坂の表情が和らぐ。


「弘田さんに会わせてもらえますか?」


「ああ、いいとも」

 久坂がそう言った時だった。


「きゃあっ!!!」


 香奈子の病室から悲鳴が起こった。

 久坂と裕美が顔を見合わせる。


「病室からだ」


 久坂たちはすぐさま病室のドアを開け、中へ飛び込んだ。


「!!!」


 病室の半分開け放たれた窓のそばには、香奈子を両手で抱きかかえた一六、七の少女が立っていた。


「弘田さん!」


「彼女を放せ!」


「できんな」

 少女は窓枠に足をかけ、窓から出ようとした。


「動くな!」


 久坂はホルスターから拳銃を抜き、少女に向けて構えた。


「撃ったら?女に当たってもいいならね」

 少女の目が紫色に光った。


「ちっ」


「久坂さん」

 裕美が久坂の前に出た。


「弘田さんを誘拐しても無駄よ。彼女は八十神博士の場所は知らないわ」

 裕美が少女に向かって、言った。


「おまえ、なぜ我々が八十神忠士(やそがみ ただし)を捜していることを知ってる?」


「彼の居場所は私が知ってるわ」


「どこだ?」


「彼女を放してからよ」


「信じられんな。本当に八十神の居場所を知っているなら連れてこい、場所は――」


「横浜海浜公園の中央広場、今夜午前二時」

 裕美が言った。


「……よかろう。それまではこの女を預かる。裏切れば、どうなるかわかっているな」

 少女はそう言うと、窓から外へ飛び降りた。


 久坂が窓に駆け寄り、下を見る。


 少女は香奈子を抱いたまま無傷で着地していた。待機していたかのように車が建物の影から現れ、少女の前で止まった。少女が車に乗り込むと、車は急発進して、走り去った。


「何て奴だ、人間とは思えん」


「人間じゃないわ。少なくとも今は……」




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