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エメラルド・アイ ~サイボーグ少女の復讐劇  作者: mf
第二章 サイボーグ少女
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1 プラットホーム

 第一章 女子高生連続失踪事件 あらすじ


 八十神が組織の研究施設から脱走して、一年後。

 女子生徒の謎の失踪事件に続く桜華学園に日高裕美が訪れる。校舎の玄関口で遅刻してきた少年・久坂智也と出会い、彼女は転校生だと言って、名乗る。

 一時間目の終了後、裕美は再び智也の前に現れ、校内の案内を依頼。智也の姉で生徒会長の喜美子も同伴する。


 深夜、智也と喜美子は謎の追跡者に追いつめられた女性を救出する。彼女の名は弘田香奈子。入院先の病院で何者かに誘拐されかけたところを逃げてきたのであった。

 彼女の希望を聞き、喜美子の反対を押し切って、智也は香奈子を家で保護することを決める。


 翌日、一人で学校に登校した喜美子は、裕美が転校生でないことを知り、校内で彼女を捜す。体育館裏で裕美を発見した喜美子は彼女を追及するが、逆に裕美からこの場所での殺人事件の痕跡を指摘され、この学園で起こる女子生徒の失踪事件の捜査協力を求められる。

 その夜、喜美子と智也は、裕美と共に学園内に忍び込み、クラブ棟裏の焼却場を張り込む

 六日後。

 夕方の駅のプラットホーム。帰宅途中のサラリーマンや学生でごった返していた。

 喜美子(きみこ)智也(ともや)は列の一番前に立っていた。二人の後ろには長い列ができている。


 喜美子たちが最初に来た時にはホームにはまばらにしか人がいなかったが、前の電車が人身事故でストップして次の電車が来ないため、待っているうちに客が喜美子たちの後ろにどんどん並んでいったのであった。

 駅には電車の遅れを伝える駅員からのアナウンスがひっきりなしに流れていた。


「時間かかりそうね」

 喜美子はため息をついた。「何か疲れちゃった」


「そんな重い鞄、持ってるからだ。今時、教科書とノートを全部、鞄に入れてる奴なんていないぜ」


「持って帰らなかったら予習復習ができないでしょ」


「さすが、生徒会長」


「生徒会長は関係ないの。学生として当然のことよ」


「あの日以来、裕美の姿見ないな。今頃、どうしてるんだろ」


「もう思い出したくないわ。あの事件のことは」


「まだ終わってないぜ、あの事件は」


「全くわけわからなかったわね。焼却炉を見張ってたら、目が光ってる変な女が襲ってくるし、あたしが助けを呼びに行って戻ってみたら焼却炉は爆発してるし――」


「焼却炉からはスケバン連中のバラバラ死体が出るしな」


「事情説明は大変だったわね」


「カメラを裕美に預けちゃったからな。あのカメラで撮った写真があれば、犯人を示す証拠になったのに」


「下手に証拠なんか持ってるとやっかいだから、あれでよかったのよ」


「すぐそういうこと言うんだな。まあ、それでも死体が出たことで警察も少しは本腰入れるだろう」


「もうあんな恐い思いはこりごり。二度とあの子の誘いは受けないんだから」


「俺はまた会いてえな」


「惚れたとか?」


「まあな。でも、ふられちまった」


「え?」

 喜美子が智也を見る。


「俺には興味ないってさ」

 智也は元気なく言った。


「……」

 喜美子は少し考え込んでから、智也の腕に手を回した。「智也はいい奴だと思うけどなぁ」


「あん?」


「そのうち、いい子が見つかるよ、智也のことをわかってくれる」


「おまえが俺を励ますなんて珍しいな」


「ボディーガードのお礼よ。行き帰り、一緒にいてくれるじゃない。普段は遅刻ばっかりしてるのにさ」


「仕方ねえだろ、親父からも言われてるし、おまえに何かあったら飯作る奴いねえからな」


「何言われても、あたしはうれしいよ」

 喜美子は笑顔で言った。


「変な奴」

 智也はふっと向かいのホームに目を向けた。「ん?」


 智也は目を細めた。


 向かいのホームにセーラー服姿の少女が立っていた。


「おい、喜美子、あれ」

 智也は指さした。


「あ、あれは」

 喜美子も少女を見て、顔色を変えた。


「琥珀色の目をした女だ」


 少女は智也たちを見て、薄気味悪く笑うと、すぐにその場を離れた。


「待ちやがれ」


 智也はホームから線路に飛び降りた。


「智也っ!」


 智也は線路を通って、向かいのホームへ行った。そして、少女の後を追う。


「もう、あたしを置いてかないでよ」


「心配しなくとも、あなたのそばには私がいるわ」

 喜美子の背後で女の声がした。


「え?」

 喜美子が振り向こうとすると、後ろから両手で頭を押さえられた。


「振り返るな」


「だ、誰?」


「探したよ、おまえたちの行方をね」


「まさか、あなた」


「弘田香奈子の居場所を教えてもらおうか」


「知らないわ」

 喜美子がそう言った途端、喜美子の背中に鋭いものが押しつけられた。


「正直に言わなければ、おまえの背中にナイフが突き刺さるぞ」


「声を上げるわ」


「その前におまえは死ぬ。おまえが死んでも、弟がいるからな。殺すのにためらいはない」


「言ったら、助けてくれるの」


「言わなければ、死ぬ」


「や、山岡中央病院」


「本当だな」


「嘘言っても仕方ないでしょ」


 喜美子の背中から刃先の感触が消えた。


 その時、喜美子のいるホームに電車が来た。

 喜美子の両肩に女の両手が置かれた。


「な、なに?……」

 喜美子は振り向いた。


「先に地獄へ行け」


「い、いや」


 喜美子は足を踏ん張ろうとする。しかし、一歩一歩女に押され、歩かされる。


「じゃあね」

 女は喜美子を突き飛ばした。


「きゃああっ」


 喜美子はホームから線路に落ちる。


 電車は十数メートル手前に迫っていた。

 恐怖のあまり、喜美子は体が動かなくなっていた。


「智也、助けて。たすけて……」

 喜美子はかすれた声を上げた。


 電車が喜美子の直前に迫る。


 その時だった。ホームから一つの影が飛び降りた。


 影は喜美子を間一髪、抱え上げると、隣の線路へなだれ込んだ。


 電車が通過する。


 ホームが騒がしくなった。


「うっ……あ、あたし」

 喜美子は目を開けた。目の前には裕美(ゆみ)がいた。


「日高さん……」


「安心して。ここは天国じゃないから」


「助かったの?」


「ええ」


「どうしてあなたが?」


「あなたを巻き込んだのは私だから、あなたを守る義務があるわ」


「日高さん、お願いがあるの」


「?」


「山岡中央病院へ行って。そこに入院している弘田香奈子さんが狙われるわ」



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